銀行や消費者金融からお金を借りるにはなぜ審査が必要なのか
キャッシングやカードローンなどでお金を借りるとき、必ずあるのが審査です。審査基準をクリアして契約できるのは、どんな人たちなのでしょうか。「審査に落ちないように対策をしたい」
「審査に落ちたけど再申し込みの前に対策したい」
「審査がゆるい金融機関はある?」
実はお金を借りる審査基準は大々的に公表されているわけではないため、これといった確かな基準というのはハッキリしていません。しかし、実際に審査が通った人の話、通らない人の話を照らし合わせてみると、傾向がある程度わかってきます。
この記事は、お金を借りた人の口コミや評判から、審査基準や通過のコツを紹介。これからお金を借りる人が読むことで、申し込み前にするべきことがわかります。
お金を借りるのに審査が必要な理由
借入審査というものは、銀行や消費者金融が融資のリスク回避のためにしています。借りたお金は必ず返すものですが、全員がきちんと返済してくれるとは限りません。延滞や踏み倒しをされると、金融機関は貸したお金(元本)を回収できなく赤字になってしまいます。こうしたリスクを回避するために、申込者が「きちんと返済してくれるかどうか」を審査しているのです。カンタンに言ってしまえば、金融機関の都合ということなので、できる対策は「キチンと返済できる人」とアピールすること。では、どんなことをしていれば金融機関から信用されるのか、次章で確認していきましょう。
何を基準に審査しているのか知りたい
金融機関からの信用が大事といっても、借入の申し込みの際に直接アピールすることはできません。申し込む時に入力する情報や、過去の実績でアピールするしかないのです。最近では審査にスコアリングシステムを採用する金融機関も多く、入力した情報を機械的に採点して可否を決めています。そのため一発勝負とも言えるため、日頃の行いは非常に大事です。そこでここでは、金融機関は審査の際に何を見ているのか、重要な5つのポイントを紹介していきます。
審査の基準となる5つのポイント
1.年収
2.勤務先と勤続年数
3.過去の借り入れ実績(信用情報)
4.現在の他社借入状況
5.年齢
これから、この5つのポイントをわかりやすく解説していきます。
1.年収
年収と言っても、高ければいいというものではありません。消費者金融には年収の1/3までしか貸し出しできない「総量規制」というものがあり、審査の際は限度額を決定するために年収を確認します。銀行は総量規制対象外ではありますが、同水準の自主規制を設けています。そのため、まずは年収がいくらなのかを確認しているのです。主婦や学生など、年収が0の人は消費者金融を利用することはできません。銀行カードローンを利用することになりますが、限度額は10万円程度と低めになってしまうことが多いようです。
2.勤務先と勤続年数
審査の際に年収の次に重視されるのが、「職業の安定性」です。キャッシングやカードローンはまだしも、自動車ローンや住宅ローンなどの大口資金の返済は長期間になります。その間、安定した収入が得られ続けるかどうかを確認します。勤務先は大企業や公務員ほど有利で、勤続年数は長いほうが有利となります。中小企業であっても勤続年数が長ければ評価されることもあり、会社の規模も小さく勤続年数も短い場合は審査において非常に不利になるでしょう。
3.過去の借り入れ実績(信用情報)
過去にお金を借りたことがある人は、個人信用情報機関というところにその記録が全て残っています。「いくら借りたのか」「しっかり返したのか」など、借金に関する全ての情報が記録されています。その記録を確認し、過去に滞納や延滞をした記録があると審査に通りにくくなります。逆に借りたお金を繰り上げて返済した記録などがあれば、比較的審査は緩くなると言われています。最近はスマホの端末代金の支払いを忘れるだけでブラックリストに載ることがあるので、その点も注意が必要です。
4.現在の他社借入状況
個人信用情報機関では、現在、「他社からいくら借りているのか」というものが全て記録されています。先程紹介した「総量規制」は、年収の1/3以上の貸し出しを禁止しています。そのためすでに他社で年収の1/3以上の借入があったらその時点で審査は終了します。また、すでに4社以上から借り入れている場合も「多重債務者」として厳しくチェックされるので注意しましょう。
5.年齢
