ローンを一本化するメリット
いくつもの業者から借り入れがある多重債務に、払っても払っても支払日に追われ、苦難な生活を送る方も少なくありません。経済的なことだけでなく精神的にも負担がかかり、自己破産などの方法を安易に考えてしまいます。その前に、おまとめローンを検討してみてはいかがでしょうか?具体的にどんなメリットがあるのか、ひも解いてみたいと思います。
- 金利が下がる
- 月々の返済額の減額化
- 返済期間の短縮化
- 支払日の明確化
- 返済手数料のコストセービング
ローン一本化によってメリットとなる主なポイントは以上の5つが挙げられます。返済総額が100万円を越えたあたりから、数十万円を数社から借り入れするよりも、1社にまとめて借り入れした方が金利がグーンと下がります。
金利が下がることに連動しますが、返済総額が減ることによって、月々の返済額を減らして無理のない生活や、返済期間を短くすることで借金生活からの早期離脱などの返済計画の見直しが可能です。支払日も月に1回で済むので、借り入れと返済状況が明確化します。
また、それぞれの金融業者に対する返済手数料が意外とあなどれません。多重債務の場合、例えば5件の返済手数料で700円かかったとします。すると、返済手数料だけで、年間8400円を払っているということになります。2年3年のローンとなれば、ちょっとした電化製品が買えてしまうほどの浪費になります。
ローンを一本化するデメリット
返済額が多くなってしまう
借り換えの一本化に成功しても、利息額があまり下がらない場合があります。アコムなどの消費者金融が提供する最高金利と言われる18%から10%以下に金利が減ったとしても、返済期間(回数)が長くなると返済総額があまり変わらない、それどころか逆に増えてしまうケースもあります。詳しくは、後述する「おまとめローンの失敗事例」の項で詳しく解説しています。
返済済の金融業者の誘いに乗ってはいけない!
おまとめローンに借り換えした後に、すでに完済した金融業者を含めて新たに借り入れするのはご法度です。借り換えの一本化を無事果たしても、金融機関によっては、契約違反と見なされ、一括返済を求められるリスクを伴います。
ローンの完済経験のある方でしたら心あたりがあるかもしれませんが、借金を完済すると、完済した金融会社から“追加融資を催促する案内”が届きます。借り換えの一本化で月々の返済額が減ると、借金が減ったと錯覚し、思わず甘い落とし穴に乗ってしまう方も少なくないようです。十分に想定して確固たる強い意思でのぞむことが大切です。
おまとめローンのメリット・デメリット
おまとめローンのメリット
「おまとめローン」は、銀行をはじめとする消費者金融などの金融業者で、近年力を入れているローンです。前述した「ローンを一本化するメリット」に加え、おまとめローンに特化したメリットをいくつか挙げてみましょう。
・総量規制の対象外
・個人信用情報機関の履歴に載らない
・追加借り入れの歯止め
おまとめローンは、賃貸業者に発足された総量規制
(年収の3分の1以上の貸し出しはしてはいけないという法律)の対象とならないメリットが挙げられます。年収300万円以下ですと100万円も借りることができないという中、借金で火の車の方にとっては“救いの神的存在”です。
借金関連の手続きをすると、指定信用情報機関(CIC)などの履歴に残ることが想定されますが、おまとめローンは債務処理ではないので、履歴に傷がつきません。また、おまとめローンは、返済専用のものも多く、追加で借り入れをしてしまうというリスクに歯止めをかけてくれます。
おまとめローンのデメリット
次に、おまとめローンのデメリットについていくつか挙げてみましょう。
・審査が厳しい
・過払い金の請求ができない
おまとめローンの最も多くの方が期待するポイントは、今よりも低金利で借り入れできるということです。金利が安いことに比例してつきまとうのが、審査が厳しいということです。ここが一番の悩みのタネとなります。とくに銀行の金利は安いですが、その分審査が厳しくなります。
また、過払い金がある方は、おまとめローンの申請をする前に払い戻し請求しておいた方が無難です。おまとめローンに借り換えした後でも、司法書士や弁護士などに依頼することができますが、払戻金の約30%を報酬として支払わなければいけなくなるので注意が必要です。
→おまとめローンのデメリットの詳細
メリット・デメリット双方の観点からみたおまとめローンの特徴
おまとめローンには、メリットともデメリットとも言える選択項目が存在します。どういった点か解説します。
低金利の裏付けが必要
ホームページなどで紹介されている金利表示に安易に飛びつかないようにしましょう。借金で心に余裕のない方は、表向きの低金利に安住し、早く契約することばかりが先行してしまいがちです。そこで、本当にそのおまとめローンが自分にとってメリットなのかを見抜くことが必要です。自分に合っていないおまとめローンを選んでしまうと、結局条件が合わずあとで再検討することになり、二度手間にもなり兼ねません。そうしたデメリットもあるので、事前にいくつかの判断要素を挙げてみましょう。
・月々の返済額に無理はないか?
