メリット・デメリットを把握してフリーローンを活用しよう
フリーローンは銀行で借りることができる、使用目的を自由に決められるローンです。高額な買い物や海外旅行、結婚費用などのまとまったお金を用意するのに向いています。
ただしカードローンと違い、借りる前に使用する用途を証明しなければいけないという違いがあります。それ以外にも、どんなメリットがあってどんなデメリットがあるのか、この記事で詳しく解説していきます。
フリーローンのメリット
さまざまな金融商品の中から、あえてフリーローンを選ぶのはメリットがあるからです。利用するメリットは主に下記の4つです。
- 金利が低い
- 追加融資がないため返済スケジュールを立てやすい
- 借りたお金の管理をしやすい
- 総量規制の対象外
最も大きいメリットが低金利ということです。銀行カードローンの金利が平均10%前後であるのに対し、フリーローンは平均6%前後です。有担保型のものであれば3%前後まで金利が下がるので、その差は歴然です。
また追加融資がないため、いつになれば返済が終わるのかが明確です。追加融資を受けられる金融商品の場合は、ついつい必要以上に借りてしまうため、いつまで経っても返済が終わらないというようなことがたびたび発生します。
しかしフリーローンは決められた日には返済が完了するので、スケジュールが立てやすいのです。
追加でお金を借りてしまうと、自分の借金総額と毎月の返済額がわかりにくくなります。フリーローンは借りたら返すだけですので、返済残高と期間がわかりやすく、自分の資産管理をシンプルに行うことができるというのもメリットです。
そしてフリーローンのほとんどが銀行や信金が取り扱っています。そのため総量規制に関係なく、年収の1/3以上も借りることができます。実際には厳しい審査が待っていますが、まとまったお金を借りることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
フリーローンのデメリット
メリットがあるということは、当然デメリットもあります。利用してから「そんなつもりじゃなかった」となっては遅いので、デメリットについてもきちんと把握しておきましょう。主なデメリットは下記の4つです。
- 追加融資を受けることができない
- 審査に時間がかかる
- 審査が厳しくて借りるのが難しい
- 繰り上げ返済の手数料が高い
追加融資を受けることができないことは、さきほどメリットと紹介しました。しかしこれはデメリットでもあります。一度借りたら返済するだけというのはとてもわかりやすい半面、急にお金が必要になったときは、もう一度審査を受けなければいけないのです。
カードローンなら審査なしですぐにお金を借りられるのですが、フリーローンはそうはいきません。そのため予定外の出費が多い人にとってはデメリットとなってしまうのです。
そして審査に時間がかかるというのも大きなデメリットです。お金を借りるまでに最低でも1週間はかかるため、急な旅行に使いたいという用途には向いていません。使用用途を証明する書類を用意したり、お金を借りた後にちゃんとその用途に使ったことを証明する書類を提出したり、意外とやることが多いのです。すぐにお金が必要という人には使いづらいといえるでしょう。
また低金利ということは、その分審査が厳しいことを意味します。希望額が多くなるほど、安定した職業と高額な年収が求められます。これは人によってはデメリットと言えるでしょう。もちろんサラリーマンで安定した収入がある場合は、それほど問題なく借りることができますが、収入が低い場合は審査落ちの可能性が高く、簡単には利用できません。
最後に、早期完済を目指す人にとってのデメリットを紹介します。フリーローンは繰り上げ返済に大きな手数料がかかります。こまめに繰り上げ返済をすると、その手数料だけでも大きな金額になってしまいます。これについてはこの記事の後半で更に詳しく解説をしています。
メリットを最大化してデメリットを最小化する方法
上記で紹介したメリットとデメリット、人によって捉え方はさまざまです。でも誰がお金を借りるにしても、メリットはできるだけ大きくして、デメリットは最小にするのが最善の方法です。そのためにできる方法を3つ紹介します。
金利は10%以下に絞って探す
フリーローンの金利は金融機関や借りる額によって変わりますが、メリットのひとつである金利の低さを活かすには、低金利のものを選ぶようにしましょう。ひとつの目安としては金利を10%以下に抑えるようにしてください。金利が10%以上のフリーローンは、利用するメリットがほとんどありません。
利用条件が低いものを選ぶ
上場企業に勤めていたり、公務員のような安定した仕事に就いている場合は、利用条件を気にする必要はあまりありません。しかし自分の年収に自信がない人は、厳しい審査を通過するために利用条件のハードルが低いものを選びましょう。
