年金担保貸付は現在終了しています。
独立行政法人福祉医療機構のホームページ年金担保貸付制度は、令和4年3月末で申込受付を終了しました。
※令和4年3月末の時点で借入額が残っている場合でもその返済期間及び返済方法は従来と全く同様ですので、繰り上げて返済する必要はありません。
詳細については、独立行政法人福祉医療機構のホームページをご覧ください。
年金担保貸付のあらましについて知っておきたい
今現在、年金しかもらっていない人は一体どこからお金を借りることができるのか悩んでしまいます。
結論を先にお話すると、年金受給者でもお金を借りることは可能。「独立行政法人福祉医療機構」という国の機関が、年金を担保にお金を貸してくれる事業を行っているのです。この記事では、その制度、「年金担保貸付事業」について詳しく解説していきます。
どんな人が年金でお金を借りることができるのか、どこに申し込んだらいいのかなどを紹介。最後まで読むことで、カードローンが使えない無職の年金受給者でもお金を借りることが可能になります。
年金担保貸付の詳細
年金を担保にお金を借りるためには、制度の詳細を知っておく必要があります。まずはカンタンに制度の紹介をしていきます。
【制度の名称】年金担保貸付事業
【限度額】10〜200万円の範囲内
【借りられる人】国民年金、厚生年金、船員保険年金、労働者災害補償保険年金の加入者
(共済年金は対象外)
【返済方法】返済金額を引いた額が年金として支払われる
【金利】2.1〜2.8%
【連帯保証人】必要
以上が制度の概要です。国の機関が提供する融資なので非常に安心感がありますが、この制度は令和4年3月末で申込受付が終了します。この記事で紹介する内容は全て令和4年3月まで有効なものであり、制度廃止以降は「生活福祉資金貸付制度」を使うようアナウンスされています。
それまでは年金でお金を借りれるので、次章からは年金担保貸付事業について利用条件や審査基準などをより詳しく解説していきます。
誰が利用対象なのか知りたい
制度の名前から分かるように、利用できるのは年金受給者です。その中でもさらに細かく利用対象者が絞られているので、ここでは「誰が使えるか」を紹介します。
融資対象者に関する情報ですが、「年金証書を持っていて、尚且つ今現在において年金の支払いを受けている方」が対象となります。年金証書の種類ですが、以下のものが融資を受けられる対象とされています。
◎国民年金・厚生年金保険年金証書
◎国民年金証書
◎厚生年金保険年金証書
◎船員保険年金証書
◎労働者災害補償保険年金証書
共済年金や恩給は対象外となっているので、上記の年金に加入しているかどうかを予め調べておきましょう。
ちなみに、現在生活保護を受けている方や年金を担保に別で借金をしている人はこの制度を利用できません。上記の年金に加入していても、独立行政法人福祉医療機構の判断によって利用できない可能性もあるので注意しましょう。
ちなみに、ある年の年金担保融資制度を利用している方を年齢別に見ると、61~65歳はおよそ25%、66~70歳はおよそ27%、71~80歳はおよそ30%、81歳以上がおよそ5%となっています。
融資の条件や融資可能な金額、利率について知りたい
年金担保貸付でお金を借りる場合、どのぐらいお金を借りることができるのか、お金を借りた場合に掛かる利率はどのぐらいなのか、気になるところです。
まずは融資可能な金額についてですが、10万~200万円の範囲内で可能です。ただし、生活必需品の購入が目的で借り入れする場合は10万~80万円以内に定められています。
そのほか、受給している年金を基準に、0.8倍以内という基準も設けられています。受給金額はその人によって違いがありますので、自分がいくら受給しているか、それを元に融資可能額を算出してみましょう。1回あたりの返済額が決まったら、その15倍以内が限度額になるという決まりもあるので、あわせて覚えておきたいところです。
気になる利率についてですが、平成30年10月現在は以下のように設定されています。
・年金担保貸付:2.8%
・労災年金担保貸付:2.1%
利率は定期的に変更されるので、加入前に最新の金利を確認しましょう。
圧倒的な低金利がポイント
貸付利率を見てみると、消費者金融や銀行のカードローンと比較しても驚くほどの低金利であることが分かります。これは独立行政法人が行っている融資制度ということもあり、利息で利益を出そうとしていないことが理由です。
年金受給者となれば、すでに退職して無職という人も少なくありません。そうした人を支援する目的があるため、金利は低めに設定されているのです。他社でローンを組む前に、一度年金担保貸付事業が使えるかどうか確認するのがオススメです。利用目的に制限は設けられているの?
