一度借金をすると、返済のためにまた他社から借りるという悪循環に陥りがちです。
数社から借りていると借金の総額もわからず、自分が「いつ、いくら返済すればいいのか」がわかりません。
そこで活用したいのが、複数の借金をひとまとめにするおまとめローンです。1社で借り換えることで金利も低くなり、返済の負担が軽くなるのが特徴です。
ここではおまとめローンの申し込みを検討している人のために、おまとめローンの基本的な知識と、申し込みから振り込みまでの流れ、そして手続きをする上での注意点などを紹介します。
ただ申し込めば借金が減るというわけではないので、正しい知識を持っておきましょう。
借り換え・おまとめローンとは
おまとめローンとは
「おまとめローン」とは、複数の金融機関から借金をしてしまった人にオススメするものです。あちこちからの借り入れを一社に絞って借り換えする(ひとつの会社にまとめる)ことからおまとめローンと言われています。
借り換えをするメリット
おまとめローンのメリットは、主に下記の2点です。
- 返済日を1つにすることで余裕ができる
- 月々の返済額を減らすことで生活が楽になる
複数社からお金を借りている状態だと、毎週のように返済日がやってきて、その度お金を準備するために駆け回ることになります。
自分がいくら借金をしているかもわからなくなり、いつまで返済を続ければいいのかもわかりません。
そこでおまとめローンに申し込みをすると、返済日は毎月1回になります。その日までにお金を用意すればいいため、返済に追われることなく精神的にも余裕ができます。
また借金は1社から高額融資を受けたほうが金利が低くなるという特徴があります。
複数社から高金利で借りているより、1社から低金利で借りたほうが借金の総額は少なくなります。
つまり、余計な金利も払わなくて済むので、結果として返済額が減って生活が楽になるのです。
以上がおまとめローンの基本的な知識です。仕組みとしてはカンタンで、金利が低い1社でまとまったお金を借りて、すでにある複数社の借金を返すだけ。あとは1社にだけ返済をしていけばいいのです。
おまとめローンの仕組みがわかったら、次章では申込みの流れを順番に紹介していきます。
おまとめローンの申し込みと手続き方法
おまとめローンは消費者金融と銀行が提供するものの2種類あります。
この章では、両者の申込みの流れを分けてわかりやすく紹介していきます。
消費者金融系のおまとめローンに申し込む場合
消費者金融はカードローンで借金を一本化することができません。
必ずおまとめ専用のローンを申し込む必要があるので、混同しないよう注意しましょう。
申し込みは自動契約機または店頭のみとしている業者(主にプロミス)と、インターネット申込みを可能としている業者(主にアイフル)の2パターンがあるので、申込先の消費者金融によって手続き方法が異なることを覚えておきましょう。
契約までの流れは以下の通りです。
- 申込み
- 審査
- 審査結果の連絡
- 契約
- 入金
基本的に消費者金融は、申し込みから審査までが早く即日融資も可能なのが特徴です。
インターネット申し込みができない場合は店頭か自動契約機(むじんくんなど)で手続きをする必要があります。
また、消費者金融系はおまとめローンに関して代理入金サービスを実施しています。借りたお金を各金融業者に返さなければいけませんが、本人の手元に振り込むのではなく、複数の借り入れ先へ直接振込手続きをしてくれるのです。
ちなみにその際の振込手数料も消費者金融持ちとなります。
必要書類
必要書類は以下の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票・確定申告書・給与明細書など)
- 銀行の口座番号(返済の口座振替に使用したい口座)
- 銀行口座の届出印
返済方法
返済は基本的に口座振替が主流です。月に1回、決まった額が口座から自動引き落としされます。
銀行でおまとめローンを申し込みする場合
銀行で借金の借り換えをする場合、おまとめ専用のローンを利用する方法とカードローンを利用する方法の2種類に分かれます。
まずは銀行でおまとめローンを利用する際の、一般的な申し込みから入金までの流れを説明します。
- インターネット・電話・FAXなどで申し込み
- メール・郵送・電話などで仮審査結果の連絡
- 必要書類を郵送
- 記入後書類を返送
- 本審査
- メール・郵送・電話などで本審査結果を連絡
- 口座開設(口座開設済であれば不要)
- 入金
銀行の場合は、店頭に足を運ばなくとも契約まで成立してしまうので便利です。
