おまとめローンは相談をして決めよう
複数の金融会社からの借入を一つにまとめる「おまとめローン」。借金を一本化すると月に何回も行う返済が一回になります。しかし複数の借入をまとめるということはかなり大きな借入の契約を行うということ。そのためなかなか決断ができないという方も多いです。
また状況によってはおまとめローンよりも債務整理が適している例もあります。今回はおまとめローンや債務整理を検討するにあたり、よくある相談や質問、実際の相談方法などをまとめました。
債務整理とおまとめローンはどちらがいいの?
おまとめローン以外で返済の負担を軽減する方法として、債務整理があります。債務整理という言葉を聞くと「人生を棒に振るのではないか」「周りに知られてしまうのではないか」と不安になる方もいるかもしれません。しかし債務整理を行っても今後一切借入などができなくなるわけではなく、周囲に知られることもありません。
おまとめローンは利息が低くなり返済の負担は軽減しますが、実際に借入(元本)そのものが減るわけではありません。一方債務整理の場合、利息分を減免してもらえたり、元本を減らしてもらえたりと、返済の負担がかなり大きく軽減されます。しかしその分デメリットも存在するため、債務整理とおまとめローンどちらがよいかは一概に決めることができません。それぞれのメリットとデメリットをよく考慮したうえで決める必要があります。
おまとめローンのメリットやデメリット
メリット
複数の会社から借入がある場合、それぞれ返済期日や返済方法が異なるため、毎月それに合わせて一社一社返済を行わなくてはいけません。返済金額を会社ごとに割り振らなくてはいけないため、家計管理も大変です。借入が一社にまとまると返済は月一回のみになりますので、返済を何回も行う手間が省け、管理も非常に楽になります。
また、おまとめローン利用して複数の会社を完済した場合、個人信用情報機関には「借入を完済した」という記録が残り、ブラックと呼ばれるような事故情報は掲載されません。ローンやクレジットカードはこれまで通りに使用することが可能ですし、おまとめローンで完済したことを理由に契約が制限されることもありません。
デメリット
お得というイメージのあるおまとめローン。しかし今まで借入をしていた利率よりも低い利息で借入をしないと、支払う利息は高くなります。低い利率で借入ができたとしても、返済期間が長くなるとその分支払う利息も増えますので、返済期間には注意をしなくてはいけません。
また、おまとめローンを実際に利用する際には審査が必要だということも忘れてはいけません。複数の借入を全て返済できるだけの金額を借りるのですから、申し込む金額はかなり大きくなります。
「おまとめローン」と銘打った金融商品は通常のローンよりも限度額は高めに設定されてはいるものの、収入に見合った金額しか借りることができません。また、長期延滞などの情報が個人信用情報機関に記録されている場合は審査に通らないケースがほとんどです。返済が滞っている方は契約が難しくなるということがおまとめローンのデメリットといえます。
債務整理のメリットやデメリット
メリット
債務整理には複数の種類がありますが、いずれの方法にも共通するメリットは借入が減る、もしくは借入がなくなるということです。毎月の返済のストレスから解放されますので、これは非常に大きなメリットといえます。
また債務整理を行う際には弁護士などの専門家に依頼を行うことになりますが、弁護士が金融機関に通知を行った時点で契約者への督促はストップします。金融機関からの返済の催促が苦痛になっている方にとってはメリットとなるでしょう。
デメリット
債務整理を行うと個人信用情報機関に事故情報が掲載されます。掲載期間は機関により異なりますが、最長で5年~10年となっています。事故情報があるとローンやクレジットカードなどの借入が新規にできなくなります。
また債務整理のうち任意整理は金融機関との示談となります。消費者金融や銀行は顧客数が膨大ですので、弁護士などの専門家を経由しないと示談に応じてもらえないことがほとんどです。個人再生も個人での手続きが非常に難しく、専門家への依頼が必要となります。そのため弁護士や司法書士への依頼費用がかかることもデメリットとして考慮しなくてはいけません。
債務整理の相談をしたいときはどうすればいい?