何を目的としてお金を借りるのか、年金担保貸付を利用する際に使用用途に制限があるのかどうか、これも気になります。無事にお金を借りたのはいいけれど、利用目的として適さない使い方をして指導された、などということになるのでは、と心配になる方も多いそうです。
年金担保貸付事業では、主に以下の用途であれば借入が可能です。
・生活必需物品購入
・介護や福祉
・保健や医療
・冠婚葬祭
・教育
・住宅改修等
・債務などの一括整理
・事業維持
これらを目的として融資を受けるのは可能となっています。例えばすでに消費者金融から高金利で借りているお金を、年金担保貸付で借り換えるという使い方もできます。高齢になるほど医療費がかさむため、「年金を前借りして医療費を支払いたい」というケースも出てきます。そんな時にもこの制度を活用できるのでオススメです。
逆に、生活費や旅行の費用といった用途では借りることができず、あくまで生活に必要な最低限のお金を借入するという使い方が推奨されています。
ここまでの説明で、年金担保貸付事業の内容は理解できたかと思います。次章からは、「どこで申し込めばいいのか」、「審査はどうなのか」といった情報を紹介します。
どこに行けば申し込めるのか知りたい
年金担保貸付でお金を借りることを決意した場合、さて一体どこに行けば申し込めるのか、知らない人はここで立ち止まってしまいます。急にお金が必要になる場面はいつ訪れるかわかりません。今のうちに一連の流れを知っておきましょう。
申込みは銀行や信用金庫でできる
気になる申し込みについてですが、ご自分が年金を受けとっている銀行や信用金庫などの店舗で申し込むことが可能です。店舗に「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示してあるところなら対応してくれますので、金融機関に足を運んだ際に確認しておきましょう。分からない場合は、窓口で「年金を担保に融資を受けたい」と話せば対応してくれます。
ちなみに農協やゆうちょ銀行、労働金庫で申し込むことはできません。これらを利用して年金を受け取っているという場合は、先ほど紹介した「独立行政法人福祉医療機構代理店」と書いてある銀行の店頭に出向いて申し込みをしましょう。
申し込むために必要となる書類について
年金担保貸付は残念ながら即日融資に対応していません。つまり、少しでも早くお金を借りたいなら手続きをすぐに済ませることが必要です。そこで、申込みに必要な書類を紹介します。「あの書類どこにしまってあるかな」と慌てることのないように、今のうちに書類がどこにあるか確認しておきましょう。
年金担保貸付を申し込む際に必要になる書類は、以下の7点です。
・取扱金融機関に置いてある借り入れ申込書
・年金証書
・年金支給額を証明できる書類ひとつ
年金振込み通知書、年金決定通知書、年金額改定通知書、年金送金通知書、支給額変更通知書、年金支払い通知書、年金の支払いに関する通知書
・印鑑証明と実印
・本人確認できるもの
運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、小型船舶操縦免許証、障害者手帳、養育手帳、精神障害者保健福祉手帳、在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書
・資金用途の確認資料
借りたお金を何に使うのかを確認できる書類
・保証人
以上が申し込みの際に必要になる書類です。印鑑証明は発行後3ヶ月以内のものと定められているので、それ以外のものを予めどこに保管してあるか確認しておけば、あとは申し込みの際に印鑑証明を準備するだけでOKです。
ちなみに連帯保証人が必要になりますが、どうしても頼める人がいないという場合は、信用保証制度を利用することも可能です。保証料が必要となりますが、頼れる人がいない場合は利用を兼用してみましょう。
保証人をたてる場合は、保証人の実印および印鑑証明書、本人確認書類と収入証明が必要です。契約者との続柄が分かる住民票などの提出も求められますので、印鑑証明書を取得する際に同時に発行してもらいましょう。
審査が厳しいか気になる
年金担保貸付を利用してお金を借りるとき、気になることのひとつに「審査」があります。どんなに書類を用意しても、審査に通らなければ意味がありません。そこで、審査の際にどんな点をチェックされるのかを紹介していきます。
審査の際にチェックされるポイント
1.加入している年金が制度に対応しているかどうか
2.借入金の使用用途に問題はないか
3.年金を担保に他で借金をしていないか
4.限度額は年金受給額の0.8倍か
5.保証人に問題がないか
6.問題なく返済ができるかどうか
年金担保貸付の場合、結論から言うと審査はそれほど厳しくありません。なぜならば、生活に困った状況になっている方を対象にお金を貸してくれる制度なので、利用目的が生活必需品の購入や医療費の支払いなど、貸付条件を見ても生活に困っている人を対象に貸し付けていることがお分かりいただけるはずです。
そのため基本的に一般的な金融機関に比べると審査は厳しくないというのが実情です。しかしここまでで説明してきた「加入している年金の種類」、「借入金の使用用途」、「他の借金」については厳しく審査されます。保証人に安定した収入がないなどの場合も審査に落ちるか、信用保証制度を利用することになります。
もちろん、限度額の範囲内で融資を希望しているかどうか、返済で生活苦にならないかどうかも確認されます。どちらかに問題があれば審査に落ちてしまいます。
審査には4〜5週間ほどかかる
年金担保貸付の最大のデメリットは、審査に時間がかかること。申込みから融資までには4〜5週間かかるため、即日融資は当然できません。すぐにお金が必要な場合は間に合わないので注意しましょう。
審査結果や融資実行日は、申し込んだ金融機関から直接本人宛に電話連絡があります。続いて、次章では返済方法を確認していきます。
どんな方法で返済すればいいの?