繰り上げ返済が無料のものを選ぶ
借りたお金を予定通り返すという人は、繰り上げ返済について考える必要はありません。1円でも利息を減らしたいという人は、余裕のあるときにコツコツ繰り上げ返済を行って返済総額を減らしたいところですが、フリーローンには高額な繰り上げ返済手数料が設定されていることがあります。
結果的に利息以上のお金を払うことになりかねませんので、せっかくの低金利というメリットを活かすことができません。繰り上げ返済を考えている人は、手数料の掛からない商品を利用しましょう。
繰り上げ返済手数料がかかるデメリットを回避する方法
繰り上げ返済手数料についてさらに詳しく説明します。これが大きなデメリットであることはすでに説明しましたが、繰り上げ返済の手数料をなるべく安く済ませる方法があるのです。ひとつはすでに紹介した、繰り上げ返済手数料が無料の商品を選ぶことです。ここでは、もう一つの方法を紹介します。
繰り上げ返済を使う回数を1回にする
考え方を変えるという意味で、フリーローンを使う時はこまめな繰り上げ返済をやめましょう。別口座を用意するなどの方法で、余剰金はそこは一度移します。
そうして繰り上げ返済をしたつもりでコツコツ別口座にお金を貯めていき、その貯蓄額が、返済残高を上回ったときに一括完済を行えば、繰り上げ返済手数料を支払うのは1回だけで済みます。これにより、手数料が高いというデメリットを回避することができます。
例えば三菱UFJ銀行のフリーローン(多目的ローン)は、繰り上げ返済を行うのに1回につき5,400円の手数料が必要です。今月はいつもより1万円多く返そうと思っても、半分以上が手数料として取られてしまうのです。
これではいつまで経っても元金は減らないので、早期完済はムリでしょう。繰り上げ返済に使うためのお金を別口座に入れるだけなら手数料はかかりません。臨時収入などはこうして別管理するのがオススメです。
繰り上げ返済手数がどうしても避けられないなら、その回数を限りなく少なくすればいいだけです。
フリーローンを利用するための条件
これまでの説明で、フリーローンのメリットとデメリットが分かりました。それでは、ここからは実際に契約するまでに超えなければいけないハードルについて解説します。
まずクリアしなければいけないのが、各金融機関が設定している利用条件です。たとえばみずほ銀行のフリーローン(多目的ローン)の場合、申し込みをするための条件は下記のように設定されています。
- 借入時の年齢が満20歳以上満66歳未満で、最終返済時年齢が満71歳未満
- 勤続年数(自営の方は営業年数)2年以上の方
- 前年度税込年収(個人事業主は申告所得)が200万円以上で安定かつ継続した収入の見込める
- 保証会社の保証を受けられる
詳細な条件は各金融機関によって変わりますが、共通して言えることは勤続年数や年収を明確にし、しかも安定した収入のある仕事についていなければお金を借りることができません。みずほ銀行の場合は、上記の条件をひとつでも満たさない場合は、確実に審査落ちします。
また使用の用途は原則自由ですが、金融機関によっては借金の一本化には使えなかったり、見積書や契約書を用意できなかったりする用途に対しては融資不可となることもあります。一般的な他の金融機関と比べると、最低条件だけでも厳しいというのがフリーローンのデメリットです。
いくらまで借りることができる?
フリーローンは総量規制がないため、高額なお金を借りることができるというメリットを紹介しましたが、いくらでも好きなだけ借りることができるわけではありません。それでは実際にいくらまで借りることができるのでしょう。
目安は年収の1/3まで
ひとつの目安としては、年収の1/3までが借りやすい金額だと考えられています。銀行は総量規制の対象外ではありますが、ムリなく返済可能な金額がこのラインというのは銀行も消費者金融も変わりません。消費者金融は厳格に年収の1/3以下になるように抑えられますが、フリーローンはあくまでも目安に過ぎない点がポイントです。
多少オーバーしても融資してくれることもありますし、条件がいい人であれば、総量規制を大きく超えても貸付をしてもらえることがあります。ですので、ひとつの目安が年収の1/3だと頭に入れておくくらいで構いません。
商品説明にある限度額まで
またフリーローンの種類によっては、設定されている限度額がそれほど高くないというケースもあります。限度額を超えて借りることができませんので、金利や利用条件だけチェックするのではなく、比較検討するときは必ず商品の限度額も確認しましょう。
専業主婦でも借りることができる商品もありますが、この場合に借りることができるのは数十万円くらいです。会社員と同じような額を借りられることはありませんので、注意してください。
フリーローンとカードローンはどこが違う?