借入に関する悩みは他人には打ち明けにくいものです。現状を打破したいと思っていても、どの方法が自分によって最良なのかは専門家でないと判断ができません。おまとめローンや債務整理について悩んでいる方は専門の機関に相談することをお勧めします。
借入に関する相談ができる窓口は多数あります。どの機関も守秘義務がありますので、相談内容が家族や勤務先に知られるということは一切ありません。自分が利用しやすいと思うところ、安心できるところを選びましょう。ここでは、誰でも無料で利用できる相談窓口を紹介します。
法テラス
法テラス(日本司法支援センター)では、多重債務に関する悩みの内容に応じて、様々な相談窓口の中から適切な窓口を紹介しています。「借入で悩んでいるが、自分ではどこに相談すべきか判断が難しい」という方はぜひ利用してみてください。メールでも相談受付をしていますので電話が苦手な方でも安心です。
消費生活センターの多重債務相談窓口
全国各地に開設され、消費生活に関することの相談を受け付けている消費生活センター。実は多重債務の相談も行っています。通常の相談窓口で相談が可能ですが、多重債務専用の相談窓口も全国各所に開設されています。連絡先は『国民生活センター』のホームページに掲載されています。
日本クレジットカウンセリング協会
日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)は、消費者保護の立場で公平・中立なカウンセリングを無料で行っています。多重債務だけでなく家計相談も受け付けしています。
内閣府の認定を受けた公益財団法人ですので相談は無料です。債務を弁済しようという意思があること、電話相談のあと所定のカウンセリングセンターや相談室に来所できることが条件となります。
日本貸金業協会 紛争解決センター
貸金業協会が運営している相談窓口で、公正・中立な立場から解決方法をアドバイスしています。返済に困ったときだけでなく、借入に関して疑問や不安がある時にも利用ができます。電話や窓口、FAXで相談が可能です。
弁護士・司法書士
弁護士や司法書士への依頼は有料となりますが、相談は無料で受け付けているところがほとんどです。借入の解決方法として債務整理を視野に入れている場合は相談をしてみましょう。
債務整理にもいくつかの種類があり、どれが適しているかは借入の金額や会社、収入や家計状況などによって異なります。専門の機関に相談をすれば個々に応じた最良の解決策を提案してくれます。
債務整理とおまとめローンは結局どっちがいいの?
債務整理とおまとめローンにはメリットとデメリットが存在します。結果としてどちらがよいのでしょうか。
金銭的に「お得」なのは債務整理
おまとめローンを契約すると返済の手間が大きく省けます。低い金利で契約できれば支払う利息が減らせてお得になりますが、借入している金額が減ることはありません。そのため現在返済が非常に苦しい方にとっては焼石に水となってしまう場合もあります。
債務整理を行うと、借入自体を大きく減らすことができます。金銭面でお得なのは債務整理であるといえます。しかし、債務整理には先に挙げたようにかなりのデメリットもあります。上記の相談窓口でしっかり相談し、最後の砦として使いましょう。
どちらがお得かは状況によって異なる!
金銭的には債務整理のほうがお得ですが、その分大きなデメリットがあります。事故情報が登録されている5年~10年の間は自動車ローンや住宅ローンなど一切のローンが組めなくなり、クレジットカードも一切使用できなくなります。また債務整理には弁護士へ依頼する費用もかかりますので、それも考慮しなくてはいけません。
今の借入はそれほどのデメリットを背負って解消するほどの債務でしょうか?どちらを選択したほうがより良いのか、第三者機関に相談し慎重に決める必要があります。
債務整理の方法は?
