フリーローンとは?
銀行で融資を受けようと検討したことがある方なら「フリーローン」や「カードローン」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
どちらも融資を受けることができる金融商品ですが、それぞれは違うもので特徴も異なります。
条件によってはフリーローンでお得にお金を借りることができるので、両者の違いは知っておいて損はありません。
そこで今回は「フリーローン」の特徴やカードローンとの違い、選び方などを紹介します。
フリーローンとは、主に銀行が扱っている個人向けのローンです。フリーという名前の通り使い道は自由ですが、事業を始める資金への使用は禁止されています。
申込みの際には使用目的を申告したり、使い道を証明する書類が必要になる場合があります。
一見ハードルが高いように見えますが、利用条件や審査基準を知っておけば、そんなに大変なものではありません。
この記事さえ読めば、自分がどんなフリーローンを契約すればいいのかがハッキリ分かります。
資金使途自由!おすすめ低金利ローン
フリーローンとカードローンはどこが違う?
ネットで調べていても、フリーローンとカードローンが同じように扱われ、両方の違いがわからなかったりします。
そこでここでは、フリーローンの特徴についての説明を交えながら、カードローンとの違いについて紹介します。主な違いは以下の6つです。
- 融資を受けられる回数
- 金利
- 融資までのスピード
- 申込み条件
- 管理のしやすさ
- 繰上手数料や事務手数料の有無
1.融資を受けられる回数
カードローンの場合は発行されたカードを使い、決められた限度額の範囲内で何度も融資を受けることが可能。しかしフリーローンの場合は最初に申込をした金額の1回だけの借入となります。
融資を受けた金額より限度額のほうが上だったとしても、改めてお金を借りるときは再度申込をしなくてはいけません。そのためカードローンに比べると自由度は非常に低いのが特徴です。
2.金利
銀行や商品、審査にもよりますが、一般的にカードローンよりもフリーローンの金利のほうが安く借りられることが多いです。フリーローンは追加での融資ができず、申込条件もカードローンより厳しいため、低い金利で設定されています。カードローンは設定金利の幅が幅広いので、条件によっては高い金利でお金を借りることになってしまいます。
大手都市銀行の金利比較例
ここで具体的にどれくらい金利の違いがあるのか、大手都市銀行の金利を比較してみました。
銀行名 | カードローン金利 | フリーローン金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 年2.0%〜14.0% | 変動金利:年5.875% 固定金利:年6.600% |
三菱UFJ銀行 | 年1.8%〜年14.6% | 年1.8〜年14.6% (カードローン使用) |
三井住友銀行 | 年4.0%〜年14.5% | 変動金利:年5.975% |
楽天銀行 | 年1.9%〜年14.5% | 年1.9%〜年14.5% (カードローンを使用) |
実際の商品説明を見ると、最低金利はカードローンのほうが低いことが分かります。しかしカードローンの場合、低い金利はある程度の返済実績がないと適用されないことが大半ですので、数字だけを見て判断はできません。
カードローンは10%以上の金利となることが多いものの、フリーローンは一桁台の金利でお金を借りることができます。中にはカードローンしか用意していない銀行もあるので、その点もローン選びのポイントとなりそうです。
大手銀行のフリーローンは変動金利制を採用している商品が多いのも特徴です。変動金利とは文字通り変動する金利のこと。半年ごとに金利の見直しが入り、金利情勢によって利率が変動します。返済期間が短い場合はリスクが少ないですが、長期になる場合は市場変動によって金利が変わる可能性があります。みずほ銀行のように固定金利を選べる場合もあります。
3.融資までのスピード
消費者金融のカードローン紹介ページを見ると「最短で即日融資」「最短●分でカード発行」など、融資までのスピードをアピールしているケースが非常に多いですね。金融機関や審査状況にもよりますが、カードローンは融資までの日数があまりかからないことが特徴です。
フリーローンはカードローンよりも審査や融資にかかる日数が長くなる傾向があり、3営業日から1週間、長い場合は2週間ほどかかる場合があります。大型の融資になることが多く、カードローンよりもより返済能力が必要になる商品なので、その分審査にも時間がかかります。
4.申込条件
ローンを申し込むには年齢・収入などに関する様々な条件があります。フリーローンとカードローンを比較すると、カードローンのほうが申込条件が緩い傾向があります。
