信用金庫でフリーローンは利用可能?
フリーローンは銀行だけでなく、信金でも借りることができると聞いたことがあるかもしれません。とはいえ信用金庫からお金を借りるのと銀行からお金を借りる違いがよくわかりませんよね。ここではそんな信用金庫でフリーローンを利用する方法について解説します。
信用金庫からお金を借りる方法
信用金庫からお金を借りる方法を紹介する前に、まずは信用金庫がどういうものなのか簡単に説明しておきます。信用金庫はもちろん金融機関なのですが、地域会員の出資によって成立している非営利の金融機関です。
地域で集めた資金を、中小企業や個人に還元することで、地域の活性化に役立てる。そんな想いによって運営されているのが信用金庫です。
基本的には会員のための金融機関ですので、融資を受けるためには会員になる必要があります。ただし、融資金額によっては会員以外でも、預金を担保にしてお金を借りることも可能です。信金の預金は会員にならなくても利用することが可能です。
このため、信用金庫からお金を借りるには、自分が住んでいるか勤めている地域で営業活動をしている信金の会員になる、もしくは預金口座を作る必要があります。預金口座の場合は残高なども影響しますので、通常は信金の会員になると考えておきましょう。
会員になるには5千円~1万円の出資を行います。出資金ですので手続きは必要ですが、あとから戻ってきますし、出資金の配当を受けることも出来ます。会員になるためのデメリットはほとんどありませんので、お金を借りるときはまずは信用金庫の会員になりましょう。
その後の流れは、銀行と同じように申し込みを行って、審査に通過すれば融資を受けることができます。
信用金庫のフリーローンの特徴
信用金庫のフリーローンについて、もう少し詳しく見ていきましょう。まずはその特徴についてまとめましたのでチェックしてください。
・ 原則として会員しか借りることができない
・ 営業地域内に居住する人か勤める人でないと利用できない
・ 銀行よりは審査に通りやすい
・ 低金利である
すでに説明済みのものもありますが、もう一度それぞれについて細かく説明をしておきます。
原則として会員しか借りることができない
信金で融資を受けるためには、原則として会員になる必要があります。信用金庫はその理念に同意した人たちのための金融機関です。理念に同意できないけど、お金は借りたいというわけにはいきません。理念に同意して5千円~1万円以上を出資して、会員になった人だけがフリーローンの利用が可能です。
営業地域内に居住する人か勤める人でないと利用できない
信用金庫は地域密着型サービスです。その地域で暮らしているか、仕事をしている人しか利用をすることができません。とはいえ、全国各地に信用金庫はありますので、利用できる信用金庫がひとつもないというようなことはありません。
銀行よりは審査に通りやすい
信用金庫は会員に対して融資を行います。大枠で考えると仲間同士でのお金の貸し借りのようなものですので、銀行でお金を借りるときよりも融通がきく傾向にありますこのため、銀行よりもお金は借りやすいのですが、審査が甘いわけではありませんので注意してください。
低金利である
信金のフリーローンの金利は一般的には低金利です。信用金庫ごとに金利は違いますが、メガバンクのフリーローンよりもやや金利が高めになります。金利だけで考えると、銀行のカードローンと同等だと考えてください。それでも、消費者金融のカードローンよりは低金利ですので十分利用するメリットはあります。
銀行や消費者金融のフリーローンとの違い
銀行や消費者金融でお金を借りることができるのに、あえて信用金庫でフリーローンを借りるには、信用金庫ならではの特徴があるはずです。どのような特徴があるのか、銀行や消費者金融と信用金庫でお金を借りる違いについて紹介します。
信用金庫でお金を借りるには、会員にならなくてはいけないことは、すでに説明しました。これについて、もう少し深く説明しましょう。信用金庫は会員がお金を出資します。1人1万円の出資で1000人集まれば1000万円です。その1000万円を利用して、会員でお金に困っている人に貸付けをします
お金を借りた人は、その融資に対して利息をつけて返済を行います。利息は信金の運営に必要な費用を差し引いて、残りを出資した人たちに分配されるため、会員の中でお金が循環していきます。
この仕組みが銀行や消費者金融との大きな違いです。銀行は幅広くお金を集めて、集めたお金を貸付することで成立します。消費者金融は銀行などからお金を借りて、そのお金を資金にお金を貸しています。また銀行も消費者金融も利益を上げることを目的としていますが、信金は利益はすべて出資額に応じて会員に分配されます。
この仕組の違いが、信用金庫のお金の借りやすさにつながります。信用金庫もきちんとした組織ではあるものの、「困ったときはお互いさま」という考え方が定着しているため、銀行や消費者金融のようにドライな判断だけで融資を断りません。