債務整理にはいくつかの種類があります。ここではそれぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。
任意整理
任意整理は利息を利息制限法の上限金利(15%~20%)で計算し直し、今まで返済した金額を元本と利息に配分した後、以後の利息もカットして元本を分割で返済するという和解契約を金融会社と結ぶ手続きです。利息分がカットされるため毎月の返済金額が減り、負担を軽減することができます。
メリットは、自己破産などのように財産を処分したり、官報などに名前が記載されたりする心配がないこと。また、債務整理は金融会社ごとに個別に行えるため、住宅ローンや自動車ローンなど生活に必要な物のローンはそのままにできることです。
デメリットは、自己破産や民事再生に比べると返済金額があまり減らないことです。利息分がカットされても、借入した元金そのものはカットされないためです。また、任意整理をするとその事実が個人信用情報機関に掲載されるため、5年~10年の間は新たな借入ができなくなります。
特定調停
特定調停は裁判所が仲裁役となり、金融会社と契約者の和解成立を支援する手続きです。弁護士が代理人となることはできますが、原則として本人が手続きを行います。任意整理と同様に、利息を利息制限法の金利で計算しなおした上で借入を減額する契約を結びます。
メリットは任意整理と同じく金融会社ごとに手続きが行えるということです。また、弁護士を代理人としない場合は安い費用(一社あたり500円)で手続きができます。
デメリットは任意整理などの他の債務整理に比べると手続きが煩わしいこと。特定調停を申し立てるには申立書をはじめ、財産の状況が分かる明細書や管理権利者一覧表などが必要となります。さらに特定調停の場合は裁判所へ出廷しなくてはならず、話し合いには時間もかかるため、平日に仕事を行っている方は仕事を休む必要があるかもしれません。
無事に特定調停が成立すると、返済額や返済方法などが記された「調停調書」が作成されます。もしこの調書に基づいた返済が滞ってしまった場合、債権者は調停調書により財産や給与などの差し押さえ(強制執行)が可能となります。計画を立てずに特定調停を行うと財産を差し押さえられて大変なことになるおそれもあります。
民事再生
民事再生とは、任意整理では借入の目途が立たなくても自己破産はしたくない方、もしくは住宅ローンが残っていて住宅を手放したくない方向けの債務整理です。弁護士などに依頼し地方裁判所に申し立てを行うことで手続きができます。住宅ローンを除いた借入金額の5分の1(最低100万円以上)を3年間で返済していくこととなります。
メリットは住宅を手放さず借入を大きく減らすことができることです。自己破産とは違い、特定の職業に就けないといった職業制限がありません。デメリットとして気をつけなくてはいけないことは、民事再生を行うと官報に名前が記載される点です。また住宅ローンは一切減額されないこと、他の債務整理と同様に事故情報が個人信用情報に記録されることにも留意してください。
自己破産
自己破産は裁判所で手続きを行い、全ての債務を免除してもらうことです。裁判所に「破産申立書」を提出し、今後の返済が不可能だと認められると、すべての債務を支払う必要がなくなります。自己破産を行うと借入をしているすべての返済が免除されます。
全ての借入がなくなる分、デメリットも複数存在します。一定価値以上の財産は差し押さえられて金融会社に配当されます。また、免責決定になるまでは警備員や弁護士などの一部の職業に就けなくなります。自己破産を行うと個人信用情報に事故情報が掲載され、官報にも住所氏名が記載されます。
自己破産は債務整理の中での最終手段であり、収入がなく返済の目途が一切立たない人向けの手続きです。
おまとめローンの審査基準や審査に通るコツ
おまとめローンを利用しようと決めても、審査に通らなくては利用ができません。ここではおまとめローンの審査基準や、審査に通るために気をつけたいポイントを紹介します。
現在の借入を延滞しないこと
金融機関は審査の際にJICCやCICなどの「個人信用情報機関」を参照します。金融機関で長期延滞をすると個人信用情報機関に「延滞」という情報が事故情報として登録され、新たな借入が難しくなります。
数日だけ延滞した程度では事故情報として記録はされませんが、60日以上の延滞を行ったり、二度以上延滞を行うと記録される恐れがあります(会社により異なります)。
おまとめローンの審査に通るには、他社の返済をきちんと行っており、これから先も借入を完済する意志があるということを行動で示す必要があります。
まとめ
近年では「おまとめローン」の広告をあらゆる金融会社で目にするようになりました。そのため私たちにとっても身近な存在になりつつありますが、実際に契約する金額は非常に大きくなること、場合によっては返済金額が大きくなったり、期間が長くなることも考慮しなくてはいけません。
場合によっては債務整理が向いているケースもあります。安易に申込をしようとする前にまずは第三者に相談をしてみましょう。