・利息額が却って高くなっていないか?
・返済期間が延びていないか?
これらを相対的に見て“最も好条件で返済できる調和点”を探すことが賢明です。完済までのスケジュールを明確にしてから最終判断しましょう。
追加借り入れの有無
おまとめローンは、返済専用の場合が多いので、利用限度額にまだ余裕がある場合でも最初の契約で決めた後の追加の借り入れは難しくなります。追加の借り入れができないのはデメリットかもしれませんが、浪費癖をやめたい方にとってはメリットとも言えるでしょう。それに、できるだけ追加借り入れを当てにしなくても“順当に生活できる経済設計をもとに返済計画を立てる”ことこそが重要です。
おまとめローン利用はこんな人におすすめ
おまとめローンは実際にどんな方が利用できるのでしょうか?利用の定義は「多重債務の借り入れを一本化したい方」となっています。各金融業者のホームページを見ると、中にはどんな方でもと騙っているものも見受けられますが、掘り下げてみると条件がそれぞれあるようです。
ただし、おまとめローンの全体を見渡すと、パート・アルバイト・専業主婦・派遣社員、年金受給者などの低収入の方でも、条件に基づき借り入れすることが可能です。まずは、あきらめずに受け入れ可能な金融業者を探してみる価値はあります。
家族に知られたくない方
家族に知られたくない方ですと、無人契約機の代表ともいえる消費者金融などを借り入れ対象にしてしまいますが、銀行でも最近では、家族にバレないような配慮も多く見受けられます。家族にバレてしまうポイントは、電話確認・郵送物の受け取りなどのタイミングです。
例えば、楽天銀行などのネット銀行を利用すれば、インターネットのみですべてが完結してしまうのでその心配もありません。電話確認や郵送手続きを要する銀行でも、電話確認では銀行名を名乗らずに個人名からにしたり、郵送物はローンに関連した書類とわからないような配慮をする傾向があります。ただし、全ての銀行で実施されているわけではありませんので事前確認は必須です。
おまとめローンの成功事例
具体的に、おまとめローンに借り入れしたことによって、返済額が減った成功事例をご紹介しましょう。150万円を2年の返済で借り入れした例です。
【借り換え前】
A社 30万円 金利18% 返済2年 利息額117,000円
B社 50万円 金利16% 返済2年 利息額173,000円
C社 70万円 金利16.5% 返済2年 利息額250,000円
以上をD社にまとまたところ、以下のようになりました。
【借り換え後】
D社 150万円 金利10% 返済2年 利息額315,000円
借り換え前は、利息額が約54万円だったものが、借り換え後には、約31.5万円に減った成功事例です。月々の返済額は、借り換え前には8.5万円だったものが、借り換え後には7.5万円に減らすことが出来ました。おまとめローンに移行する際には、金利はもちろんのこと、月々の返済額に無理はないか?返済期間が延びていないか?ということも重要です。
上記事例を応用しますと、月々の返済額をもうちょっと減らしたいのなら、返済期間を3年に調整します。すると利息額は、約49.5万円と、借り換え前とあまり変わらなくなってしまいますが、月々の返済額が5.5万円となり、支払いの負担も軽くなります。この際に、どこまで延長可能かの上限を自分で決めておくと調整する時のものさしとなります。
おまとめローンの失敗事例
月々の返済額の過剰な減額に注意!
おまとめローンの一本化に借り換えしたい方の中でも、とくに危機感をもってのぞむ方の多くは、月々の負担額を減らしたいことが先行します。無理のない生活には月々の返済額を少なくすることがポイントとなりますが、そこばかりを見てしまうと、支払い期間の過剰な延長ということにもなり兼ねません。
延長する分に関しては問題ないように見えますが、支払い期間が延びれば延びるほど、利息額も加算されてしまいます。ここが、年率計算の落とし穴でもあり注意が必要です。状況によっては、借り換えする前よりも返済総額が増えてしまったというケースも少なくありません。
例えば、月々の返済額が消費者金融で10万円だったものから、銀行のおまとめローンに一本化することによって6万円程度に減額する返済計画をしたとしましょう。借り入れ額は200万円で、金利は最高金利18%から12%に下がりました。しかし、返済期間は3年から6年に増える計画となり、利息額の上乗せにより借り換え前よりも返済総額が多くなってしまったというケースもあります。
おまとめローンは、目の前にあるおトク感よりも、返済総額が借り換え前よりも減額になっているのかも忘れずにチェックしたい項目です。
おまとめローンの利用方法
返済シミュレーション
各金融機関のホームページや口コミから、妥当と判断したおまとめローンに申込む前に、申込み可能かのシミュレーションや、返済シミュレーションの活用をおすすめします。同じ金利でも金融機関やローンの種類によって計算方法はそれぞれです。各ホームページに設置されている返済シミュレーションで借り入れ金額・返済期間など、具体的な数字を入力し、利息額などの確認をしておくことがベターです。
