フリーローンの仕組みと借入限度額はいくらか知りたい
カードローンは主に生活費を借りるために使いますが、フリーローンは引越し費用や結婚費用など、目的がハッキリしているお金を用意するために利用します。
銀行が予め「こういう用途に使うなら低金利でお金を貸す」と決めているものを利用するため、銀行が許可すれば学費にも生活費にも利用できます。
カードローンより低金利なことが最大のメリットなので、お金を借りる目的がハッキリしている人はフリーローンの利用を検討してみるのがオススメ。
そこでこの記事は、銀行フリーローンの仕組みの説明と、いくら借りられるのかという限度額のお話をしていきます。まとまった資金が必要な人は一度目を通すことで上手にお金が借りられるようになります。
銀行フリーローンは低金利でお金を借りられるもの
フリーローンの借入限度額について紹介をする前に、まずはどのような金融商品なのかについて、簡単に説明しておきます。
フリーローンは、借りたお金の使用目的が明確になっているときに利用する金融商品です。最近人気の高いカードローンやキャッシングは、定められた利用限度枠の範囲内であれば、事業用途を除けばどんなことに使ってもかまいません。ところがフリーローンは何に使うかを借りるときに使用目的を申告します。
「フリー」ローンですが、自由に使ってもいいというわけでありません。住宅ローンや自動車ローンのような目的別ローンに対して、様々な用途に使ってもいいという意味で「フリー」という名前がつけられています。申告どおり使用した証拠として領収書などの提出を求められることもあります。
そう聞くと使い勝手が悪そうに感じるかもしれませんが、フリーローンの魅力はその金利にあります。他の金融商品と比べて、金利がとても低いものが多く、しかもキャッシングと比べると、借入限度額が高めに設定されています。
キャッシングの場合は、30万~50万円くらいまでしか借り入れできないケースがほとんどですが、一般的なフリーローンでは300万円以上の借り入れが可能です。また担保を用意すれば年収の何倍もの融資を受けることもできます。
フリーローンはいくらまで借りられる?限度額を紹介
それでは、フリーローンではいったいどれくらいの金額まで借りることができるのでしょう。ここでは主要な銀行のフリーローン限度額と、カードローンの限度額を比較して紹介していきます。
銀行名 | 商品名 | 限度額 | 金利 | カードローン限度額 |
---|---|---|---|---|
みずほ銀行 | みずほ銀行多目的ローン | 300万円 | 年5.875% | 800万円 |
三井住友銀行 | フリーローン(無担保型) | 300万円 | 年5.975% | 800万円 |
りそな銀行 | りそなプレミアムフリーローン | 500万円 | 年6.0〜年14.0% | 800万円 |
東京スター銀行 | スターワン目的ローン | 500万円 | 年2.8〜年7.8% | 1,000万円 |
北洋銀行 | 北洋フリーローン | 500万円 | 年4.9%〜年13.5% | 1,000万円 |
イオン銀行 | イオンアシストプラン | 700万円 | 年3.8%〜年13.5% | 800万円 |
ジャパンネット銀行 | フリーローン | 200万円 | 年14.75〜年17.55% | 1,000万円 |
ろうきん | フリーローン | 500万円 | 年5.825%〜年7.500% | 500万円 |
限度額だけを見ると、全体的にカードローンよりフリーローンの方が少なくなっています。しかし、みずほ銀行 多目的ローン
で300万円を借りると金利は「年5.875%」ですが、みずほ銀行カードローンで同額を借りると金利は「年6.5%」です。
このように、同じ金額を借りたとしても金利が低くなるのがフリーローンの特徴です。もし限度額が多い方が良いということであれば、イオン銀行 「イオンアシストプラン」を使えば限度額は700万円になります。
フリーローンの限度額が低い理由
全体的にフリーローンよりカードローンの方が限度額が高く設定されていますが、これは2つのローンの性質の違いがあります。フリーローンは銀行に使用用途を申告し、見積書にある金額だけを借りる方式を採用しています。
使用用途は結婚費用でも旅行費用でもリフォーム費用でも何でも構いませんが、見積書が限度額以下なら、限度額いっぱいまで融資してもらえることはありません。例えば見積書が200万円なら、フリーローンの借入限度額は300万円でも200万円しか借りられないのです。
