個人事業主は収入が安定していないため、いろいろな金融機関からお金を借りてしまいがちです。ところが借りすぎて多重債務状態になり、毎月の返済に追われてしまって、事業に集中できないようなケースがあります。
こんなときに活用したいのがおまとめローンです。個人事業主でおまとめローンなんて使えるの?そんな疑問も含めて、ここでは個人事業主がおまとめローンを活用する方法を紹介します。
個人事業主はおまとめローンを利用できる?
個人事業主はおまとめローンやその他のローンを借りにくい。そんな噂を耳にしたことありませんか?実際のところ確かに正社員と比べると、個人事業主はお金を借りにくい属性ではあります。ただし、絶対にお金を貸してくれないわけではありません。おまとめローンの審査を受ける条件は「安定した収入があること」と年齢くらいしかありません。「個人事業主は審査を受けられない」としているおまとめローンはまずありません。それどころかアルバイトや主婦でもおまとめローンできることもあります。
おまとめローンを使えないのは、個人事業主の中でも安定した収入がない個人事業主だけです。収入が極端に偏っていたりしない限り、おまとめローンを使うことは可能です。そもそもおまとめローンを使うということは、それ以前にローンを借りているということですので、おまとめローンだけ借りられないというようなことはありません。
おまとめローンを利用するために必要なこと
個人事業主がおまとめローンの審査を通すには、個人事業主ならではのポイントがあります。個人事業主がおまとめローンを利用するために必要なことについてまとめてみました。収入証明書を用意する
銀行であれば100万円以下、消費者金融であれば50万円以下まで収入証明書不要としているケースがほとんどですが、実はこの収入証明書不要というのはあくまでも会社員のように安定した収入を見込むことができる職業の人に限られています。
個人事業主は安定収入があることを確認する必要があるため、収入証明書を用意する必要があります。確定申告書や、住民課税決定通知書など、収入がわかる書類を用意しましょう。
事務所に固定電話を用意する
個人事業主でも在籍確認はあります。事務所がある場合は事務所に電話があり、自宅兼事務所の場合は、自宅に電話がかかってきます。最近は固定電話を持たずに、すべて携帯電話でまかなっているケースが多いのですが、在籍確認のために固定電話は必要です。事務所にあまりいないような人は、携帯電話への転送設定もしておきましょう。
固定電話がない場合は、いつでも逃げられてしまうという不信感があるため、審査に通りにくくなります。金融機関によっては携帯電話で大丈夫なこともありますが、基本的にはNGとなりますので、固定電話を用意するようにしましょう。
個人事業主のおまとめローン利用のよくある疑問
個人事業主がおまとめローンを利用するときによくある質問と回答をまとめましたので、おまとめローンを利用する前にチェックしておきましょう。Q1
個人事業主はなぜおまとめローンを利用しにくいの?
A1
個人事業主は会社員と比べて、将来の収入がどこで途絶えるかわからないため、返済が滞る可能性が高いため、おまとめローンの審査が通りにくくなります。
Q2
個人事業主が申し込みできないおまとめローンはある?
A2
東京スター銀行のスターワンバンクローン(おまとめローン)は自営業、主婦、パート、アルバイトの人は利用することができないため、個人事業主は利用できません。
Q3
審査の甘いおまとめローンはありますか?
A3
審査の甘いおまとめローンというものは存在しません。特に個人事業主に対してはどの金融機関も審査が厳しくなる傾向にあります。
Q4
ブラックリスト入りしていてもおまとめローンを使えますか?
A4
ブラックリスト入りしている場合は、いかなる理由があってもおまとめローンは利用できません。もし「ブラックでもまとめられる」と宣伝している業者があれば、ほぼ間違いなく闇金融ですので、手を出さないようにしましょう。
Q5
おまとめローンとして借りたお金を事業資金にしてもいいですか?
