おまとめローンと住宅ローンは無関係ではない
複数のカードローンなどをひとまとめにして返済の負担を減らせるおまとめローンですが、全ての借金を一本化するので借入額が多くなってしまうという特徴があります。
そこで、多くの人がこんなことを考えるようです。
- 「おまとめローンを使うと住宅ローンの審査に通らない?」
- 「確実に住宅ローンを組むなら今の借金はどうするべき?」
- 「住宅ローンを組むときに今の借金も組み込んだらどうだろう?」
この記事では、借金の一本化もしたいけど住宅購入も検討しているという人のために、おまとめローンが住宅ローンにどう影響するのかを紹介していきます。
低金利な住宅ローンに現在の借金を上乗せして一本化するとどうなるのかも紹介しているので、住宅ローンを検討中の人は必見です。
おまとめローンを使うと住宅ローンの審査は通らない?
住宅ローンは数千万円の借金になるため、審査をする金融機関は慎重になります。もしその時他社でいっぱいお金を借りていたらどうなるのか、心配になる人が多いはず。
ここでは、住宅ローン審査におまとめローンがどう関係してくるのかをわかりやすく紹介していきます。
おまとめローン契約中でも住宅ローン審査は通る
先に結論をお話すると、おまとめローンがあっても住宅ローンの審査は通過します。
大事なのは「住宅ローンの返済が可能かどうか」なので、おまとめローンがあるから申込みはできないというわけではないのです。
金融機関は審査の際、「返済比率」というものを重視します。
これは年間返済総額が年収の何%になるかを表したもので、年収が500万円で年間の返済総額が80万円の場合は、返済比率が16%となります。
金融機関は返済比率を「25~35%」としており、それを上限としてお金を貸してくれます。
それ以上の貸付は返済が苦しくなって債務整理されてしまう可能性もありますので、金融機関は無理のない返済ができる範囲で貸付を行うのです。
そこで問題になるのがおまとめローンの返済です。
おまとめローンをしている場合はすでに月々の返済があります。この月々の返済額を含めて返済比率を考えますので、おまとめローンの返済を行っている場合は、借りられる額がどうしても少なくなってしまいます。
つまり、おまとめローンを使っていても、住宅ローンを組むことは可能。
しかし借入可能額が無借金の人に比べると減ってしまう可能性があるので、購入する住宅の予算に影響する場合があります。
おまとめローンは住宅ローンの審査に影響しないことがわかったので、安心しておまとめローンの利用ができます。
次章では、すでに複数社で借金をしている人が住宅ローンを申し込む前にすべきことを紹介していきます。
複数の借金がある状態で住宅ローンを利用するコツ
借金がまったくない状態で住宅ローンの申し込みができるのが理想ですが、必ずしもそうとは限りません。
もし住宅ローンの契約を考えているなら、今の借金はどうしておくべきでしょうか。
本章では住宅ローンを申し込む前に、今の借金を整理するコツを紹介していきます。
おまとめローンを活用して借入件数を減らしておく
住宅ローンの審査では、「どこからいくら借入しているか」という情報をチェックされます。
もし、数万円や数十万円のカードローンがいくつもあるようなら、消費者金融のおまとめローンなどを使って借金の数を減らしておきましょう。
いくつもの会社から少しずつ借りているより、1社からまとまった額を借りている方が住宅ローンの申し込み時の手間も省けます。その方が心象も良いので、まずはおまとめローンの利用を検討しましょう。
すぐ終わりそうな借金なら完済しておく
元も子もない話ではありますが、住宅ローンの申込時には「借金がないこと」が理想です。
もし借金の完済が数カ月後に迫っているなら、慌てずに完済を待つようにしてください。
借金の額だけでなく、借金の有無や完済の履歴も審査に影響を与えます。借りたお金をきちんと返済したという実績は審査ではプラス評価になり、直近で返済できそうな場合は、完済してから住宅ローンの審査を受けてください。
勤続年数は3年以上が理想
転職したばかりで勤続年数が短い場合は、またすぐに辞めてしまう可能性が高いため、審査を通すためには、3年以上の勤続年数があることが理想です。
もし転職を考えている場合は、転職後ではなく転職前に審査を受けるようにしましょう。
また、あと数ヶ月で勤続年数が3年になるようなケースも、慌てて審査を受けるのではなく、有利な状況になるのを待ってから申し込みをしてください。
身の丈にあった住宅を購入する
最も大事なことは、自分たちの身の丈にあった金額の住宅を購入するということです。おまとめローンの返済中ということは、生活も決して余裕があるわけではないかと思います。
家を購入するとなると、最新の機能が詰まった家が欲しくなりますが、購入することでさらに生活を圧迫するような住宅の購入はNGです。