限度額を低くしている理由は、住宅や車の購入以外で300万円以上の出費になることはほとんどないことが影響していると考えられます。1,000万円というような高額な設定にしても、家やマンションの購入以外で1,000万円も必要になるケースはほとんど考えられません。
本当に必要な額だけを借りるローンなので、そこまで高額融資は必要ないということで限度額が低めに設定されているのです。
高額借り入れをするなら有担保ローンを利用する
それでも時として、高額なお金が必要になることもあります。年収以上の借り入れをしたいというケースでは、無担保ローンではなく有担保ローンを利用しましょう。有担保のフリーローンとは、所有する不動産を担保にお金を借りる金融商品です。各金融機関の限度額は以下の表の通りです。
銀行名 | 商品名 | 限度額 |
---|---|---|
三井住友銀行 | フリーローン(有担保型) | 1億円 |
りそな銀行 | りそなフリーローン(有担保型) | 1億円 |
中央労働金庫 | 有担保フリーローン(不動産担保型) | 1億円 |
楽天銀行 | 楽天銀行不動産担保ローン | 1億円 |
先ほど紹介した銀行のフリーローンは全て無担保です。そのため限度額も300万円程度でしたが、不動産担保ローンにすると限度額は最大1億円までアップします。
例えば、三井住友銀行 フリーローン(有担保)の限度額が1億円ですが、無担保は300万円までとなっています。
とはいえ、借入限度額は担保に入れる不動産の価値に大きく影響します。ほとんど価値がない土地を担保にしても、1億円借りられるわけではないので注意しましょう。
マイカーローンでは借入限度額が1,000万円に設定されていることが多いので、1,000万円以上の自動車を購入するときや、希少価値のあるアンティークの購入など、どうしても高額な借り入れが必要になったときなどは、有担保のフリーローンを活用しましょう。
担保となるものの資産価値を計算する必要があるため、借り入れまでに時間がかかるというデメリットはありますが、無担保のフリーローンでは借りることができない金額を借りられますので、必要に応じて使い分けましょう。
無担保で借入限度額以上を借りたいときの対処法
有担保ローンなら限度額が高くなるとわかっても、不動産を持っていなければ利用できません。「不動産もない」「500万円以上の高額借り入れ」をしたい、という人はどうすればいいのか、カンタンに説明をしていきます。
高額借入をするならカードローンも検討する
カードローンとフリーローンは極端な話、大きく中身が異なるわけではありません。ろうきんや銀行が、数ある融資方法の1つとして提供しているだけなのです。そのためフリーローンの限度額で足りない場合は、カードローンに切り替えるなどの方法もあります。
実際、三菱UFJ銀行はフリーローンを廃止し、カードローン「バンクイック」に統一をしました。
30万円や50万円といった額の借入の場合は、フリーローンのほうが圧倒的に有利な金利で利用できますが、700万円、800万円といった高額な借入の場合は、カードローンでも金利が大幅に下がり、金融機関によってはフリーローンよりも低金利で借りることができます。
もし借り入れしたい金額が、フリーローン商品の借入限度額を超えていた場合は、銀行などのカードローンで融資を受けられないか検討してみましょう。
フリーローンの限度額は年収より使い道が大事
ここまで、フリーローンの限度額について紹介してきました。各種ローンの限度額の考え方は、基本的に下記の通りです。
- 消費者金融のキャッシング限度額:年収の1/3まで
- 銀行カードローンの限度額:年収の1/3〜約半分
- フリーローンの限度額:見積書に記載されている金額
消費者金融のキャッシングは総量規制の対象なので、絶対に年収の1/3までしか借りられません。また銀行カードローンは総量規制対象外ではあるものの、自主規制により借り換えなどの理由ではない限り、同等の額までしか借りられません。
しかしフリーローンは年収を目安に限度額を設定するわけではなく、「何にお金がいくら必要なのか」を重視します。銀行が「その使い道が妥当で返済できる」と判断すれば、年収以上の借入も不可能ではないのです。
Q:年収の1/3までしか借りられないのでしょうか?