カードローンの場合は「安定した収入があること」が条件となりますが、申込みの際に年収制限などはなく、パートやアルバイトの方でも申込みができる商品がほとんど。金融機関によっては専業主婦やアルバイト中の学生、年金受給者でも借入ができるケースもあります。
しかしフリーローンの場合、申込者本人に安定した収入がないと申込みができません。金融機関によっては年収や勤続年数の条件が付いている場合もあります。
例えばみずほ銀行の多目的ローンは勤続年数2年以上、前年度税込年収200万円以上が申込み条件。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は前年度税込年収200万円以上でないと申込みができません。
5.管理のしやすさ
カードローンはカードを使い限度額の範囲内で追加の融資を受けられます。しかし借入金額が変わると翌月以降の返済金額も変動しますので、返済計画が立てにくくなる傾向があります。融資の枠があるからと使いすぎてしまう例も決して珍しくありません。
フリーローンの場合、契約時に融資を受けた後は月々の返済のみになります。借入の際に完済までの返済スケジュールを提示してもらえますので、返済計画が立てやすいこともフリーローンの特長です。
6.繰上手数料や事務手数料の有無
カードローンの場合、申込み時に事務手数料などの料金はかかりません。しかしフリーローンの場合は契約の際に印紙代などの事務手数料が発生する場合があります。
また、カードローンはカードを使って自由に返済ができることが特長の一つであり、好きな時に一括返済をしても手数料は一切かかりません。しかしフリーローンの場合は申込みの際に印紙代などの事務手数料がかかったり、一括返済や繰上返済の際に手数料がかかったりする場合が多いです。
例えば三井住友銀行のフリーローンの場合、申込み時に所定の印紙代(300万借入の場合2,000円)、月々の返済以外に繰上返済を行う場合は5,400円かかります。料金がかかる条件や金額については商品詳細ページに記載されていますので、申込み前に確認をするとよいでしょう。
フリーローンとカードローンの違い早見表
フリーローン | カードローン | |
---|---|---|
融資を受けられる回数 | 1度だけ | 何度でも可 |
金利 | 低い | 高い |
融資までのスピード | 3営業日から1週間 | 即日融資 |
申込条件 | 条件が多い | 安定した収入があること |
管理のしやすさ | しやすい | 使いすぎることも |
繰上手数料や事務手数料の有無 | あり | なし |
フリーローンのメリットは?
借入の際にフリーローンを選ぶメリットをまとめました。
メリット1.金利が安く返済計画が立てやすい
前述の通り、フリーローンはカードローンよりも安い金利で融資を受けられる可能性が高いです。融資を受けたあとは毎月一定の金額を返済していくことになりますので、返済管理が非常にしやすいことも特長。追加融資はできないため、借入が増えすぎて困窮することも避けられます。
メリット2.周囲に借入を知られにくい
フリーローンの返済は口座振替で行います。カードは発行されないため、カードローンを使用するよりも周囲に借入が知られにくいという特長があります。
郵送で自宅に書類が届く場合もありますが、銀行の郵送物は外見からはローン商品とは分からないようになっていますので、他人に借入が知られる可能性はかなり低いと言えるでしょう。
フリーローンのデメリットは?
フリーローンにはデメリットもあります。必ず確認をした上で申し込みましょう。
フリーローンのデメリット3つ
- 融資までに日数がかか
- 追加融資・追加返済ができない
- 使用用途書類を提出するケースもある
これら3つがどういうことか、これから詳しく説明していきます。
1.融資までに日数がかかる
フリーローンは申込みから借入までに時間がかかります。最近では早く融資を受けられることを特長とした多目的ローンもありますが、特記がなければ融資までに数日~2週間ほどかかる場合が大半です。そのため、急いで融資を受けたい方には不向きです。
2.追加融資・追加返済ができない
限度額内で自由に融資を受けられるカードローンとは違い、フリーローンは追加融資ができないことがデメリット。
また、カードローンの場合はカードを使用して多めに返済することもできますが、それもできません。
繰上返済を行う際には手続きを行う必要があり、繰上返済の手数料がかかる場合もあります。融資・返済ともにカードローンに比べて利便性では劣ります。
3.使用用途書類を提出するケースも
フリーローンはフリーという意味の通り用途が自由なローンではありますが、申込みの際には使用用途を確認されます。
口頭での確認だけではなく、実際に見積書や請求書など、はっきり金額が分かるものを提示しなくてはいけない場合も多いです。
他社借入の借り換えや一本化、おまとめなどに利用する場合には残高が分かるものを提出しなくてはいけないため、それを準備する手間がデメリットに感じる方も多いのではないでしょうか。