簡単には貸してもらえないとわかると、多くの出資者が出資をとりやめてしまいます。出資を集めるためにも、信用金庫は柔軟な融資を行う傾向にあります。
信用金庫のフリーローンの審査基準
銀行と比較すると審査に通りやすいとされる信用金庫ですが、それでは実際の審査基準はどうなっているのでしょう?基本的な審査基準は銀行や消費者金融と変わりません。ただそれぞれのハードルが少しずつ低いと考えてください。審査するときに重視される項目は下記のようになります。
・ 年収
・ 勤務先
・ 勤続年数
・ 他社借入件数
・ 他社借入金額
審査基準の前提として、信金の営業範囲内で暮らしているか働いている必要があります。またブラックリスト入りしていないことも重要ですが、これは信金に限らず、ほとんどすべての金融機関で同じですので、ブラックリスト入りしている人は、金融事故の履歴が消えるまで待ちましょう。
信金でお金を借りる場合は、年収に対していくら借りたいのか、すでに他社からいくら借りているのかが重要視されます。年収に対して返済が難しくならない範囲までしか融資を受けることはできません。
また返済中に会社をリストラされたり、転職をされたりすると返済が滞る可能性があります。そのため、勤務先や勤続年数なども細かくチェックされます。公務員のような安定した収入がほぼ約束されているケースほど審査に通りやすい傾向があります。
すでに複数の金融機関からお金を借りている人は、信用金庫にしてみるとNGの状態です。多重債務になり、債務整理をされてしまう可能性がありますので、4~5社以上からの借り入れがある場合は、審査が厳しくなると考えておきましょう。
審査に落ちる理由と対策法
信用金庫は審査に通りやすいとはいえ、絶対に審査に通るというわけではありません。審査基準に明らかに足りていないような場合は、もちろん審査落ちしてしまうことがあります。それでは、審査落ちしやすい理由と、その対策法について説明します。
融資希望額が多すぎる
信用金庫は総量規制対象外ですので、年収の1/3以上のお金を借りられると紹介されることがありますが、年収の1/3を超えても融資をしていいだけで、実際には年収の1/3が最大融資額の目安になります。それ以上の融資は債務整理につながりやすいとされているためです。
信金でお金を借りるときは、年収の1/3を融資上限額の目安にしましょう。年収が600万円であれば、200万円くらいまでの融資希望額にして審査を受けましょう。
在籍確認ができなかった
信金も金融機関ですので、フリーローンの融資をするときに在籍確認を行います。在籍確認は申請時に記載した勤務先に電話をして、本当にその職場に在籍しているかの確認を行います。職場でうまく在籍確認ができればいいのですが、個人情報保護から「そのような者はいない」と対応する職場も増えています。
この場合は、融資を受けられなくなりますので、在籍確認が難しい職場の場合は事前に信用金庫に相談をしておきましょう。在籍確認の電話ではなく、社員証や給与明細で対応してもらえる可能性もあります。
特徴的な信用金庫のフリーローン紹介
フリーローン商品は信用金庫のものでも、どれも内容にそれほど大差はありません。ところが、いくつかの信金では他とは違う商品を扱っていることもあります。ここではそんな特徴的な商品について、その概要を説明します。
きのくに信用金庫の5種類のフリーローン
フリーローン商品をいくか用意している信金は珍しくありませんが、きのくに信用金庫では5種類ものフリーローン商品があります。最大1000万円まで借りることができる「モアフリー」や個人事業主向けの「パーフェクトフリーBIZ」など使い分けが可能です。
しずおか信用金庫フリーローン「快速!自由設計」
金利:年4.8~14.5%
融資金額:10万円以上500万円以下
しずおか信用金庫のフリーローン商品、「快速!自由設計」はその名の通り、スピーディーに自由度の高い融資を受けることができます。本人確認書類以外の書類提出の必要がなく、年金受給者や専業主婦でも利用することが可能です。また借換資金だけでなく、事業性資金での使用も可能です。
三島信用金庫さんしんフリーローン「襷」
金利:年6.5~14.5%
融資金額:500万円以下
三島信用金庫のさんしんフリーローン「襷」は、事業性資金でも借り入れが可能で、審査もインターネットを用いた仮審査を行うことで、スピーディーに審査結果がわかります。それだけでなく、年金受給月となる偶数月返済に対応しているため、年金受給者が利用しやすいフリーローン商品です。
信用金庫のフリーローンの返済方法
信用金庫のフリーローンの返済方法は、信用金庫によって違います。返済残高に応じて返済額が変わるタイプの返済方法を採用している信金もあれば、毎月元利均等割賦返済としている信金もあります。このため、利用する前にきちんと返済方法について把握しておく必要があります。
基本的に返済のための口座は、信用金庫のものでなくてもかまいません。給与振込のある口座をしておけば、返済用口座にわざわざ入金する必要はありません。ただしフリーローン商品によっては、その信用金庫の口座が必要になるケースもありますので、こちらも事前に確認しておきましょう。