最後にチェックされるのが、申込み条件を満たしているかどうか。年齢は20歳以上かどうかはもちろん、金融機関によっては65歳までしか申し込めないという条件を設けています。こうした条件をクリアしていて、他に問題がなければ審査は完了となります。審査は申込み条件をクリアしているかどうか機械的に判断し、クリアしていれば借入可能と回答されます。ここまでを仮審査とし、最終的に個人信用情報機関のチェックなどが入るパターンが大半です。こうした審査の内容に銀行と消費者金融で違いはあるのか、次章で詳しく説明していきます。
違いはあるの? 銀行のカードローンと大手消費者金融
なんとなくイメージ的に、お金を借りるとき、銀行のカードローンより大手消費者金融のほうが審査が通りやすいと捉えている方もいるようですが、本当のところはどうなのでしょうか。結論から申し上げると、どちらか一方の審査が甘い、通りやすいということはありません。審査基準はどちらも同じで、一方が緩いという話はありません。
ところが、「銀行のカードローンを申し込んだときは断れたけれど消費者金融は審査が通った」という話が一人歩きをしているようで、それが広まったことによって「消費者金融のほうが審査が甘い」というイメージが根付いたようです。
カードローンに限った話ですが、銀行カードローンの審査は消費者金融が担当していることもあります。消費者金融が保証会社となり、銀行に代わって審査を代行しているのです。
お金を借りるときの考え方として、「銀行だから」「消費者金融だから」という審査基準はない、と捉えていいでしょう。
→銀行カードローンで借りるときの詳細
審査の前に知っておきたい「審査が通りやすくなるコツ」
審査について基礎が理解できたら、次に知りたいのが「どうやったら通るのか?」ということ。結論を先にお話すると、すでに紹介した5つのポイントをクリアすること。そこで5つのポイントをクリアする具体的な方法を紹介していきます。審査基準の5つのポイントとクリアする方法
1.年収
2.勤務先と勤続年数
3.過去の借り入れ実績(信用情報)
4.現在の他社借入状況
5.年齢
1.年収
年収は急に増やすことはできません。しかし残業代で調整する、昇給が決まっているならそれを待つなど、少しでも収入を増やすことは可能です。学生であればバイトの時間を増やす、専業主婦ならパートを始めるなどの対策もできます。2.勤務先と勤続年数
勤務先を突然変える、勤続年数を増やすというのはできません。しかし、審査で確認する勤続年数というのは「年単位」です。つまり、「1年10ヶ月、9年11ヶ月」というようなケースであれば、申し込みを数ヶ月遅らせることで勤続年数を繰り上げることが可能。「1年10ヶ月」の時点で申し込めば勤続年数は1年ですが、2ヶ月後に申し込めば2年になります。こうした工夫で審査を有利にすることが可能です。3.過去の借り入れ実績(信用情報)
審査基準で説明した通り、過去に「どこからお金を借りた」という情報は全て個人信用情報機関に記録されています。そこに「過去に滞納した」「借りているお金を踏み倒した」などの情報があれば確実に審査は落ちます。そうした情報が記録されないよう、現在借りているお金は期日通りしっかり返済しましょう。スマホの端末代も滞納すれば審査に影響するため、こうしたお金もしっかり支払いましょう。現在滞納記録などがある人は、金融機関と話し合って完済するなどの対策が必要です。
4.現在の他社借入状況
今の時点で他社からお金を借りている人は、できる限り完済しておきましょう。住宅ローンや自動車ローンなど、額の大きい借金をする場合は特に重要です。カードローンを複数契約し、何社からもお金を借りている状況はあまりいいとは言えません。少額の借金は完済してしまい、1社でも借入している会社を減らしておきましょう。他社借入件数が4件以上の場合は、3件以下に減らしましょう。すでに年収の1/3以上借入している人は、それ以下にしないと消費者金融からお金を借りることはできません。
5.年齢
審査基準で説明した通り、ローンには年齢制限があります。高校生や大学生は20歳以上になってから、定年を迎えている人は年金担保貸付を利用するなど、自分の現在の年齢でお金を借りる方法を探しましょう。それから些細なことですが、例えば申込書に記入する文字にも注意してみましょう。文字が綺麗とか汚いというのではなく、丁寧に書いているかどうかがカギになります。字はその人の性格を現すひとつとして判断材料にすることもあるようです。
