生命保険を担保にお金を借りることができる
急な用事でどうしてもお金が必要になったとき、銀行や消費者金融、クレジットなどからお金を借りることが頭を過ぎります。しかし、それ以外にお金を借りる方方法がないものか、気になる方に朗報です。
実は生命保険を担保にしてお金を借りることが出来るという仕組みがあることをご存知でしょうか。「契約者貸付制度」というものは、保険を解約せずに融資を受けられる制度です。
元々契約している保険会社を利用できるから、低金利で審査もありません。お金に困っている人にとっては非常にメリットの多いこの制度、利用方法をしっかり把握しておかないと、最悪のケースでは保険が失効してしまう可能性があります。
そこでこの記事では、安心して生命保険会社からお金を借りるために、契約者貸付制度について詳しく紹介していきます。利用する際の注意点やコツなどを紹介していますので、お金を借りる前に読むことをオススメします。
契約者貸付制度を知ろう
生命保険でお金を借りるって、一体どういうことなんだろうと不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
簡単に説明すると、これまで払い続けてきた保険をもし解約した場合、解約金が支払われます。その解約金に対して一定の割合の中でお金を借りることができる、これを「契約者貸付制度」というのです。担保になるのは、解約返戻金です。解約金が担保になってお金を借りるという仕組みなので、掛け捨てタイプのように解約金が発生しないタイプの保険には契約者貸付制度がありません。
メリットはカードローンより低金利なこと
契約者貸付制度の最大のメリットは、圧倒的な低金利ということ。利率は契約している保険によって異なりますが、だいたいが一桁の金利となっています。生命保険会社によっては3%の利率で貸し出しているところもあり、低金利と言われる銀行カードローンより低くなっています。
デメリットは生命保険が失効する可能性があること
この制度は、生命保険の解約返戻金の一部を借りるというものです。つまり利子を含めた借入金が解約返戻金を超えてしまうと、保険が失効してしまうのです。もちろん、それまでに返済すれば問題ありませんが、何度も借入だけを行っていると保険が失効するリスクがあることは覚えておきましょう。
契約者貸付制度の概要がわかったところで、金利についての情報やより詳しい条件を確認していきましょう。
契約者貸付制度の金利を知っておこう
前章のメリットとして紹介しましたが、生命保険でお金を借りる場合は銀行カードローンより低金利です。契約している生命保険によって金利が変わるため一概には言い切れませんが、1.5~3.5%ぐらいが平均のようです。例えば10万円を借りた場合、一番高い3.5%で計算すると、一年間で3,500円の利子が発生します。それでも銀行や消費者金融に比べると非常に安いことがひと目で分かります。
【注意】貸付利率は複利
低金利が魅力であることはお伝えした通りですが、契約者貸付制度の利率は複利で計算されます。銀行や消費者金融のカードローンは単利なので、借りた金額に対して利息が発生します。しかし契約者貸付制度でお金を借りると、複利で計算されるので返済が遅れた場合の借金総額がどんどん増えていきます。
先程紹介した10万円を年利3.5%で借りた例で説明すると、1年後の返済総額は103,500円です。複利計算の場合、この「103,500円」に対して再び3.5%の金利が発生するのです。しっかり返済していけば大きな問題にはなりませんが、借りっぱなしで全く返済しないと借金総額が増えるばかりなので注意しましょう。
非常に低金利でお金を借りられることがわかったら、次に気になるのが限度額です。一体いくらまでお金を借りられるのか、次章で確認していきましょう。
借りることができる限度額はどのぐらい?
