そのLTEには、「FDD-LTE」と「TD-LTE」の2種類があります。
同じLTEなのにどこが違うのか、詳しく見ていきます。
目次
FDD-LTE とTD-LTEの特徴
そもそもLTEと4Gの違いとは
4Gとは、さまざまな通信規格の総称を指します。4Gの中に含まれる1つの通信規格としてLTEが含まれます。厳密には、LTEは3.9Gで3Gと4Gの中間の通信規格。ただ、国際電気通信連合(ITU)がLTEと4Gを同じ通信規格だと認定したことにより、LTEと4Gを区別するキャリアは減りました。
LTEが4Gの一部ということがわかったところでFDD-LTEとTD-LTEの違いについて解説していきますね。
FDD-LTEとは
FDD-LTE(Frequency Division Duplex Long Term Evolution)「電話通信」から発展したLTEのことで、「携帯キャリアがもつLTE回線」がこれに当たります。
SoftBank 4G LTE、au 4G LTE、ドコモXi、LTE-Advancedなどです。一般的に「LTE」と言えば、このFDD-LTEを指します。
TD-LTEとは
TD-LTE(Time Division Long Term Evolution)こちらは、「無線通信」から発展したLTEです。代表的なのが、WiMAXです。
WiMAXはもともと、ユーザー宅で使う固定回線と基地局をつなぐ無線通信のために開発されました。
その後、基地局の接続を切替えることで移動しながらでもインターネットができる、「モバイルWiMAX」、さらに高速化した「WiMAX 2+」に発展しました。
WiMAX、WiMAX 2+のほかに、ソフトバンクのAXGP回線(SoftBank 4G)もTD-LTEです。
AXGP回線は無線通信からではなく、PHSから発展したLTE回線です。
PHSは、TDD方式で運用されており、音声通信だけでなく、データ通信にも向いています。
(旧)WILLCOM(現在はソフトバンクの傘下)が開発したPHSの規格、「XGP」が改良されて、TD-LTEに適合するAXGPが作られました。
ドコモXiなど、携帯会社のLTE | 電話通信から発展 | FDD方式 |
---|---|---|
WiMAX | 無線通信から発展 | TDD方式 |
AXGP(SoftBank 4G) | TDD方式の音声通信PHSから発展 |
FDD-LTEとTD-LTEの大きな違い
FDD-LTEとTD-LTEの大きな違いは、電波の構成です。 どのように違うのか、できるだけ分かりやすく説明します。FDD方式(FDD-LTE)上りと下りが別々の回線
回線の説明でよく出てくる「上り、下り」ですが、これは、上り・・・端末が送信した電波を、基地局が拾うこと(アップロード)
下り・・・基地局が発信した電波を、端末が受信すること(ダウンロード)
という意味です。
送受信の両方を行うことを複信方式と呼び、通信の電波は一方通行ではなく、この方式がとられています。
自分と相手との電話のやりとりは、受信(下り)と送信(上り)が、ほぼ同じデータ量です。
また、受信と送信は同時に行われます。混線を避けるために、音声通信では受信と送信が別々の回線に分かれています。
そして、音声通信から発展したFDD-LTEには、上りと下り、2つの周波数帯が存在します。
TDD方式(TD-LTE)上りと下りが同じ回線
その一方でデータ通信では、WEB閲覧や動画の視聴やアプリのダウンロードなど、基本的に下りがほとんどです。また受信と送信は、同時である必要はありません。したがって、無線通信から発展したTD-LTEは、1つの周波数帯の中に、上りと下りが共有します。
図で表すと、こうなります。
上りと下りが共有するTD-LTEは、上りが多い時は上りの枠を増やし、下りが多い時は下りの枠を増やすということができます。電波の周波数帯が限られていても、上りと下りの比率を調整することで、アクセス集中による通信障害を緩和できるといったメリットがあります。
■TD-LTEの通信障害を防ぐ仕組みについてもう少し分かりやすく説明します
通信回線を、上りと下り2車線ずつある高速道路に例えます。「いつも下りは渋滞しているけど、上りはガラガラ」という交通状況の場合、TD-LTEなら「下りを3車線に増やして、上りを1車線にしよう」ということが可能です。
ですが、上りと下りが別々になっているFDD-LTEだと、車線数を調整することはできません。
また、スマホユーザーが多いため、渋滞(アクセス集中)しやすいといった難点もあります。
FDD-LTEとTD-LTEそれぞれがもつ、メリット・デメリット
ここまでの説明だと、TD-LTEのほうが優位に思うかもしれませんが、国内での主流は、FDD-LTEです。すでに数百万に上る3G電話回線の基地局があり、携帯キャリアすべてがFDD-LTEを採用しています。2つの周波数帯があることは、何もデメリットではありません。
上りと下りが衝突する心配が少なく、電波が効率よく行き来することができます。
図で説明すると、こんな感じです。
またFDD-LTEの周波数帯は、プラチナバンド(700M~900MHz帯)という電波がつながりやすい回線が割り当てられています。一方、TD-LTEは、高い周波数帯(2.5GHz帯)を使用するため、ややつながりにくい(特に建物内で)といったデメリットもあります。キャリア各社はどちらのLTEを使っているか?
2つの異なる方式があるとどちらが有利か比較して見てしまいますが、両者は対立する関係ではなくお互いをカバーし合うものとして、どのキャリアも併用する動きを見せています。すでに先立って展開しているのがソフトバンクです。ソフトバンクのLTE回線状況
ソフトバンク系列のLTE回線は、「SoftBank 4G LTE」と「SoftBank 4G」の2つあります。名前が似ているので、「どこが違うの?」と、不思議に思っていた人もいると思います。SoftBank 4G LTE | ソフトバンク携帯と旧イー・アクセス(現在はソフトバンクの傘下)が持つFDD-LTE |
---|---|
SoftBank 4G | TD-LTEと互換性のあるAXGP回線 |
広範囲を連続的にカバーできるFDD-LTE(SoftBank 4G LTE)は、利用が集中するエリアでは通信障害が発生しやすいという弱点があります。その弱点をTD-LTE(SoftBank 4G)がカバーするかたちで、2つのLTEを併用しています。
キャリア別LTE回線状況
ドコモ | FDD-LTEのみ |
---|---|
WiMAX | TD-LTEのみ ただし、オプション料金を払えば、同じKDDIグループのau 4G LTE(FDD-LTE)が利用できます。 |
FDD-LTEとTD-LTE、2つの方式のLTEが利用できます。 | |
Y!mobile |
まとめ
FDD-LTEの弱点をTD-LTEがカバーしようとする流れは、国内だけでなく世界中で広がりを見せています。LTEを比較する際は、速さやエリアに加えてLTEの方式もチェックし、アクセスが集中する場所でもつながりやすいモバイルWi-Fiを選びたいものです。
LTEという観点では、両方式のLTEが使えるY!mobile、WiMAXが強いと言えます。
もし、WiMAXにご興味がありましたら、下記のボタンからWiMAXプロバイダを比較している記事をご覧ください。数十社以上あるWiMAXプロバイダの中から安くておすすめのプロバイダを紹介しています。
WiMAXプロバイダを比較!
詳細はこちらへ