ここで気になるのがカードローンとの違いです。どちらも使用用途が自由なら、2つは同じものと考える人もいるでしょう。しかしすでに紹介した通り、フリーローンは一度借りたら追加融資を受けることができません。
借り入れ回数が違う
カードローンは設定された融資枠の範囲内で、何度でも追加融資を受けることができます。利用限度額が200万円と設定されれば、200万円までなら自由に何度でもお金を融資してもらうことができるため、終わりのない金融商品とも言えます。
このためカードローンは際限なく借りてしまって、借り癖がついてしまうため、いつも借金を抱えているというようになりがちです。反対にフリーローンの場合は、追加融資を受けられませんので、まずは返済することに集中でき、借金が必要以上に膨れ上がるのを抑えることができます。
金利が違う
一般的にはフリーローンのほうが金利が低いと言われていますが、金融機関や利用額によっては逆転することもあります。また金利が低い場合は、有利な条件でお金を借りることができるため、審査も厳しくなる傾向があります。
融資までの日数が違う
また、カードローンは即日でお金を借りることができることもありますが、フリーローンは審査に時間がかかり、金額によっては融資開始まで2週間近くかかることもあります。
フリーローンはどんなときに使うの?
数ある中からフリーローンを選ぶとしたら、どんなケースが考えられるのでしょうか?当然、メリットを最大限活かせる時に使うのが一番いいのですが、その中でもこんな時に利用したいという具体例を3つ紹介します。
海外旅行の費用を借りたい
フリーローンは利用目的が証明できれば低金利でお金を借りれるのがメリットです。海外旅行をしたい時に、旅行代理店の見積書などがあれば利用できます。その他の方法でお金を借りるより、利息を抑えることができるのでオススメです。
資格取得費用を借りたい
例えば、就職に役立つ資格を取りたい時にもオススメです。通信講座や専門学校の費用が分かる書類があれば利用できます。資格取得費用であれば一度借りれば追加でお金を借りたいといったケースは発生しません。そういう時にこそ利用しましょう。
家具や家財道具の購入費用を借りたい
引っ越しなどで家具などを買い換えるとなると、多額の費用がかかります。貯金で賄うのが難しければ、フリーローンを利用しましょう。家具以外にも、パソコンや大型家電などの高額商品を買うお金を借りることもできます。どれも見積書などが必要ですが、低金利で借りれるのでオススメです。
その他のローンの方がいいケース
目的がはっきりしている場合でも、車の購入や住宅の購入、子どもの進学などには目的別ローンを利用するほうが有利に借りることができます。しかし、目的別ローンはそれほど種類がないのが問題です。それら以外の目的で、まとまったお金が必要なときにフリーローンを利用します。
ただし、利用をするには厳しい審査を通過しなくてはならず、誰でも手軽に利用できるわけではありません。それでも利用することのメリットも多く、条件さえ整っていれば積極的に利用したい金融商品のひとつです。
まとめ
フリーローンにはいくつかのメリットとデメリットがあります。追加融資を受けることができないというような、メリットにもデメリットにもなる特徴もあり、利用するための条件もバラつきがあります。
最も大きなメリットは金利が低いことですが、その分審査が難しくなります。審査に通るためにも、低金利にこだわりすぎないようにしましょう。金利は10%以下をひとつの基準にするのが良いでしょう。
また繰り上げ返済の手数料が発生するので、その点もデメリットです。この場合、繰り上げ返済にメリットが少なくなりますので、手数料がかからない商品を選ぶか、貯蓄を行って一括完済を目指してください。
フリーローンは、限度額が低く設定されていることもあるので、必ずチェックをしましょう。年収の1/3までは借りやすいのですが、それ以上は審査も厳しくなることが予想されますので、審査落ちしそうな場合は有担保ローンも検討してください。
このようにメリットとデメリットを正しく理解しておけば、商品選びで失敗することを防ぐことができます。金融商品選びで迷わないようにするためにも、しっかりとそれぞれについて把握しておきましょう。