契約者貸付制度が審査なしで低金利でお金を借りられるのは、生命保険を解約した時に戻ってくる解約返戻金を基にしているからです。つまり保険を解約することで受け取れるお金を使っているわけで、実質的には自分のお金ということができます。
そのため、借りられる額は契約している生命保険の解約返戻金によって異なります。どこの保険会社を利用しているか、どんな種類の生命保険なのか、これによって限度額に違いがあるのです。
平均的な数字をみると、解約返戻金額に対して70%~90%以内が限度額と定めているところが多いようです。具体的な金額は契約している生命保険会社に問い合わせることで教えてもらえます。また保険会社によってはwebで確認できるところもあるようです。
必要なお金はいぐらぐらいなのか、それは生命保険契約者貸付制度の限度額内で足りるのか、いざお金を借りようとしたら足りなかったと慌てることのないように事前チェックをしておきましょう。
借りることが可能な期間を知りたい
借りられる限度額と同じくらい気になるのが、借入期間です。借りたお金をすぐ返さなければいけないのか、それとも長期間借りられるのか、気になります。この期間についてですが、「保険を契約している期間」が契約者貸付制度の利用可能な時期と解釈していいようです。つまり、その保険を契約している間は借り入れが可能というわけです。
ただし、保険を契約してすぐの場合、まもなく満期になるという場合はお金を借りることが出来ない場合もあるようです。自分が契約している保険会社に、どの時期が契約者貸付制度の利用が可能なのか聞いてから借り入れをするといいでしょう。
積み立てタイプの保険であれば借り入れが可能ですから、いつからいつまで可能な時期なのか聞いておけば、いざというときの備えとして役立つ日がくるはずです。
返済方法を知っておこう
生命保険の契約者貸付制度を多用しすぎると、保険が失効するリスクがあることはお伝えしました。低金利ではあるものの金利は複利なので、早めに返済してしまうことをオススメします。この制度を利用した場合、返済方法は以下の4つから選べます。
1.毎月返済
2.一部返済
3.全額返済
4.保険金返済
1.毎月返済
まず一つ目が毎月返済です。これは元金と利息を合わせた額を毎月返済していくという手段です。毎月同じ日に返済するので、うっかり忘れを防ぐためにはいい方法かもしれません。
2.一部返済
次に一部返済という方法です。これは毎月返済と同様、元金と利息を合わせた額を少しずつ返済していく手段です。特に返済額は定められていません。その保険会社によって最低返済額というのを定めているので、それ以上であれば返済額はいくらでもいいですよ、という手段です。そのため、今月は厳しいから最低額で、今月は余裕があるから少し多めに、と自分で返済額を決めることができます。
3.全額返済
3つ目は全額返済という方法です。元金と利息を合わせた額を一括で返済するという方法です。
4.保険金返済
最後が「保険金による返済」というものです。生命保険は契約が一定期間以上になるとお祝い金と称してお金がもらえる場合があります。他にも契約中に病気や怪我などで保険金が支払われることもあります。
こうした保険金を返済に充てるという方法があるのです。しかしお祝い金ならまだしも、病気や怪我で受け取れる保険金が全額返済に回されたら、休業中の支払いなどが滞ってしまいます。生命保険は本来お金を借りるものではなく、万が一の時の生活を助けてくれるものという大前提は忘れてはいけません。
ちなみにこれらの方法で返済する場合、以下4つの方法を使って返済が可能です。
・保険会社の専用ページを利用して、インターネットバンキングから振り込む
・提携ATMを利用する(保険会社が発行するカードを使用)
・保険会社から郵送されてきた振込用紙を使用
・保険会社の窓口で返済
以上の方法が一般的ですが、これは契約している保険会社によって異なります。契約者貸付制度を利用する前に一度、契約している生命保険会社に確認を取っておきましょう。
利用する前に知っておきたい手続きや審査について
契約者貸付制度は、自身が契約している生命保険の解約返戻金を基にお金を借りられる制度です。そのためカードローンのようにお金を借りるためだけの契約ではないので、審査は必要ありません。つまり審査なしでお金を借りることができるのです。
申込方法は4つ
審査がないということで、契約者貸付制度は非常に手続きからお金を借りるまでがスムーズです。申込方法は生命保険会社によって異なりますが、主に以下の3つが用意されています。
1.店頭申込
2.書類による申し込み
3.インターネット申し込み
1.店頭申込
契約した保険会社の店舗が近くにあるようなら、そこで申し込みをすることも可能です。申し込みは本人確認ができる免許証などの書類と、印鑑があればその場で行なえます。
2.書類による申し込み
書類による申し込みの場合、まずは各保険会社に申し込みの連絡をします。申込書が届いたら必要事項を記入して保険会社宛てに返送しますが、場合によって本人確認書類(免許証や健康保険証のコピー)の同封を求められる場合があります。
3.インターネット申し込み
生命保険会社によっては、インターネットで受け付けをしているところもあります。契約時に発行されたIDやパスワードを使ってマイページにアクセスし、契約者貸付制度の利用可能額をご自分で確認していきます。その金額内で希望する金額、振り込んでもらいたい口座を入力します。その後、保険会社から申し込みの完了メールが届いて手続きは完了です。
どの方法でも審査はないので、即日〜翌日にはお金を借りることが可能。カードローンの契約で必須な在籍確認もないので、自分の預金を引き出す感覚で利用ができます。この制度は、審査や在籍確認がないのはわかりましたが、保証人はどうなのでしょうか?次章で詳しく説明していきます。
解約返戻金以外に担保や保証人は必要になる?