こんな人にはフリーローンがおすすめ
ここまでフリーローンの特徴をまとめてきましたが、実際にはどのような人に向いているのでしょう。
以下の2つに当てはまる人はフリーローンの利用がオススメです。
借入をできるだけ増やしたくない人
一度借入を行うと追加融資ができないことが、フリーローンの特徴です。
必要な金額がはっきりと決まっており、それ以上借入を増やしたくないという人におすすめの借入方法です。
できるだけ計画的に返済を行いたい方
フリーローンの返済は、毎月一定の金額を自動引落で行うところがほとんどです(金融機関によっては異なる例もあります)。
契約時に毎月いくら返済を行い、いつ完済するかがはっきりと分かりますので、計画的に返済を行っていきたいと考えている人にはフリーローンがぴったりです。
お金を借りる目的がハッキリしている人
カードローンを利用する人の多くが、生活費の足しにするという使い方です。
しかし「海外旅行をしたい」、「自宅をリフォームしたい」など、お金を借りる目的がハッキリしている人はフリーローンがオススメ。フリーローンは使用用途を証明する書類を提出することで、低金利でお金を借りることができます。
銀行で「目的ローン」と呼ばれているのがそれに該当するもの。銀行がはじめから「旅行代金として貸し出す」、「リフォーム代金として貸し出す」と用途を限定することで、低金利を実現しているのです。
銀行が用意している目的ローンにピッタリ当てはまる使い方をしたい人は、こうしたフリーローンを利用すると良いでしょう。
フリーローンを使いたいときはどうすればいい?
では実際、フリーローンで融資を受けたいと思った場合にはどうすればよいのでしょうか。最近は多くのフリーローンがネットで申し込みできるので、それについてカンタンに説明していきます。
ネットで申し込み可能
フリーローンは銀行が展開している商品です。申込み方法が豊富な消費者金融に比べると申込みがしにくい、と考える方も多いと思いますが、そのようなことはありません。最近ではインターネットを通して窓口に来店しなくても申込みができる銀行が増えています。
手順は金融機関や商品によって異なりますが、以下の手順をとる金融機関が多いです。
-
1.インターネットより仮審査申込
-
2.郵送やFAX、インターネット等で本人確認書類等の必要書類のやり取り
-
3.契約書を作成し郵送で返送
-
4.振込で融資
フリーローンを申し込みたいと思った際は、まずは銀行のホームページを確認してみましょう。もちろん、窓口で相談しながら契約することも可能です。
地方銀行・信用組合でも利用できる
大手の銀行だけではなく、地方銀行や信用組合もフリーローンを用意しています。給与の振込や公共料金の支払いなどで口座を使用している場合は金利の優遇を受けられるケースが多いので、普段使用している口座があればその銀行の多目的ローンを確認してみましょう。
フリーローンの商品概要はホームページ、もしくは店頭やATMのリーフレットに掲載されています。近年ではwebで仮審査を実施した後に店頭で契約を行うことができるケースも増えています。
ここまでの情報をまとめると、自分でサクサク手続きを進めたい人はネットから、相談に乗ってもらいながらゆっくり手続きを進めたい人はネットから申し込むのがオススメです。
次章では、フリーローンを選ぶポイントについて紹介していきます。
どのフリーローンがオススメ?選ぶポイント
多目的ローンを選ぶ際に確認しておきたいポイントを紹介します。
選ぶ際にチェックすべきポイント3つ
- 申込み条件
- 返済条件
- 利用目的
ポイント1.申込み条件
フリーローンの申込条件は金融機関によって異なります。
申込をする前に商品概要を確認し、年齢や勤続年数、年収などが条件に当てはまっているかどうかを必ずチェックしてください。
原則として使用用途は自由ですが、商品によっては他社の返済・一本化への使用ができない場合もありますので気をつけましょう。
おまとめローンとして使おうと思っている人は要確認です。
ポイント2.返済条件
借入を行なったあとは、長い年月をかけて返済していくことになります。申込の前に必ず返済方法、返済期日や金額を確認し、毎月スムーズに返済が行えるかどうかを考えましょう。
返済金額はホームページに記載されていることが多いですが、返済にかける期間が変わると毎月の返済金額は変動します。
ホームページに返済シミュレーションがある場合は利用してみるとよいですね。
ポイント3.利用目的
銀行によっては、フリーローンの目的を限定している場合があります。自分が何のためにお金を借りようしているのかハッキリさせ、その用途で銀行がお金を貸してくれるかどうか確認しましょう。
もし、用途を限定する代わりに低金利なローンが用意されていれば、自分がその用途でお金を借りるつもりであれば非常に低金利で借り入れが可能になります。
審査基準はどうなっているの?