ベストな金融業者をチョイス
申込み可能かのシミュレーションで否決されなかったと同時に、返済シミュレーションでも問題ないようでしたら申込みの候補にあげましょう。同じ条件でいくつかの目ぼしい金融業者と比較して、最も好条件だったところへ申込み手続きしましょう。
申込み内容
申込書の記入事項は、大きく分けて次の4点と、その詳細をまとめました。ただし、金融機関によっては、項目の違いがありますので大体の目安として参考にしてみてください。
1.個人の情報
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 配偶者について
- 年収
2.住宅の情報
- 電話番号(自宅に電話が無い場合は、携帯の電話番号
- 自宅が所有物かどうか
- 居住年数
- 住宅ローンがあれば月々の返済額
3.勤務先の情報
- 職種
- 業種
- 勤続年数
- 勤務先の住所
- 勤務先の電話番号
4.借り入れ希望内容
- 借り入れ希望金額
- 多重債務の借り入れ件数
- 多重債務の返済総額
これらが主な申込みする際の入力内容となっています。
審査から融資まで
審査には、仮審査と本審査の二重審査方式をとる金融業者や、すでにカードローンなどの契約が行われている場合は、直接本審査となるケースがあります。審査通過後の銀行で行う契約は、基本的に郵送の書類手続きが必要となることが多いので、融資までに1週間以上は見ておいた方が無難でしょう。
借り入れ金は、指定した口座への振り込みが主流です。どうしても即日融資が必要な方でしたら、インターネットで完結するタイプが最短融資となりますが、個々の条件を把握し、自分にもあてはまるかを確認する必要があります。
返済方法
返済方法は、自動で口座振替となるのものが主流です。しかし中には、毎月入金手続きをしなくてはいけないタイプもありますので、後々の手間を考えると事前確認しておきたい項目です。おまとめローンは、毎月決まった返済額を完済まで支払うものが主流となりますが、最近では繰り上げ返済と言って、追加で返済入金するタイプも出回っています。早期返済をしたい方には重宝します。
おまとめローンの審査基準
借り入れ件数が問われる
銀行では、一般的に5社以上の借り入れがあれば、おまとめローンの審査に不利になると言われています。実は、トータル借り入れ額よりも、借り入れ件数が重要視されます。そこで本命の銀行に申込む前にぜひやっておきたいことが、借り入れ件数を減らしてから申し込むという対策です。
応急処置で、審査に甘いとされる消費者金融などから、ある程度まとまった借り入れをし、2社~3社、少なくとも4社以内にまとめてから申し込むことによって、審査基準のハードルを下げることが期待できます。
返済遅延
過去に返済遅延がある場合、審査基準が厳しく見られる可能性があります。金融業者によっても判断基準が異なるようですが、2か月3か月の滞納で遅延事故と見られることが多いようです。もう既に支払ったという場合でも、滞納記録は5年間ほど残ってしまいます。
申込みブラック
ブラックリストほど重要視されませんが、「申込みブラック」といって、1か月以内に何社も申込みすることで、指定信用情報機関(CIC)などの履歴に残ってしまいます。“複数の金融業者に申し込みを却下され続けている返済能力に欠ける人物”と判断され、審査通過が不利となります。1か月以内の申込みは3社以内にしておきましょう。
「ウソの申告」は言語道断
申込みの際に、真実と異なる申告したことが発覚すると、即座に審査のラインからはじかれてしまうので注意が必要です。ウソの申告で最も多いのが、借入件数と言われています。5社以上にもなると、件数の数え間違いをしてしまったということもあるかと思いますが、一度否決されてしまうと弁解の余地なしです。慎重に確認して記入することをおすすめします。
おまとめローンのメリットまとめ
多重債務を一本化に借り換えすることによって、同じ金額を借り入れしている人でも天と地の違いとなってしまうことがお分かりいただけたかと思います。無理のない月々の返済額をもって、自分らしく生きるための手段、それがおまとめローンに借り換えする大きな目的とも言えます。目先の甘い金利情報などにとらわれず、しっかりと完遂までの返済計画を、納得かつ把握するくらいで丁度いいでしょう。
おまとめローンの審査は厳しいと言われています。しかし、審査する側からすれば、貸したお金を返せる人物かどうかの判断は必然です。それは、もしあなたがお金を貸す立場なら、返してくれる当てのない人には貸さないのと同じです。それには、過去の返済履歴(信用)が重要項目のひとつです。携帯やクレジットなどの支払いにも日頃から気を配りましょう。今ある借金の金額がどれくらい大きいかは、二の次の問題です。
また、返済中の新規借り入れはご法度という話もしましたが、ローン完済まではある意味“執行猶予”がついた状態でもあります。完済するまでは、履歴に傷がつかないような立ち振る舞いをするのが賢明です。おまとめローンのメリットを最大限に活かし上手に付き合えば、借り換えの一本化は大変有意義なものになること請け合いです。