ただ、消費者金融と比較すると審査が厳しいため即日融資は難しいでしょう。銀行も昨今の過剰貸し出しの影響を受け、審査に時間をかけるようになってきています。
そのため、おまとめローンは融資額も大きくなることから、融資までには数日〜1週間はかかると考えて良いでしょう。
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票・確定申告書・給与明細書など)
銀行によっては、他社の借入状況がわかる書類の提出を求められる可能性があります。
返済方法
銀行の場合、基本的にお金を借りる銀行に口座を開設することになっています。毎月その口座からお金が引き落とされるのが一般的です。
銀行カードローンで一本化する場合
銀行系のカードローンをおまとめローンとして利用する際の、申込みから利用の流れについて説明します。カードローンを申し込みする場合は、必ず銀行におまとめローン目的で契約したい旨を伝えましょう。
銀行によっては申し込みを断ることがありますので、相談してから手続きを開始することをオススメします。
- インターネット・電話・FAX・自動契約機などで申し込み
- 審査
- 郵送・店舗・自動契約機などでカードの受け取り
- 入金
必要書類
-
本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票・確定申告書・給与明細書など)
※借り入れ金額に応じて収入証明書が必要となる場合もあります。
銀行カードローンは、借入希望額が50万円を超える場合は収入証明書の提出が必要です。
おまとめローンとして利用したい場合、他社の借入状況がわかる書類も合わせて提出するように言われる可能性があります。
返済方法
返済は基本的に口座引き落としとなります。口座開設が必須ではない銀行に限り、ATMや振り込みでの返済にも対応しています。
基本的な流れはどのローンを利用するときも同じです。
すでに借りている借金の総額分を希望額として、1社に申し込みをして融資を受けます。その融資金で全社に一括返済し、その後まとめた先の金融機関に返済をしていくことになります。
次章では、申込み前にしておきたい準備について詳しく解説していきます。
申し込み前の準備
おまとめローンの申し込みは必要とされる情報が多いので、事前準備としておくべきことを紹介します。
必要書類を事前に用意しておく
おまとめローンは高額な借入になるため、申し込みの際に収入証明が必要になるケースがほとんど。
50万円を超える融資の場合、収入証明書を提出するのが一般的です。
収入証明として何を準備すべきかは金融機関によって変わりますが、ほとんどのケースで源泉徴収票があれば問題ありません。
手続きをスムーズに行うためにも、最新の源泉徴収票を用意しておきましょう。
身分証の情報は最新にしておく
そして、よくあるミスが身分証明書となる免許証の住所変更をしていないケースです。
引っ越しをしたけど免許証の住所変更は更新のタイミングでいいやと先送りしていると、免許証記載の住所と現住所が一致しなくなります。
免許証の住所変更は申し込み前にしておきましょう。
借金の現状を正確に把握する
一番大事なのが、「現在いくらの借金をしているか」を把握すること。
おまとめローンの場合、借金を全て合計した額が融資希望額となります。申し込みの際に、何社からいくら借りているのかという質問は必ずされます。
大体で答えると借金を一本化できない可能性があるのです。必ず申し込み前に借金をしている金融機関に問い合わせ、「一括返済にはいくら必要か」と問い合わせをしておきましょう。
金融機関によっては、申込時に現在の借入状況がわかる書類などの提出を求めてくる場合があります。
審査に通るために申し込みで注意すべきこと
おまとめローンは高額融資になりがちなので、審査は非常に厳しくなります。
そこで審査に通りやすい状態を整えておくことで、手続きがスムーズになります。
ここでは申し込みをするときに注意すべきポイントを紹介します。
虚偽の申告や記入ミスをしない
申し込み書に記載した内容がそのまま審査対象になるため、通りやすくするために借入総額や借入件数を少なめに入力する人がいます。
しかし、借入総額や借入件数は金融機関側でチェックすることができるので、虚偽の申告は絶対やめましょう。
記入ミスも意図的なのかうっかりミスなのか、金融機関はわかりません。
その場合、ミスは全て意図的で悪意のあるものと判断される可能性があるので、入力ミスがないように気を付けてください。
複数の金融機関に一度に申し込みをしない
心配性な人がやりがちですが、複数社で同時並行しておまとめローンの審査を受けないようにしましょう。
