フリーローン利用中でも住宅ローンは組めるの?
これからいマイホームを購入しようと思って検討したときに、「フリーローンを利用中は住宅ローンを借りにくい」というような口コミを見かけて、困った人も多いかと思います。それでは本当にフリーローンの借入があると住宅ローンは借りにくいのでしょうか?
ここでは住宅ローンの基礎知識とともに、どうすれば審査に通りやすくなるかについて説明します。
フリーローンがあると住宅ローンの審査が通りにくいってホント?
住宅ローンを借りるときに、金融機関が重視することは「貸したお金をきちんと返してくれるか」ということです。住宅ローンは数千万円と、とても大きな額の融資を行います。このため貸し倒れが発生すると、金融機関にとっては大きな損失になります。
もちろん家やマンションを売却すれば、それなりの額を回収することはできますが、それでも100%回収できるわけではありませんので、金融機関は慎重に融資を行います。きちんと月々の返済が可能なのか、年収や勤務先など厳しく審査を行います。
その中で、フリーローンなどの借り入れがある場合は、審査においてマイナスの影響を与えます。なぜなら、すでに借り入れがあり、月々の返済をしている場合は、住宅ローンへの返済額に影響を与えてしまうためです。
3600万円の住宅ローンを30年で返すには、利息を無視すると1ヶ月10万円の返済が必要です。仮に月収が30万円だとすると、その1/3がローンの返済に充てられます。ところがすでにフリーローンで月々2万円を返済していると、住宅ローンが加わると12万円が借金の返済に使われます。
月収の4割が借金の返済となると、生活を圧迫しかねません。その結果として債務整理に繋がる可能性もあります。そう考えると、すでにフリーローンを利用している人に対して、追加の融資は避けたいところですよね。フリーローンを利用していると住宅ローンを借りにくいというのは事実です。
フリーローンが住宅ローン審査にもたらす影響は?
フリーローンが住宅ローンの審査にどのような影響をもたらすかについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
住宅ローンはとても大きな額の借金です。定年までに返済しようと思うと、どうしても月々の返済額が大きくなります。もちろん、家賃を払わなくて済みますので、生活費への影響はそれほど大きくありませんが、借金であることには変わりません。
賃貸の場合は、払えなくなったらもっと家賃の低いところに引っ越しをすればいいのですが、住宅ローンは完済するしかありません。このため、20~40年も安定した収入を求められます。そして、返済が生活を圧迫しないことも大切です。
このためローンを組む場合は、余裕のある収支バランスが求められます。このときにフリーローンの返済を行っていると、収支バランスが悪い方に傾いてしまいます。月々の返済額を少なくすることでバランスをとることも出来ますが、そうすると返済期間が長くなるため、貸し倒れリスクは上がります。
とはいえ、生活を圧迫するような返済額を設定すると、生活が苦しくなって債務整理を行う可能性も出てしまいます。いずれにしてもフリーローンがあることで、「確実な返済」が揺らいでしまいます。
住宅ローンの審査結果は、フリーローンの借り入れの有無だけで決まるわけではありませんが、審査を受ける上で、マイナスの印象を与えてしまいます。
住宅ローンの審査基準って?
フリーローンの有無だけで審査結果が決まるわけではないと説明しましたが、それでは住宅ローンを借りるときの審査基準はどうなっているのでしょう?どのような点に注意しておけば審査に通りやすくなるのでしょう。
住宅ローンでは、安定した収入がこれから何十年も続けていけるかどうかという点を審査されます。それともうひとつ、年収に応じた融資額なのかということも重要です。
安定した収入が期待できるかどうかは、勤務先と勤続年数を審査します。公務員や大手企業勤務であれば、リストラや倒産にあいにくいですが、中小企業に勤めている場合は、企業の継続性が低いと判断されます。その結果、審査としてはマイナス要因と判断されます。
勤続年数が短い人も、すぐに会社を辞めてしまう可能性があります。このため、住宅ローンを借り入れするには3年以上の勤続年数が必要と言われています。
年収に応じた融資額ということについては、後ほど詳しく説明しますが、借りたお金を無理なく返すことができるのかをチェックするために、融資額に対して余裕のある年収であるかどうかを審査されます。
その他に、長期間の返済になるため、借り入れする人の健康状態も重視されます。このため、団体信用生命保険に加入できることが、ほとんどの住宅ローン商品で求められます。団体信用生命保険に加入できないほどの健康状態の場合は、融資は難しいと考えてください。
住宅ローンとフリーローンの関係
住宅ローンを利用するときには、年収負担率も審査で重視されます。年収に対して年間の返済がどれくらいの割合になっているのかを示したものが年収負担率で、年間返済額を年収で割ったものがこれにあたります。
金融機関は住宅ローンを審査するときに、この年収負担率に上限を設定し、その値を超えたときは審査落ちする可能性がとても高くなります。年収負担率は一般的に25~35%以内に設定されています。この値は金融機関や年収によって変わります。
例えば、年収負担率を30%としている場合、年収が500万円の人では、1年間に150万円を返済額の上限として考えます。
この考え方は総量規制にも通じるところがあります。総量規制では年収の1/3までしか借り入れできないように規制されていますが、年収負担率というのは金融機関が自主的に設定している総量規制のようなものだと考えてください。
上記の例では年間に150万円までの返済が「無理なく返済できる目安」となるのですが、この金額は住宅ローンとフリーローンを合わせたものです。それぞれに150万円ではなく、合わせて150万円までが融資の上限です。
このためすでにフリーローンを利用している場合には、年間返済額の満額まで借りられるのではなく、年間返済額からフリーローンの返済額を差し引いたものが、融資の上限として設定されます。
フリーローンやカードローン、キャッシングはどうしたらいいの?