A:審査の結果、年収の1/3を上回る限度額での契約となる可能性もありますが、お客さまが無理なくご返済いただける借入額を慎重に審査のうえ限度額を決定しております。
※出典:りそな銀行「フリーローンのよくある質問」より
例えば結婚式を挙げるとなれば、人によっては年収の何倍ものお金が必要になることもあります。そうした時に頼れるのがフリーローンなのです。用途を申告し、その妥当性も含めて審査をしてもらうからこそ、年収を超える額でも借り入れられる可能性があるということです。
ちなみに、フリーローンで年収以上の借り入れができる理由はカンタンで、銀行や信用金庫、労金などは総量規制対象外の金融機関だからです。消費者金融は総量規制の対象なので、年収の1/3以上を借りることはできません。しかしフリーローンを扱う金融機関はそうしたルールが存在しないので、金融機関が「返済可能」と判断すれば高額融資も可能になっています。
追加融資や増額は受けられる?
カードローンやキャッシングは、利用していく中で限度額を上げてもらう「追加融資」が可能です。しかしフリーローンは追加融資に対応していません。
Q:既に契約しているローンの増額は出来ますか?
A:既にご利用いただいている契約とは別に、新たにご契約いただくことになります。
※出典:埼玉りそな銀行「フリーローンのよくある質問」より
フリーローンで追加融資を受けたい場合は、新たにローンを契約することになります。
「申し込み→融資→商品(サービス)購入→返済」
これがフリーローンを利用するときのひとつの流れです。ひとつのステップが終われば、次のステップに移っていくだけで、前のステップに戻ることはありません。借りたお金で商品の購入や、サービスの提供を受けて支払いをしたら、あとは借りたお金を返していくだけです。
フリーローンは計画的にお金を借りて、計画的に返済していくスタイルの金融商品と考えてください。途中で予定が変わって、追加融資を受けたくても、受けることができないということはしっかりと頭に入れておきましょう。
フリーローンの審査をスムーズに通過する方法
フリーローンは限度額が低いものの、使用用途が認められれば年収以上の借り入れが可能です。しかし審査は普通のカードローンと異なり、「何にお金を使うのか」が重視されます。審査にスムーズに通るために、この章では覚えておきたいポイントを紹介します。
明確な見積書を提示する
フリーローンの審査で大事なのは、借りたお金の使い道です。審査の際に使用用途を証明する書類として「見積書」などの提示が求められます。この見積書は手書きのものではなく、きちんと支払先の業者が作成した正式なものを用意しましょう。
しっかり費用の内訳も記載してもらい、「何にいくら必要か」というのをはっきりさせることが大事です。もちろん虚偽は許されないので、しっかり1円単位で正確なものを作成しましょう。金融機関によっては、融資後に業者にきちんと支払った証明書を提出させる場合もあります。
過去に金融事故を起こしていないこと
フリーローンもカードローンと同じく、個人信用情報機関の情報を確認します。そこで過去に他社のローンで金融事故を起こしていると、当然審査は落ちてしまいます。個人信用情報機関にはそれ以外にも、「現在の他社借入状況」というものが記載されています。
すでに他社から年収の1/3以上を借り入れている場合、審査が非常に不利になります。フリーローンをおまとめローンとして使うなら、先に金融機関に「借金の借り換えである」と話しておきましょう。それなら、他社借入が多くても審査に通過する可能性があります。
まとめ
- フリーローンの限度額は300〜500万円が一般的
- 審査で妥当と認められれば、年収以上の借り入れも可能
- 同じ金額を借りる場合、カードローンよりフリーローンの方が低金利
- 審査の際には借りたお金の使い道を証明する書類が必要
- フリーローンで審査に落ちた場合、カードローンの利用も検討してみる
フリーローンで借り入れできる金額の多くが300~500万円です。カードローンやキャッシングのように利用限度枠の範囲内で何度も借り入れできるのではなく、1度お金を借りると追加融資は受けられず、あとは返済をするだけです。
審査で大事なポイントは、借りたお金の使い道です。「金融機関が明示している内容に合致しているか」、「年収に対して無理な借り入れではないか」が重要です。もし、年収の何倍ものお金を借りたい場合は、不動産を担保にできる有担保型を利用しましょう。担保と年収にもよりますが、最大で1億円まで融資を受けることができます。
そしてフリーローンの借入限度額で足りない場合は、カードローンの利用検討を行いましょう。カードローンも借入額が大きくなると、金利が低くなりますので、フリーローンよりも低金利で利用できることもあります。金融商品の上手な使い分けを意識しましょう。