お金を借りることができたあとは、返済方法に関することも知っておく必要があります。年金担保貸付で融資を受けた場合、年金は偶数月に支給されますが、その支給額の中から申し込みの際に指定した金額を差し引かれるという仕組みになっています。
つまり、今まで本人に振り込まれていた年金は、独立行政法人福祉医療機構に振り込まれるようになります。そこで返済額が引かれ、残りが本人の口座に振り込まれるという仕組みです。一般的なローンのように、口座引落ではないので注意しましょう。
また、お金に余裕が出来たら出来るだけ早く返済したいと考える方も多いようで、繰上げ返済は可能かどうか気になります。年金担保貸付は毎月20日を繰上返済の受付日に設定しているので、事前に申込み、手続きを済ませておく必要があります。
融資を申し込んだ同じ銀行の窓口で現在の借り入れ金額、そして利息を合わせてどのぐらいの金額になるのか予め調べておきます。その金額の返済が可能ならば次の支払日に繰上返済をしてもらうための手続きを行います。
万が一返済が困難になったらどうなる?
年金でお金を借りたのはいいものの、その後生活に困ってお金が返せなくなる可能性があります。そんな時は、福祉医療機構と協議の上貸付条件を変更してもらえます。返済期間中に1度しかできない手続きではありますが、返済ができない時は年金担保貸付を申し込んだ金融機関に相談しましょう。貸付条件を変更した場合、繰り上げ返済ができなくなるので注意が必要です。
また万が一年金額が引き下げになってしまった場合、引き下げ分に応じた額が返済額から少なくなるように調整されます。
民間企業でも実施しているか知りたい
年金はそもそも給与所得ではなく、生活のためのお金が支給されているというイメージです。年金担保貸付は独立行政法人福祉医療機構だけが行っていいもので、民間の金融機関では同様のサービスを提供することが禁止されています。
しかし、各種銀行は独立行政法人福祉医療機構の窓口として受け付けをしています。そのため、「銀行で年金担保貸付が利用できた」という話が出回っているのです。年金担保貸付の受付をしている銀行は全国にありますが、代表的なもので以下の都市銀行で受付が可能です。
・みずほ銀行
・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・りそな銀行
・埼玉りそな銀行
これらの銀行はあくまで窓口となっているだけであり、年金担保貸付の契約は独立行政法人福祉医療機構としています。福祉医療機構以外が「年金を担保にお金が借りれる」と謳っていたらそれは違法なので注意しましょう。
もし即日融資を希望しているなら、年金収入だけでも申込みができるカードローンを利用することになります。年金担保貸付に比べると審査は早いですが、金利は高くなります。しかしカードローンは生活費を借りることができるので、多少の利息がかかってでもお金が必要というときは利用を検討してみましょう。
もし怪しい業者から話を持ちかけられたら、大切な年金を騙し取られないよう、年金を受け取っている銀行に相談すると間違いありません。
民間のローンは年金受給者も利用できる?
民間のカードローン会社は安定した収入があれば利用することができます。今はお金がかかる時代ですから、カードローンを利用してお金を用立てる方は多いのです。
さて、年金は安定した収入に該当するのでしょうか。
結論から言うと、年金受給者でも契約できるカードローンは存在します。ただし、年齢制限を設けているところがほとんどで、一般的に消費者金融の場合は69歳未満、銀行の場合は65歳未満に設定しています。(※民間ローンで借りられる年齢)
また、消費者金融も銀行も、年金担保貸付に比べれは利率は決して安くありません。大切な年金の中から元金と利息を支払っていくことを考えれば、やはり民間ローンより年金担保貸付のほうがお勧め、という声が多いのも頷けます。
年金イコール安定した収入として認められるのは嬉しいことですが、月々の返済の事を考えると利率を甘く見てはいけません。
まとめ
この記事では、年金を担保にお金を借りる方法を紹介してきました。重要なポイントを最後に確認しておきましょう。
・年金担保貸付は独立行政法人福祉医療機構だけが行っている
・銀行や信用金庫が窓口となって受付を担当している
・生活費や旅費は借りれず、生活に必要な医療費などを借りるのがメイン
・年金担保貸付事業は廃止が決定している
・制度の廃止後は市役所などの「生活福祉資金貸付制度」を利用する
年金はもらえる額が限られていますが、必ず2ヶ月に1度振り込まれるものです。そのため、独立行政法人福祉医療機構では、その年金を担保に融資をしてくれます。年金担保貸付は福祉医療機構だけが行って良いものなので、他社で同様の話を持ちかけられた時は詐欺を疑いましょう。
銀行でも年金担保貸付を行っているのは、各銀行が窓口として代理で手続きをしているだけです。年金担保貸付は審査が4週間ほどかかるので、急いでお金を用意したい人は年金でも借りられるカードローンなどを利用するのがオススメです。