年収負担率の対象になるのはフリーローンだけでなく、カードローン、キャッシングもその対象として計算されます。それでは、すでに借り入れがある人が、住宅ローンの審査を通してマイホームを手に入れるためには、どのようにすればいいのでしょう?
基本的な考え方としては下記の2つがあります。
・ 年収負担率の範囲内で融資を受ける
・ フリーローンやカードローンを完済する
年収負担率の範囲内であれば、他社からの借り入れはそれほど重視されませんが、その範囲を超えてしまうと審査落ちします。ですので、購入するマイホームの予算を減らすか、頭金を多めに払って、無理のない返済となる範囲で融資を受けましょう。
借りていることがマイナスになっているのですから、借りているお金を完済してしまえば問題は解決します。ただし、フリーローン商品によっては一括返済ができないものもあります。フリーローンやキャッシングの場合は、融資可能枠が残ってしまうため、これも審査においてはマイナスです。
一括返済できないフリーローンは仕方ありませんが、カードローンやキャッシングは完済だけでなく、解約も行うようにしてください。特に消費者金融から借りていると印象が悪くなるため、消費者金融のカードローンは、住宅ローン利用前に必ず解約をしておきましょう。
住宅ローンの審査に通過するためには?
ここまでは、住宅ローンと他の金融商品との関係について紹介してきました。住宅ローンを利用するためには、他の金融商品はできるだけ使っていないことがベストということまでは理解してもらえたと思います。ここでは、他に住宅ローンの審査を通すためのコツを紹介します。
頭金を多めに払う
最近は頭金ゼロ円の物件なども増えてきましたが、頭金を多めに払っておくことで、住宅ローンとしての借入金額を減らすことが出来ます。住宅ローンは借入金額が多くなればなるほど、審査の通過が難しく、反対に融資希望額が少なければ審査に通りやすくなります。
このため、貯蓄に余裕があるのであれば、できるだけ多めに頭金を払っておきましょう。ただし、生活費に余裕がないような場合は、無理に頭金を払おうとはしないでください。安定した生活をおくることができる範囲内で、多めに頭金を払いましょう。
夫婦で住宅ローンを組む
通常は夫1人の収入で住宅ローンを組むことが多いのですが、共働きの場合は夫婦で住宅ローンを組むことで、審査に通過しやすくなります。これは年収負担率のベースとなる、年収が大きくなることで、年収負担率が小さくなるためです。
夫婦で住宅ローンを組む方法は、住宅ローン商品ごとに違いますので、金融機関の窓口で相談しながら決めるようにしましょう。
住宅ローンがあるとフリーローンは利用できるの?
フリーローンがあると、住宅ローンの利用が難しいことは理解できたと思います。それでは、住宅ローンがある場合、フリーローンを利用することはできるのでしょうか?やはり同じように利用しにくいのでしょうか?