web申込みをする場合には、入力ミスに気をつけましょう。情報に間違いがあると、コンピュータで機械的な審査をする消費者金融であればその時点で審査に落ちてしまいます。
そして、当たり前のことですが、記入事項はウソを書かないことです。ウソを書くことで信用が一切なくなってしまいます。個人情報はもちろんのこと、勤務先や収入、勤続年数なども正直に記入することが大切です。
もし申込みの方法がわからなくてミスをしてしまいそうと心配であれば、銀行や消費者金融に電話で申込みをしましょう。オペレーターの質問に答えるだけで申込みができる上、不明な点や不安なことは相談もできます。
審査が通らなかったけれど何が原因だったのか
「そこまでしたのに審査に落ちた」というのはよくある話です。このとき、なぜ自分は審査が通らなかったのか、その理由は教えてもらえません。そのため、審査が通らない理由が分からないので別のところに申し込むのを躊躇するという方もいます。確実に融資を受けるためにも、なぜ審査が通らなかったのか思い当たる原因を探ってみるといいかもしれません。
審査に落ちた理由は教えてもらえない
と言っても、審査に落ちた理由を金融機関は教えてくれません。審査が通らなかったときの基準が発表されているわけではないので、経験者の「もしかしたらこれが原因かな」と思い当たることを今の自分の状況と照らし合わせていきましょう。審査に落ちた人の口コミを見ると、こんな理由でだめだったようです。滞納や延滞の記録がある
例えば、以前別のところでキャッシングをしていて、何度も支払いが滞ってしまったことがあったとします。これは信用がないとみなされる可能性が大きいので、次にキャッシングをするときに審査が通りにくくなります。場合によってはブラックリストに登録されているかもしれません。実は、支払いが滞った経験があるというのは、審査が通らない最大の原因とも言われています。過去にそういう経験がなかったか、記憶をたどってみましょう。
総量規制を超えている
アコムやプロミスといった消費者金融と呼ばれる金融機関は、総量規制の関係で年収の1/3までしか貸し出しをしていません。今の時点で年収の1/3以上借りてしまっている場合、残念ながらお金を借りることはできません。在籍確認が取れなかった
申込みの際に入力する勤務先が本当かどうか確認するため、金融機関は勤め先に電話連絡をします。これを「在籍確認」と呼びますが、これができないと審査は通りません。例えば電話に出た同僚が「そんな人はいない」と言えば、申込者は嘘をついたと判断されてしまいます。特に派遣社員は派遣元に電話をされてしまうと、在籍確認が取れない可能性があります。申込みの際に金融機関に電話をし「派遣元と派遣先、どちらに在籍確認をするか」しっかり聞きましょう。
申込みの入力ミス
申込書に記入する情報は、少しでも違えば審査に通りません。記入した年収が収入証明書と異なっていたり、住所が免許証と違ったりするなどのうっかりミスが意外と多いと言われています。申込書を記入するときには、しっかり情報が間違っていないかどうか確認しましょう。審査が要らない業者、もしくは審査基準が甘い業者を知りたい
ここまでの説明を聞くと、「審査ってめんどくさい」ということがわかります。できれば審査がない金融機関でお金を借りたいと思う人もいるでしょう。残念ながら銀行のカードローンも、大手消費者金融のキャッシングも、審査がないところはありません。絶対に必要なことなので、「審査がない」と謳う金融機関は闇金と疑っても良いでしょう。
では、審査が甘いところはあるのでしょうか。銀行も消費者金融も審査が通りやすい、通りにくいということはないのですが、中には知名度が低い消費者金融、立ち上げたばかりの消費者金融というのは審査が甘いといわれています。
しかし、知名度が低い、立ち上げたばかりの業者に対して、少なからず不安が付きまといます。信用できる業者なのか、という店では疑問が残ります。審査が甘いからといって安易に申し込むことは控えたほうがよさそうです。
審査が厳しいということは、それだけしっかり商売をしている証でもあります。審査をおろそかにしている金融機関は、間違いなく法定金利以上の利息を請求してくる闇金です。聞いたことがない金融機関を見つけたら、ネットで口コミを確認するようにしましょう。
ブラックの人でも審査が通ることってあるの?