A5
個人として借りたお金を事業に使うことはできません。おまとめローンで借りたお金は借金をまとめるために使いましょう。事業用にお金が必要な場合はビジネスローンで借りるようにしましょう。
個人事業主の審査基準
個人事業主だからといって、特別に審査基準が変わるわけではありません。基本的には一般のおまとめローンと同様の審査基準だと考えてください。個人事業主がおまとめローンで審査されるポイントは下記のようになります。
・ 年収
・ 個人事業歴
・ 居住形態
・ 他社からの借入金
・ 他社借入件数
・ ブラックリスト入りしていないか
個人事業主の場合は年収が非常に重要になります。安定した収入があるかどうかは、所得証明などからは判断できないため、1年間にどれくらいの収入があり、それを何年継続しているかが重要になります。
居住形態は持ち家のほうが圧倒的に有利になります。おまとめローンの返済が滞ったときに売却できる資産があることが有利に働きます。
他社からの借入金や借入件数は、おまとめローンだから気にすることはないと思いがちですが、一般的には5社以上から借入をしている場合で、なおかつ総量規制以上の借金がある場合は、審査に通りにくくなります。
そして最大の問題はブラックリスト入りしていたり、個人信用情報で滞納の履歴がいくつもあったりするようですと、返済できない可能性があるとして、審査落ちする可能性が高くなります。ブラックリスト入りしているのは絶対にNGで、携帯電話料金の延滞も個人信用情報に履歴が残りますので、審査においてはマイナス評価になります。
審査に通るためには
個人事業主でもおまとめローンを利用することは可能ですが、「自分は大丈夫です。信用してください」といくら口で言っても、簡単には審査を通してはもらえません。ここでは個人事業主がおまとめローンを利用するのに必要なことについて紹介します。一本化のために使うということを示す
個人事業主にお金を貸したがらない理由のひとつが、貸したお金を事業で使ってしまう可能性があるためです。基本的にカードローンやおまとめローンを事業資金として使うことは認められていません。ただし、お金には色がありませんので、事業に使ったのか個人で消費したのかが分かりにくいのが実情です。
このため、銀行のカードローンのような使用用途が自由なローンではなく、消費者金融のおまとめ専用のおまとめローンを利用すると、審査に通りやすくなります。
現在の借入状況を整理する
おまとめローンを利用しようとしていますから多重債務状態になっているかと思います。そして総量規制以上のお金も借りている可能性があるかと思います。この状態を改善しなければおまとめローンの審査には通る可能性が低くなります。
まず返済残高を年収の1/3以下にまで減らすところまでがんばってください。そのとき借入が少ない1社に集中して返済するようにして、1社でも多く完済しておきましょう。5社以上の金融機関からお金を借りている場合は、おまとめローンと言えども審査を通るのは厳しくなります。おまとめするにしても、金融機関が融資しやすい状態を整えてください。
審査に通らない理由と対策
おまとめローンを利用する上で、審査に通らない人には共通点があります。ここではおまとめローンの審査に通らない理由とその対策を説明します。将来の収入が不透明で安定性に欠ける
個人事業主が会社員と比べて審査で不利になるのはこの1点です。とはいえお金を借りたいからと行って会社員になるわけにはいきませんよね。収入が不透明で安定性に欠けるということはしっかりと受け止めてください。
これに対する対策は、他の審査基準でマイナスにならないこと、できることならプラスにすることが重要です。他社からの借入と借入件数を減らすこと、些細な支払いでも延滞しないように気をつけてください。
条件をよく見せようと嘘の申告をする
個人事業主は審査に通りにくいという心理から、申し込み時に嘘の申告をする人がいます。借入件数を少なく書いたり、借入金額を少なめに書いたり、年収を多めに書いたりすることがあります。それらは実は申告しなくても金融機関のほうで把握することができます。
個人事業主は収入証明を出しますので、年収は分かりますし、借入件数も借入金額も信用情報機関で確認できます。この申告はあなたの誠実さを測っていると考えてください。誠実でない人にお金を貸すわけにはいきませんので、嘘の申告をした人にはお金を貸しません。
意図的でなくてもイメージが悪くなってしまいますので、申込用紙には嘘偽りなく、間違いなく書き込むようにしてください。
個人事業主でも利用できるおすすめおまとめローン紹介
それでは実際に個人事業主がおまとめローンをするのに最適なおまとめローンを4つ紹介します。・オリックス銀行カードローン
借入限度額:最高800万円
実質年率:1.7~17.8%
オリックス銀行でおまとめローンをする場合は、カードローンを利用することになります。銀行のカードローンですので、借入限度額も金利も低いのが最大の特徴です。希望限度額300万円以下の場合は所得証明書不要となっていますが、個人事業主の場合は所得証明書が必要になることがありますので気をつけてください。
オリックス銀行のカードローンは2社の審査を受けることができるため、審査のチャンスが2回あるのもオリックス銀行をおすすめする理由の一つになります。
→オリックス銀行一本化ローンの詳細
・みずほ銀行カードローン
借入限度額:最高800万円
実質年率:2.0~14.0%