これは金融機関の判断によって結果は変わります。住宅ローンの返済で生活が圧迫されていると判断された場合は、フリーローンの融資を受けられないケースがあります。住宅ローンの返済額がそれほど大きくなければ審査に通ります。
住宅ローンの有無でいえば、住宅ローンを利用していないほうが審査では有利です。とはいえ、大きなマイナス要因かと言われると、それぞれの状況によって変わってきます。絶対に借りられないということもなく、有利に借りられるということもありません。
住宅ローンに限らず、すでに借り入れがあった場合は、毎月コツコツと返済できるかどうかについて、厳しくチェックをされるだけで、そこがクリアしているなら、住宅ローンを利用しているという理由で審査落ちする可能性はとても低いと考えてください。
審査通過が不安な場合は、借入額を少なめにして申請してみましょう。また、住宅ローンを利用している金融機関でフリーローンを借りるという方法もあります。この場合は、他社で借りるよりも審査に通りやすく、金利が下がるなどのメリットもあります。
住宅ローンとフリーローンを一緒の金融機関で借りると特典がある
住宅ローンを利用しているときに、フリーローンを使いたくなったら、まずは住宅ローンで借り入れをしている金融機関の審査を受けましょう。きちんと返済をしていれば優良顧客として対応してもらえます。
また、住宅ローンを借りていると、フリーローンの金利が1%下がるといった特典を用意している金融機関がいくつもあります。フリーローンはとても低金利であることが特徴ですが、住宅ローンを利用している優良顧客のために、より借りやすい金利が用意されています。
例えば、伊予銀行のように、住宅ローンを利用している人専用のフリーローン商品を用意している金融機関もあります。このような商品の多くが、通常金利よりも低い金利で借り入れすることができます。住宅ローンを返済中にお金が必要になったら、同じ金融機関で融資を受けられないか検討してみましょう。
フリーローン以外でも住宅ローンを利用していれば、有利にお金を借りられる金融商品もあります。みずほ銀行ではフリーローンでもカードローンでも有利な金利でお金を借りることができます。自分の利用方法に合った金融商品を選びましょう。
それだけでなく、JALやANAのマイル特典や、お買い物5%割引特典など、住宅ローンには様々な特典が用意されています。住宅ローンを選ぶときはこれらの特典も意識して検討しましょう。
フリーローンと住宅ローンの併用で注意すること
住宅ローンとフリーローンの両方でお金を借りている状態は、一見すると危険に思えますが、金融機関がきちんと審査をした結果であれば、返済そのものは問題なくできるはずです。ただし、完済まで今の状況が続くことが前提です。
例えば、ボーナスカットや給与カットということが、大きな会社でも珍しくなくなってきました。住宅ローン単体でも、ボーナスカットの影響を受けて破産している人もいます。二重の借り入れはとてもリスクが高いということを認識しましょう。
フリーローンでの借り入れは最小限にして、できるだけ短期間で返済を済ませましょう。二重に借り入れしている期間を短くすることが、2つのローンを抱えているときの基本です。
また、住宅ローンで借りたお金の返済に、フリーローンを使うようなことはしないでください。借金を借金で返済することは、債務整理を招く可能性がとても高い状態です。金利も二重でかかってきますので、その他の返済方法を検討しましょう。
フリーローンと住宅ローンを併用するときは、収入が減ってしまうリスクも考えて、同時に貯蓄も行うようにしてください。すべての収入を返済に充ててしまうと、いざという時にまたお金を借りてしまいます。これ以上の借金を重ねないようにするためにも、返済と貯蓄を同時に行ってください。
住宅ローンの審査に落ちたらどうすればいい?
住宅ローンは決して借りやすい金融商品ではありません。むしろ厳しい審査がありますので、審査落ちすることもあります。審査に落ちてしまうと、マイホームの購入ができなくなるため、借りられるものだと思って進めていた計画がすべて止まってしまいます。
それでは住宅ローンの審査に落ちたら、どうすればいいのでしょう?ここまでの説明も踏まえて、審査落ちしたときの対象方法について解説します。
・ 他社の借り入れをすべて完済する
・ クレジットカードは必要なもの以外すべて解約する
・ 金利の高い住宅ローンで審査を受ける
・ フラット35を利用する
フリーローンも含めて、すべての借り入れを完済して、なおかつお金を借りられる環境を改善することが、住宅ローンを利用するための基本です。住宅ローンの返済だけに集中できる環境にあることを示すことが、審査通過のポイントです。
金利が高めの住宅ローンで再審査を受けることも重要です。金利が低い商品ほど審査が厳しくなりますので、一度審査に落ちている人は、できるだけ金利が高めの審査に通りやすい商品を選んで審査を受けなおしましょう。
それでも借り入れが不安な場合は、フラット35を利用してください。一般的な住宅ローンとフラット35では審査基準が異なるため、住宅ローンで審査落ちした人でも利用できることがよくあります。審査落ちした人は、フラット35も検討してみましょう。