フリーローンの審査基準は明確にはされておらず、商品によっても異なります。
ここでは金融業者全般に共通する事項をまとめました。どの金融機関も、以下の3ポイントは非常に重視します。
審査で重視される3ポイント
- 個人信用情報機関の記録
- 他社借入状況
- 収入の安定性
ポイント1.個人信用情報機関の記録
フリーローンに限ったことではありませんが、金融機関は「個人信用情報機関」と連携を行っており、融資の際には顧客の信用情報を記録・参照しています。
融資を申し込む際に提示される「個人情報の取扱に関する同意条項」にその旨が記載されているかと思います。
信用情報に自己破産や債務整理、民事再生や長期延滞などの情報(事故情報)があると借入を断られます。
これはつまり、「ブラックリストに入っていないかどうか」ということです。過去に他社の借金返済で滞納や遅延を起こしていた場合、その履歴が個人信用情報機関に登録されています。
その情報があると、ブラックリスト入りしていることを理由に審査に落ちます。
過去に自己破産などの債務整理を行っている場合も同様で、その場合は5〜10年は審査に通過することはできないでしょう。
ポイント2.他社借入状況
上記の個人信用情報機関には他の金融機関との契約情報も記録されています。借入の際に消費者金融からの借入件数が多いと、融資を断られる可能性が高くなります。一本化・おまとめが目的の場合は他社借入があることが前提ではありますが、それでも限度があり、会社数があまりに多いと断られてしまうのが現状です。
他社借入件数は3件まで、他社借入金額は年収の半分までが理想です。おまとめローン利用でない場合は、他社借入金額は年収の1/3程度が理想です。
ポイント3.収入の安定性
フリーローンは毎月一定の金額を継続して返済していきますので、審査の際は年収とその安定性が重視されます。申込みの際に勤続年数や年収に制限があるのはそのためです。正社員で勤続年数が長く、勤務内容も安定しているほうがより審査に通る可能性が高くなります。
審査基準を確認したところで、審査に通過するためのコツを紹介していきます。
審査に通過するコツ
フリーローンの審査には年収や他社借入が大きな要素を占めますが、それらはすぐには変えられないのが現状です。少しでも審査に通りやすくするにはどうすればよいのでしょうか。
審査に通過するコツ3つ
- 手続きをスムーズに行う
- 地方銀行も活用する
- 他社借入件数を減らす
1.手続きをスムーズに行う
申込みから審査までの短い期間で、信頼がおける人物であることをアピールすることは大事です。
使用用途がはっきり決まっている場合はそれを伝え、必要書類の提示を求められたら早めに提出しましょう。
2.地方銀行も活用する
フリーローン形式で借入をしたいけれど自信がない、という方は地方銀行を選ぶとよいかもしれません。
地方銀行のフリーローンは大手の都市銀行に比べると金利は高いですが、申込みの条件や審査は緩い傾向があります。
普段よく使用している銀行があれば、その銀行のローン商品を確認してみるのもよいでしょう。
3.他社借入件数を減らす
急に借金を減らすことはできませんが、他社借入件数を減らすのはカンタンです。あと少しで終わりそうなカードローンなどは、すでに契約している他社でその分借りて返済すると件数が1社減ります。
数社から少額借りている状態だと、借入件数だけが多く記録されてしまいます。そうならないためには、件数をスッキリ見せることが大切です。
まとめ
この記事では、フリーローンについてわかりやすく解説してきました。この記事のポイントは以下の3つです。
- フリーローンとカードローンは金利や融資できる回数に違いがある
- フリーローンは多目的ローンとも呼ばれ、特定の目的に限り低金利でお金を借りられる
- 審査基準は厳しく、年収や勤続年数の条件がある
フリーローンはまとまった金額が必要になった際に低い金利で融資を受けられる、非常にありがたい存在です。
返済は毎月一定ですので、計画的な返済計画を立てやすいという利点があります。
しかしカードローンとは違い、急にまとまったお金が必要になった時には融資を受けにくいという弱点もあります。
カードローンとフリーローン両方の特性を理解し、状況に応じて使い分けていきましょう。