同時申し込みはそれぞれの金融機関でわかりますので、お金に困っているのではないかと判断される可能性があります。
おまとめローンの申し込みは1社ずつ行い、1社に落ちてから次の金融機関に申し込むようにしてください。
複数社に同時に依頼するのは申し込みブラックになる可能性もあるので注意してください。
「必要書類を準備しておくこと」「審査に通りやすい状態にしておくこと」この2つを守れば申し込みはスムーズになることは間違いありません。
審査に通りやすくするため、金融機関はおまとめローンの申し込み後にどんな審査をするのか確認しておきましょう。
おまとめローンの審査基準
審査はおまとめローン申し込み時に入力した情報に基づいて行われます。
そこに記入したことはすべて関係するため、申し込みは慎重に行う必要があります。借入件数や、借金の総額を適当に入力すると、その時点で落ちる可能性があります。
申込時の情報を基に審査が行われますが、特に重要なポイントが下記の6点です。
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 他社借入件数
- 借金総額
- 個人信用情報
年収と借金総額はセットで判断されます。
借金総額に見合った収入がない場合は、返済が難しくなると考えられ、審査が厳しくなります。
反対に高額な借金があったとしても、年収が十分ある場合はあまり問題視されないでしょう。
勤務先や勤続年数は返済を継続して行えるかどうかの基準になります。在籍期間が1年以下の場合や、自営業、パートやアルバイトの場合は、厳しくなるといわれています。
他社借入件数は5社以上から借りていると厳しいと言われています。今まで借金の滞納などがないかどうかを個人信用情報で確認されます。
滞納や遅延を繰り返しているとブラックリストに登録されますが、自己破産や債務整理の記録もブラックリスト扱いとなります。
これらの基準を満たしている人だけが、無事に審査通過となるのです。
審査に落ちた、どうすればいい?
申し込み前に十分準備をしたとしても、おまとめローンの審査に落ちるということは決して珍しいことではありません。
融資金額が大きいことと、一本化を検討している時点でそもそも多重債務者であることが原因です。
しかし、何が直接的な原因で落ちたのかは教えてもらえません。
審査に落ちるということは、申し込みをした情報のどれかに問題があったことが考えられます。
考えられるケースとしては、「他社借入件数」「他社借入額」が多すぎるということです。
他社借入額が多すぎる場合
既に他社から年収同等かそれ以上の額を借りていれば、末期の多重債務状態であると判断されます。
借金を一本化した所で年収相当の金額を返していかなければいけないので、金融事故を起こす可能性があると判断されます。
もし、すでに返済が滞っていておまとめローンの申し込みをしようと思っているなら、現在お金を借りている全ての業者に相談をしましょう。既にブラックリストに載っている状態であると考えられるので、そのまま申し込みをしても審査には絶対に通りません。
今ある債務を少しでも減らすことが必要なので、毎月全ての金融業者に返済できる状態に戻しましょう。その上で、再びおまとめローンの利用を検討しましょう。
他社借入件数が多すぎる場合
一般的に、既に5社以上から借入をしているとおまとめローンは使えないと言われています。
それだけ多くの金融業者を頼らなければいけない状態というのは、末期の多重債務者とみなされるからです。
審査に通るためには、他社借入件数を3社以下に減らしましょう。
お金を借りている業者を金額が少ない順に並べ替え、完済間近の業者をまとめてしまうのです。消費者金融のおまとめローンで小規模なおまとめをして、一旦2〜3社に減らしておきます。
その状態で銀行のおまとめローンに申し込みをして、無事に再通過したら全てをまとめるのです。
こうして段階を設けることもコツと言えます。
それでも審査に落ちたら
それでも審査落ちしたときは、推測でもいいので自分がダメだった理由について分析をする必要があります。
年収に対して借金が多すぎるのか、それとも勤続年数が少なすぎたのか、もしくはブラックリスト入りしているのか、自分が基準に満たしていない部分を推測してください。
それで改善すべき点が見つかれば、それを改善したうえでもう一度申し込みをしましょう。
できれば銀行のカードローンは避けて、消費者金融のおまとめローンの審査を受けるようにしましょう。
2度目の審査に落ちた場合は、ほぼ間違いなく他の消費者金融でも落ちることになります。
おまとめローンは諦めて、債務整理を行うことも考えて借金問題に詳しい弁護士に相談してください。
申し込みから振込までの期間はどれくらい?