毎月元利均等割賦返済の場合は、月々決まった金額を返済していきます。フリーローン商品によっては、ボーナスでの増額返済を設定することも可能です。少しでも早めに返済をしたいという人は、無理のない範囲でボーナス時の増額返済を申し込んでおきましょう。
繰り上げ返済や、一括返済に対応している信用金庫が多いのですが、ほとんどの信金で繰り上げや一括返済に手数料が発生します。手数料の額は信用金庫によって違いますが、1回につき5千円~1万円くらい発生しますので、繰り上げ返済を頻繁に行ったりしないように気をつけましょう。
一口に信用金庫と言っても、返済方法はその信用金庫によってまったく違います。借入条件を調べるときには、必ず返済方法の確認と返済シミュレーションを行って、返済総額の確認をしておきましょう。
申し込みからの流れ
フリーローン商品の取り扱いは、信用金庫によって変わりますが、申し込みから融資開始までの流れは、ほとんど変わりませんので、ここでは一般的な流れについて紹介します。
1. 仮審査の申し込み
2. 信用金庫・保証会社による審査
3. 仮審査結果の連絡
4. 手続きのために来店
5. 融資開始
ほとんどの信用金庫では来店での本契約になりますが、一部ではWEB完結に対応しています。この場合は、来店での手続きを行いません。このため、インターネット上での書類のやり取りだけで、融資を受けることも出来ます。
基本的な流れは、インターネットや申請用紙などで申し込みを行い、その申し込み内容に対する審査を受けます。審査は信用金庫もしくは保証会社が行います。数十万円の借入の場合は、審査が1時間程度で終わることもあります。
仮審査の結果は電話やメールなどで連絡があります。来店が必要なケースでは、そのあとは店舗での手続きを行い、本審査・本契約を行って融資開始となります。WEB完結の場合は来店をせずに、本人確認書類などをアップロードしてから融資が開始します。
全体的な流れは、どの信金でもこのようになります。流れの中で説明をしていませんが、信用金庫や保証会社による審査を行うときに、在籍確認や個人信用情報に問題がないかのチェックも行われます。
信金フリーローンはこんな人に向いている
ここまでの説明で信用金庫のフリーローンがどのような商品であるか、ある程度のイメージが出来たかと思います。それではどんな人が、信用金庫のフリーローンに向いているかについても紹介しておきましょう。
銀行での融資を断られそうな人
信用金庫の審査は、銀行の融資よりも借りやすいという特徴があります。銀行のフリーローン審査に落ちたという人は、信用金庫で審査を受けてみましょう。会員になる必要がありますが、銀行で落ちた人でも融資を受けられる可能性があります。
相互扶助の考え方に同意できる人
信用金庫は審査に通りやすいから利用するという考え方でもいいのですが、信用金庫はやはり相互扶助の理念に共感できる人のための金融機関です。困ったときはお互いさまの気持ちでお金の貸し借りをできる人が信用金庫の利用に向いています。
個人事業主や専業主婦
個人事業主は銀行のフリーローンで融資を受けることが難しいのですが、信用金庫は事業性資金でも利用可の商品があるほど、個人事業主にも優しい金融機関です。専業主婦も同様に銀行からは借りにくいのですが、信用金庫の場合は多くの商品で主婦でも借り入れが可能です。
できるだけ早く融資を受けたい
意外かもしれませんが、信用金庫の審査はとてもスピーディーです。数十万円の借り入れなら即日、1時間くらいの審査で、審査結果が出ることもあります。その後の手続もありますので、即日融資とはなりませんが、信金はできるだけ早く融資を受けたいという人に向いています。
信用金庫と銀行のフリーローンはどちらがいい?
信用金庫も便利だなと感じている人が多いかもしれませんが、実際に利用するとなると、信用金庫と銀行ではどちらのほうがいいのでしょう?
比較すべきポイントは金利と借りやすさです。まず金利は銀行のほうが低くなる傾向があります。地方銀行ですと、それほど低金利でないこともありますが、一般的には銀行のフリーローンはかなりの低金利でお金を借りることができます。
そして、信用金庫も金利は低いため、借入金額によってはほとんど誤差のような金額差にしかならないこともあります。金利面だけで考えれば、最優先すべきなのは銀行のフリーローンですが、商品ごとにしっかり比較を行いましょう。
借りやすさという意味では圧倒的に信用金庫がおすすめです。どれだけ低金利でも、借りることができなければ意味がありません。まずはお金を借りることを優先すべきですので、勤務先や勤続年数のステータスが良くない人には信用金庫がおすすめです。
もっとも両方の審査を受けることができますので、まずは銀行で審査を受けて、審査落ちしてしまったら信用金庫で申し込みを行いましょう。また、急ぎで融資を受けたい場合は、時間をかけずに審査に通りやすい信用金庫を利用しましょう。