フリーローンの担保はあった方がいいの?
フリーローンを選ぶ時、気になるのは担保の有無ではないでしょうか。できれば無担保で借りたいと思う人の方が多いはずですが、どちらにもメリットとデメリットがあります。
どれを選んだらいいかわからない、両方の違いがわからない、そんな人にわかりやすく違いを解説します。
この記事はフリーローンの担保についての基礎知識と、使い分け方法なども紹介しますので、これから利用しようと考えている人はぜひ参考にしてください。
無担保と有担保のどちらが借りやすい?
2つを比較する上で、最も気になるのが借りやすさです。そこで、どちらの方が借りやすいのかを紹介していきます。
フリーローンの中でも借りやすいのは有担保型の方です。銀行からしたら、万が一貸したお金を回収できなくなった時に差し押さえできる資産がある方が安心だからです。多額の融資を行っても、担保の資産価値の方が高ければ銀行は損をしません。そのため、有担保型の方が審査が甘くなるのです。
とはいえ、融資を受ける額によっても変わりますし、審査の基準は銀行ごとに違いますので、あくまでも、同じ条件において担保の有無を考えたときに、保証となるものがあったほうが借りやすいのだということを頭に入れておきましょう。
また、担保に入れるものの資産価値も影響します。不動産ならなんでも保証になるかというとそうではなく、例えば東京都内の50平米の土地と、誰も立ち入らないような山奥にある50平米の土地とでは、資産価値がまったく違います。後者の方が資産価値が低いとされ、最悪の場合は保証として認めてもらえない可能性もあります。
これらのことを踏まえると、担保は用意しておいたほうが借りやすいのは間違いありません。もし、審査に通る自信がないと感じている場合は、不動産を活用してお金を借りることも考えておきましょう。
それでは、なぜ銀行はリスクが高い無担保型のフリーローンも用意しているのでしょうか?それには理由があるので、次の章ではそれに関して詳しく説明していきます。
無担保フリーローンがある理由
不動産を保証にすることで、大きなお金を借りることができるということは理解してもらえたかと思いますが、そうなるとなぜ無担保でもお金を貸してもらえるのか不思議に思うかもしれません。もちろんこれにはきちんとした理由があります。
銀行が取り扱っているローンのほとんどには保証会社というものがあり、もし利用者が返済できなくなったときにはその借金を肩代わりします。このため銀行は踏み倒される心配がなく、安心して融資をすることができます。しかし、保証会社に肩代わりしてもらったからと言って、自分の借金が帳消しになるわけではありません。
もしフリーローンで借りたお金を返済できなくなったときは、保証会社が銀行に残った借金を一旦全て返済します。その後、その債権は保証会社に移ります。保証会社はその債権をもとにして、利用者からお金を回収します。つまり、一旦肩代わりしてもらっただけで借金自体は1円も減っていないのです。
返せないものは仕方がないと思うかもしれませんが、保証会社は裁判をしてでも債権の回収をします。そのときに資産になるものを持っていた場合は、それらを差し押さえて売却し、そこから未払い分を回収します。
まれに資産もなく、収入もまったくないというようなケースもありますが、それを防ぐために事前に厳しい審査を行っているのです。お金を借りるほとんどの人は会社勤めをしていますので、給料の差し押さえもできるため、保証会社が損をすることはまずありません。実質は資産や給料を保証にお金を借りているため、無担保でもお金を借りることができるというわけです。
このように、無担保といっても将来的に入るであろう給料が実質的な担保となっているのです。それではわざわざ種類を分けている理由がわからないので、ここで有担保ローンがある理由についても説明していきます。
有担保型がある理由
お金の貸し借りは何よりも信用がベースです。当然ですが、貸したお金をきちんと返してくれる人にはお金を貸してくれます。しかし、返してくれるかどうかわからない人には、貸したくないというのが金融機関の本音です。
とはいえ、信用できるかどうかは明確な基準がないためわかりません。そのため、金融機関はお金を貸すときに審査を行うのです。申込者のステータスによって、完済できる人と返済できなくなる人を分類し、完済できそうな人にだけお金を貸します。
公務員であったり上場企業の社員であるなど、明確に融資の可否が決まる人ならばまず問題ありません。しかし、審査通過のボーダーラインにある人に対しては、金融機関も判断に困ります。そこで、「もし返せなかったらこれをあげます」という担保を用意することで、信用をアピールするのです。
返済が滞った時、保証として差し出した資産を売却すれば損失をカバーできたり、損失額を最小限に抑えることができます。そのため金融機関も安心してお金を貸すことができるのです。
また、担保にするものの価値が高ければ、それだけ多くのお金を借りることができます。すでに紹介した無担保ローンの場合、融資額は年収ベースで決まります。そのため年収以上のお金を借りるのは非常に困難です。しかし、高価な資産を担保にできれば、その資産に見合った額を借りられるのです。
家や車など、年収ではカバーできない高額商品は有担保ローンでお金を借ります。それでは、銀行などの金融機関はどんなものを担保として認めているのでしょうか?
何を担保にしてお金を借りられる?