無事に審査に通った場合、どれくらいでお金が振り込まれるのかを確認しておきましょう。
カードローンは即日審査、数日後からの利用開始ということが多いのですが、おまとめローンの場合はとても時間がかかります。
これはおまとめローンでの借入額がとても大きなものになり、金融機関としても慎重に審査をする必要があるためです。
一般的に消費者金融のおまとめローンの審査期間は短いとされていますが、それでも申し込みから融資開始まで1週間近くはかかりますし、銀行の場合は1ヶ月近くかかることもあります。
おまとめローンは時間がかかるものと思っておく
おまとめローンを契約するときは1ヶ月くらいかかるのだと考えて、余裕を持って申し込みをするようにしましょう。
借り換えは緊急性がそれほど高くはないはずですので、結果が出るまではこれまで通りコツコツ返済を続けてください。
無事に手続きが完了したらすること
全ての手続きが終われば、自分の口座には現金が振り込まれます。
しかし、これはあなたの好きにしていいお金ではないのです。贅沢をしたい気持ちをグッとこらえて、入金があってからすべきことをしましょう。
全ての金融業者に借金を返済する
おまとめローンの審査に通って振り込まれたお金は、既に借りている複数の金融業者に返さなければいけないお金です。
既に他社から200万円を借りていれば、ピッタリ200万円が振り込まれます。まずは、そのお金を全ての業者に返していきましょう。
それぞれの金融業者に連絡し、完済したい旨を伝えます。振込先を指示されるので、全てに入金をしていきます。
その後必ず完済証明書をもらい、その書類をおまとめローンを契約した会社に提出します。
これでおまとめローンの手続きは全て完了となり、今後は契約した1社に細々と返済をしていくことになります。
消費者金融によってはこの処理を代理で行ってくれる場合があります。うっかり別の用途に使ってしまいそうという人は、こうしたサービスを利用することをオススメします。
カードローンで一本化した時は要注意
カードローンで借金を一本化した時、振り込まれるお金は用途が自由です。
何に使っても咎められることはありませんが、そのお金に手を付けたらその分借金が増えるだけです。
贅沢はせず、きちんと全ての金融業者に返していきましょう。
完済証明書を提出する必要はありませんが、念のため大切に保管しておくことをオススメします。
一本化したら後はカードローンの返済をしていきます。
どちらの場合も、入金された時点であなたの借金は単純に倍額になっています。すぐに複数の金融業者にお金を返して、早々に一本化しましょう。その全てが終わって、はじめて借り換え成功となります。
申し込みの流れについてのまとめ
- おまとめローンは申し込むことで返済日を1日にして返済総額を減らせる
- 申し込みから入金までは最長で1ヶ月程度かかる場合もある
- 申込時に入力する内容は全て審査に関わるから慎重に行う
- 審査は厳しいので申し込む前に基準や申込み条件の確認を行う
- 申込みは金利が低い銀行から消費者金融の順で行う
おまとめローンは返済の負担を減らせるため、多重債務で悩んでいたら利用したいサービスです。
しかし審査が厳しいので、申込み前に事前の準備が必要です。
具体的には他社借入状況の改善で、現在借り入れしている金融機関の数は1つでも減らしておきましょう。おまとめローン自体が急を要する借金ではないため、審査は時間がかかります。
このままでは借金を滞納してしまいそうと感じたら、なるべく早めの申し込みをオススメします。
金利は低い方がおまとめローンのメリットが大きくなるので、申し込みは低金利の銀行から行いましょう。
銀行の審査に落ちてしまったら、焦らずに消費者金融のおまとめローンも検討しましょう。