契約者貸付制度は、解約返戻金を担保にしてお金を借りることができます。
保険会社特有の制度ですが、その他にも担保が必要なのか、保証人は必要になるのか気になるところです。
契約者貸付制度は、融資を行う銀行や消費者金融と違い、担保も保証人も、どちらも必要ありません。あくまでも解約返戻金のみが担保になります。
特に保証人に関して心配する方も多いようで、お金を借りるのだから保証人をだれかにお願いしなければと焦ってしまう方も少なくありません。
解約返戻金以外の担保は必要ない、保証人も必要ない、これを知っておけばいつでも安心してお金を借りられるはずです。誰かに気を使うという煩わしさもないので利用も返済も心置きなく利用することができるでしょう。
契約者貸付制度のメリットを知ろう
契約者貸付制度のメリットは冒頭でカンタンに説明しましたが、それ以外にもいくつかあるので紹介します。
1.低金利でお金が借りられる
2.審査も保証人も必要ない
3.自分のペースで返済できる
4.入金までの期間が短い
5.生命保険を解約しなくていい
自分の解約返戻金を基に生命保険会社からお金を借りる仕組みなので、金利は1.5~3.5%とかなり低く、審査も保証人も必要ありません。ネットで申し込みをすれば即日〜翌日には入金され、返済も自分のペースで可能。
将来戻ってくる予定のお金の中から借りている状態なので、非常に低リスクでお金を借りることができるというのがメリットです。生命保険を解約しなくていいというのも非常に大きなメリットで、万が一の保障は確保しながら、お金に困っている状態を抜け出すことができます。生命保険を解約してしまうくらいなら、契約者貸付制度の利用を検討するのがオススメです。
契約者貸付制度のデメリットを知ろう
契約者貸付制度は非常にメリットが大きい制度として紹介されがちですが、当然デメリットがあります。デメリットは以下の通りです。
1.生命保険が失効する可能性がある
2.解約返戻金の範囲内で限度額が決まる
3.金利が複利
4.入院や通院で保障が受けられない可能性がある
この制度は生命保険の解約返戻金からお金を借りるものです。つまり借入額と利息が解約返戻金を超えてしまったら、生命保険自体が失効してしまうのです。全てお金を使い切ってしまったら、当然保険会社は万が一の時に支払うお金が無くなってしまいます。入院や通院、手術が必要となっても保険金を支払うことができなくなってしまうのです。
また限度額も契約している生命保険の解約返戻金に基づきます。「家を買いたい」「車を買いたい」などの高額融資には対応していないので注意しましょう。また金利は複利計算なので、返済をしないと借金が膨らむ一方です。あくまで生命保険なので、その点を注意しながら利用する必要があるといえます。
他にも生命保険会社の規約を見ると、以下の注意事項が記載されていました。
・貸付制度を利用できるのは契約者本人だけです。保険契約者だけが保護利用いただけます。
・借りているお金と利息の合計が万が一、解約返戻金の額を超えてしまった場合、保険会社から連絡が来た日にちまでに通知された金額を振り込む必要があります。万が一振り込めなかった場合は保険そのものが解約になります。
・貸付の利率は保険会社によって違いがあるため、詳細は契約している保険会社に確認する必要があります。
・万が一、契約者が亡くなった場合、もしくは満期が来た場合、本来支払われるお金から、借りたお金と金利が引かれます。元々かえさなければいけないお金なので、元金+金利が引かれたお金が戻ってきます。
以上が注意点として知っておいたほうがいいと言われている事柄です。
まとめ
この記事では、生命保険でお金を借りる方法について詳しく紹介してきました。最後に重要なポイントを確認しておきましょう。
・生命保険でお金を借りることを「契約者貸付制度」という
・契約者貸付制度は審査も保証人も必要ないのがメリット
・解約返戻金を基にお金を借りるので、生命保険が失効するリスクがある
・利用はインターネットから申し込むのが便利でオススメ
・あくまですぐ返せる見込みのあるお金を借りるものと考えておくべき
生命保険を解約してしまうと、入院や通院が必要になった時保障が受けられません。少しお金が必要になっただけで生命保険を解約するのはもったいないので、その時利用したいのが「契約者貸付制度」です。これなら保険を解約した時に戻ってくるお金の中から借入ができるので、生命保険を解約する必要がありません。
ただし、借入額が多くなるほど利息が増え、最悪のケースでは生命保険が失効してしまう可能性があります。デメリットと注意事項をよく読み、生命保険会社の担当者に相談してみることから始めましょう。