お金を借りるときに担保にするものは何でもいいというわけではありません。一般的に認められている資産は下記の通りです。
- 不動産
- 預金
- 年金
- 売掛金
- 株式
上記の資産のうち、フリーローンの場合に担保にできるのは不動産です。銀行によっては他のものでもよい場合がありますが、基本的には不動産を保証に借りるものだと考えておきましょう。
なぜ担保を不動産に限定しているかというと、大幅に値崩れしにくく、なおかつローン利用者が失いたくないものを預けることで、「絶対に返済する」という気持ちを強く持ってもらうことができるためです。家がなくなれば住む場所もなくなりますので、返済に対する向き合い方が変わります。
そして何よりも、売却したときに大きな金額のお金になるということが、保証に適している理由です。貸付したお金の何倍も価値のある住宅を保証にするわけですから、回収できないという状態にはまずなりません。銀行はリスクなく融資を行えるため、住宅を保証にすれば簡単にお金を借りることができます。
不動産を担保に入れるとお金を借りることは簡単ですが、当然リスクを伴います。そこで、その際の注意点を紹介します。
不動産担保フリーローンの注意点
不動産を抵当に入れると、借りたお金を返せなくなった時は家を失います。自分の家をかけてまで借りるべきお金かどうか、きちんと考えてから行動しましょう。
例えば別荘のような、失っても生活に支障をきたすわけではない物件ならリスクは低くできます。しかし、現在居住中の物件を差し出してしまえば、返済が滞ると住む場所を失ってしまいます。すぐに退去するわけではありませんが、少なくとも自分のものではなくなります。
このため、不動産を差し出す有担保型フリーローンを利用するときは、絶対に完済できるお金を借りるときだけにしましょう。人生ですから将来何が起こるかわかりませんが、少なくとも借りる段階では返すための計画をしっかり立てておきたいところです。
またバブル崩壊のように、急激に資産価値が下がってしまうというリスクもあります。この場合は、返済できなくなったときに、不動産を売却してもまだ借金が残るというようなことも考えられます。借入可能額が大きいからといって必要以上に借りないようにすることも大切です。
もっとも無担保のフリーローンでも返済できなくなった場合は、返済のために不動産の売却をしなくてはいけないこともあります。保証として差し出さないから安全というわけでもないということは忘れないようにしてください。
次の章では、担保があるタイプとないタイプのフリーローンを比較して、どんな時はどっちを選ぶべきかを紹介します。
担保の有無によるフリーローンの選び方
実際にフリーローンでお金を借りるときに、どのような基準で選べばいいのかについて説明します。これからフリーローンを利用しようと考えている人は参考にしてください。
大きな金額が必要なとき場合は有担保型
無担保型のフリーローンで借りることができる金額は、多くのケースで500万円が上限で、それよりも低い場合もあります。もし、1000万円を超えるまとまったお金が必要であれば、有担保型を利用することになります。
自宅の大規模改修などで数千万円といった大きなお金が必要になる場合は、金利も低く、最大融資額も高めに設定されている有担保型のフリーローンを利用しましょう。
少額の借り入れなら無担保型
フリーローンといえば、「海外旅行に行く」「家具家電を買う」という用途でも使うことができます。こういうケースであれば、担保を設定するほどのことではありません。
金額にして数十万円程度の借り入れであれば、無担保型を利用すれば良いでしょう。その程度の金額であれば、銀行側も担保を設定してほしいと依頼してくることはないでしょう。
確実に返すことができる場合は有担保型
借りたお金ですから、もちろん返すつもりなのは当然ですが、100%返済できると言い切れないようなケースもあるはずです。勤め先の会社の経営が傾いていたり、病気がちで長く働けない可能性があったりする場合は、自宅を担保にするのはリスクが高すぎます。
返済に多少なりとも不安があり、それほど高額な借り入れも必要ない場合は無担保型を選び、返済に対してリスクがほとんどないという場合は、金利の低い有担保型を選ぶようにしましょう。
フリーローンはこのような使い分けをするのがおすすめです。担保を設定するかどうかで限度額や金利が大きく変わるので、自分がいくら必要としているのかで決めましょう。次の章では、どれくらい限度額や金利が変わるのかを紹介します。
担保の有無による金利と融資金額の違い
ここまでの説明で、不動産を抵当に入れたほうがお金を借りやすいことは説明しました。では、実際に借りるときの条件はどれくらい変わってくるのでしょうか?大手金融機関での金利の違いをチェックしてみましょう。
三井住友銀行
種類 | 金利 | 融資金額 |
---|---|---|
有担保型 | 年2.775% or 年2.975% | 50万円以上1億円以内 |
無担保型 | 年5.975% | 10万円以上300万円以内 |
(2019/2/25時点)
りそな銀行
種類 | 金利 | 融資金額 |
---|---|---|
有担保型 | 年2.775%(団信付保) | 100万円以上1億円以内 |
無担保型 | 年6.0%~14.0% | 10万円以上500万円以内 |
(2019/2/25時点)
三井住友銀行もりそな銀行も、不動産を保証にしたほうが金利も低く、融資金額も大きくなるのがわかります。これは他の金融機関でも同様で、不動産のように売却すれば確実に損を出さずに済むものを抵当に入れることで、金融機関が負うリスクを大きく下げることができるためです。
300万円や500万円という金額が、一般的なフリーローンで融資できる限度額です。ところが不動産は売却すれば数千万円の価値があり、場合によっては数億円で売れることもあります。このため、不動産担保のフリーローンは1億円という高額な融資も可能になるわけです。
金利も低くて融資可能額も大きいということは、利用者側にとってかなり有利な条件でお金を借りることができるのですが、いいことばかりではないのが金融商品選びの難しさでもあります。もし、有担保型のフリーローンでお金を借りて、返せなくなったらどうなってしまうのでしょうか?