みずほ銀行のカードローンは敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、特別に審査が厳しいということはありません。むしろ前年度の年収の1/2までしか借りることができないため、審査に通りやすい銀行のカードローンとも言えます。
みずほ銀行のカードローンの審査を個人事業主が通す場合は、ビジネス用のメインバンクをみずほ銀行に設定し、安定した収入があることを示すようにしてください。
・プロミス
借入限度額:最高300万円
実質年率:6.3%~17.8%
プロミスには自営業者カードローンという商品があります。この自営業者カードローンとおまとめローンは金利も借入限度額も同じになります。ということは、プロミスは積極的に個人事業主にもお金を貸している消費者金融ということになります。
審査が甘いということはありませんが、個人事業主にはおまとめローンでは貸さない金融機関もあることを考えると、門前払いされないというだけでも安心して審査を受けることができます。
→プロミスのおまとめローンの詳細
・アイフル
借入限度額:最高800万円
実質年率:3.0~17.5%
アイフルもプロミス同様に、個人事業主への融資を積極的に行っている消費者金融になります。こちらは事業性融資専用のプランですが、個人事業主にお金を貸している実績があるというのは個人事業主にとっては心強い存在です。
おまとめローンと総量規制の関係
おまとめローンは複数の金融機関から借りたお金をひとつにまとめるローンになります。3社合計で150万円借金があったとすると、おまとめローンで150万円借りて、それを返済に充てることで、そこからはおまとめローンの150万円を返していくことになります。このとき、おまとめローンを利用すると瞬間的に300万円の借金が発生します。
消費者金融などからお金を借りる場合は、総量規制があり年収の1/3までしか借りることができません。もし年収が450万円だとしたら、150万円借りている段階ですでに総量規制ぎりぎりです。おまとめローンでさらに150万円借りたら、総量規制オーバーになるため、本来なら借りることができません。
ただ、総量規制には例外項目があり、「顧客に一方的に有利な借り換え」の場合は総量規制を超えて借りてもいいことになっています。簡単に言えば「おまとめローンなら総量規制を超えて借りてもいいですよ」ということです。このため、おまとめローンは総量規制を超えてお金を借りることができるのです。
また総量規制は貸金業法での規制ですので、銀行法で営業をしている銀行には影響しません。そのため銀行では総量規制に関係なくお金を借りることが可能です。銀行のカードローンは使用用途が自由ですので、おまとめローンに使うことも可能で、低金利ですのでおまとめローンに最適なローンとして使われています。
融資とおまとめローンの違い
個人事業主の場合が混乱しがちなのが融資とおまとめローンの違いです。個人事業主は常に二つの財布を持っているのだと考えてください。個人消費のための財布と、事業のための財布です。これらは明確に分けておく必要があります。帳簿をきちんと自分でつけている人ならこの考え方がわかるかと思います。そしておまとめローンやカードローンで借りることができるお金は、個人消費のための財布に入り、融資で借りることができるお金は、事業用の財布に入ります。
少し混乱する要因のひとつとして、ビジネスローンのように事業用の財布に入れても、個人用の財布に入れてもいいローンがあることです。ただし、これは例外だと考えておきましょう。帳簿上もとても複雑なことになります。
基本的にはおまとめローンは、複数社から個人で借りたお金をひとつにまとめるためのローンで、事業で借りたお金をまとめることはできません。事業性融資も事業で必要なお金のために使用するものです。
お金に色がないため、どう使ったのかなんて分からないじゃないかと思うかもしれませんが、おまとめローンやカードローンを事業で使用した場合、帳簿と通帳などでお金の流れを追われたらすぐにわかってしまいます。これらのお金はきちんと別口座で管理して一緒にならないように注意してください。
まとめ
個人事業主は会社員のように毎月決まったお金が入ってくるわけではありませんので、どうしてもローンを組むときに不利になってしまいます。この部分に関してどうしようもないことですので、おまとめローンを借りるときは、他の部分でマイナス要因を作らないように気をつけましょう。おまとめローンを個人事業主が利用する場合はほとんどのケースで、収入証明が必要になります。これは個人事業主にとってはマイナスではなく、むしろきちんとした収入があることの証明になりますので、事前に用意しておきましょう。
また固定電話がない場合は在籍確認ができないため、審査落ちしてしまう可能性があります。最近は携帯電話だけで事業を行っている人も増えていますが、お金を借りるには信用が必要ですので、固定電話は必ず設置するようにしましょう。
申し込みをするときはどうしても有利にしたい心理が働いて、申込用紙に嘘を書いてしまうことがあります。おまとめローンの申し込みで嘘の記述をするメリットはひとつもありません。むしろ嘘は100%バレてしまい、審査落ちしてしまうだけですので、申込用紙は正確に記入するようにしましょう。
個人事業主がおまとめローンの審査で不利なのは、安定した収入が見込めないという点だけです。一部、自営業者にはおまとめローンでお金を貸さない金融機関もありますが、積極的に自営業者にお金を貸している消費者金融もありますので、個人事業主に有利な金融機関の審査を受けるようにしましょう。