どうしてもお金が必要なので、融資を受けたい、お金を借りたいという場合、自分がブラックリストの場合はどうなのでしょうか。ブラックリストに登録されてしまうと、信用情報として「この人は支払いを滞らせた過去がある」と残ってしまいます。そのような状況で、新たに融資をしてくれるところがあるでしょうか。
残念ながら、ブラックリストに載ると新たに融資を受けることは困難です。ブラックリストは金融事故を解消したときから5〜10年間は登録されています。自己破産をすればブラックリストにその記録が残るため、審査の際にバレてしまいます。
しかし、絶対に融資を受けられないということではなく、ある一定の基準を満たせば融資を受けることができる場合もあるようです。
それは、支払いが滞っている未払い分を完済する、もしくは債務整理をしている、という状況の場合は、融資を受けられる可能性は捨て切れません。まずは過去の未払い分がある場合はそれを綺麗に整理することから始めましょう。
そして融資を受ける時点で安定した収入があれ、ば融資を受けられる可能性が大きくなるようです。とはいえ、これは金融機関が特別に対応してくれた場合です。ブラックリストに載っている場合はお金を借りる以外の方法で問題を解決できるようにしましょう。
まとめ
この記事では、お金を借りる時に必ず通る「審査」について説明してきました。最後に重要なポイントを確認しておきましょう。・借金を申し込むときには「審査」が必ずある
・審査は借金を踏み倒されないようにする金融機関の対策のひとつ
・確認される項目は主に5つだが、どれも特別難しいことではない
・過去に借金を返していない履歴があると審査の通過は厳しい
・審査に落ちた理由は教えてもらえないが、過去の口コミから傾向は分かる
お金を借りるということは、絶対に返さなけれないけません。そうは言っても失業や収入の減少などで借金返済がままならない人が一定数いるのが実情です。それでは金融機関が損をすることになるため、審査で申込者の信用度を確認します。
審査でチェックする点は「きちんと返済できるかどうか」で、主に申込者の年収や勤務先、現在の借入状況を確認します。主婦や学生、無職の人は厳しいですが、社会人として1年以上働いている人はそう難しい話ではありません。年収の1/3を目安に申し込むことで、審査通過の確率はぐっとあがります。
審査に落ちた理由は教えてもらうことができませんが、過去に落ちた人の口コミや評判を見れば「なんとなくの理由」は見えてきます。この記事で紹介している対策を講じることで、無対策で借金を申し込むより格段に審査通過の可能性が高まるでしょう。
この記事の監修者
鳥海一哉 公認会計士・株式会社BBWave代表取締役
監査法人勤務時に上場消費者金融業や信用金庫の主査を担当。その後、上場企業財務部に勤務し、収支管理統括、金融デリバティブ取引のフロント及びミドルオフィス業務に従事。…詳細はこちら→監修者プロフィール詳細