返済できなくなったらどうなる?
不動産を使ってお金を借りて、もし返済できなくなったらどうなるのか、この章ではそれについて説明します。全体の流れから、最終的にどうなるのかをまとめました。
まず不動産を担保にすると、銀行は不動産に抵当権を設定します。抵当権を設定すると、借金の返済が滞って不動産の売却をするときに、売ったお金を優先的に回収することができます。不動産が売却されるまでは以下の流れです。
- 1.ローンの滞納が発生
- 2.返済の催促
- 3.裁判所に対して競売の申し立て
- 4.不動産の差し押さえ
- 5.競売
大事なのは、お金を返せなくなったらいきなり不動産を差し押さえられるわけではないということです。競売はとても時間がかかり、しかも売却金額が相場よりも大幅に低くなってしまうため、最終手段となります。まずは競売ではなく、任意売却という方法を使って不動産の売却を行い、ローンを返済することを勧められます。
競売にしても任意売却にしても、借りたお金を返済できない場合は、不動産を手放すことにはなります。もし不動産を売却しても返済額が不足する場合は、残りの借金も返済していかなくてはいけません。
返済期間が長くなるようなら、リストラや不慮の事故など、あらゆる事態を想定してシミュレーションを行いましょう。不動産を失わないで済む確実な返済プランを組み立てることが重要です。
借金の返済に困ったときは債務整理という方法もあります。そこで、債務整理とフリーローンがどんな関係があるのかを紹介します。
不動産担保フリーローンと債務整理の関係
借金の返済ができない場合は債務整理を行うことになります。ところが不動産を抵当に入れてしまうと、債務整理がとても難しくなります。そこで、債務整理の種類とフリーローンとの関係をまとめました。
任意整理
任意整理は当事者同士が話し合いを行い、以後の利息はゼロにしてもらい、元金だけ返済する債務整理方法です。ところが不動産を担保にしている場合、銀行側は交渉に応じてくれません。すでに抵当に入れている不動産を売却するよう迫ってきます。
銀行側としては、貸したお金の回収のために不動産を売却すればいいだけですので、話し合いをする必要もありません。とても強気で交渉の場に出てくるため、任意整理できない可能性があります。
どうしても住宅を守りたい場合は、フリーローンだけ任意整理の対象外にすることもできますが、この場合は、フリーローンの返済条件は変わりませんので、返済環境が劇的に改善されることはありません。
個人再生
個人再生は資産のうち住宅の売却をせずに、なおかつ返済額も圧縮できる債務整理方法です。個人再生なら住宅は守ることができるはずと思うかもしれませんが、不動産担保ローンの場合は住宅を保護できないため、こちらも自宅を競売にかけられる可能性があります。
自己破産
自己破産の場合は住宅も手放すことになるため、不動産担保のフリーローンを使っていても問題なく債務整理できます。実際、不動産担保型のフリーローンを使っている人が借金を返せなくなった場合、多くの人が自己破産の選択を余儀なくされます。
借りる前から返済できなくなったことについて考えたくないかもしれませんが、返済できなくなる可能性は誰にでもありますので、不動産担保でお金を借りる場合は、債務整理をするにあたって、自己破産となる可能性が高いということだけは覚えておきましょう。
まとめ
フリーローンは担保を差し出すことで金利も下がり、限度額も大きく上がります。
銀行にしてみれば、住宅を抵当に入れることで貸したお金を回収しやすくなるためです。そのためフリーローンの審査に通りやすくなるというメリットもあります。
とはいえ、メリットばかりではなくデメリットもあります。
不動産を担保にした場合は、借金の返済ができなくなったときに、住宅を競売にかけられる可能性もあります。また任意整理や個人再生はとても難しく、選択肢として自己破産以外に選ぶことができないというデメリットもあります。
借りたときは返すつもりでも、長い返済期間の中で何が起こるかわかりません。有担保型のローンを利用するときには、常に返済できなくなることも想定しておきましょう。競売にかけられるまでの流れや、任意売却の存在など知っておくだけでも、有利に債務整理を進められます。
フリーローンを利用するときは担保の有無による違いをしっかりと把握して、自分に最適な商品を選ぶようにしましょう。利用してから「そんなつもりではなかった」とならないように、慎重に商品選びを進めてください。