住宅ローンを借りたいのであれば、自分たちの収入に見合った金額の住宅を選ぶようにしてください。借りることができるお金はおまとめローン分だけ低いということを頭に入れておきましょ
う。
おまとめローンと住宅ローンの違い
なぜおまとめローンを契約していても住宅ローンが申し込めるのか、これは両者のローンが違う性質を持っていることが関係します。
おまとめローンはいわゆる無担保ローンというものですが、住宅ローンは有担保ローンに分類されます。
この違いが関係してくるので、ここではおまとめローンと住宅ローン、両者の特徴をカンタンに紹介していきます。
おまとめローンとは無担保でお金を借りる方法
おまとめローンをカンタンに説明すると、現在複数社から借りている借金を1社で借り換えて、返済の負担を減らすというものです。
借りる額が大きくなるほど金利は下がるので、1社に借り換えることで金利を下げて返済総額を減らすことが可能となります。
1社に返すだけでいいので返済のスケジュール管理も楽になり、自分がいくら借金をしているのかもひと目でわかります。非常にメリットが多いため借金がある人は積極的に活用したいローンです。
このおまとめローンは、金融機関は無担保でお金を貸してくれます。そのため金利が有担保ローンに比べて高いのがデメリットです。
債務整理をされると金融機関が損をすることになるので、審査は慎重に行われます。住宅ローンの審査時にも、おまとめローンがあれば確実にチェックされますし、マイナスに働くことはあってもプラスになることはありません。
住宅ローンとは購入する家が担保になる方法
おまとめローンがあっても住宅ローンが組めるのは、住宅ローンが有担保ローンに分類されるからというのも一つの理由となります。住宅ローンは家を買うためのお金を借りるもので、買った家がそのまま担保になります。
万が一返済が滞った場合、住宅が競売にかけられて借金返済に充てられます。そのため、高額なローンを低金利で提供することが可能となっているのです。
住宅ローンの審査では、当然ですが現在の他社借入状況を調べます。その際におまとめローンがあると審査は不利になりますが、それが理由となって落ちるということはありません。
そこで気になるのが「住宅ローンで借金を借り換えることはできるのか」という疑問です。
住宅ローンで借金の一本化はできる?
住宅ローンはとても大きなお金を借りることができ、しかも低金利です。そうなるとそれを利用して借金の一本化を行えないだろうかと思う人もでてきます。
インターネットで情報検索をすると、住宅ローンを利用して借金を一本化したという情報が掲載されています。
それでは実際に借金の一本化は可能なのでしょうか?
結論から言えば、借金の一本化はできません。唯一許されるとすれば、複数の会社の住宅ローンを1本化することが可能ですが、これはイレギュラーなケースです。原則として住宅ローンは住宅に関する費用にしか使うことができません。
家をかったり、リフォームをしたりするときだけに使えるのが住宅ローンですから、借金をまとめるために使うことは禁止されています。
それではなぜ、一本化したという書き込みがあるのでしょう。
これは不動産業者に高い見積もりを出してもらうことで、実際に必要な費用以上に住宅ローンを借りるという手法を使うのですが、これが金融機関にバレると一括返済を求められる可能性もあります。あまりにリスクが高すぎますし、倫理的にも問題があります。
他の人がしているから自分もしたいと安易に考えずに、住宅ローンは住宅に関する費用にだけ利用するようにしてください。
住宅ローンを返済できなくなったらどうなる?
住宅ローンを組んだときは問題なく返済できるつもりだったのに、リストラや給与カットなどでローンの返済が苦しくなることがあります。
基本的に2ヶ月以上の滞納で一括返済を求められ、3ヶ月以上の滞納で競売にかけられます。
そして売却益が住宅ローンの返済に充てられるのですが、ほとんどのケースでローンの残高よりも売却益のほうが低くなるため、一部のローンが残ります。この残金は一括返済を求められますので、とても苦しい状態に追いやられます。
しかもおまとめローンを利用している場合は、そちらの返済も苦しくなっているはずですので、その先にあるのは債務整理しかありません。
自宅を競売にかけられる段階になって弁護士に相談する人がいますが、そこまでいくと弁護士にできることはほとんどありません
ローンの返済が厳しくなったら、まずは金融機関に相談するようにしましょう。返済計画の立て直しに応じてくれる可能性もあります。
それでもどうしても返済できそうにない場合は、返済が滞る前に家を売却するようにしましょう。
滞納する前に売却をすれば、おまとめローンも一括返済できますし、家はなくても住宅ローンもきちんと払い続けていけば、一括返済を求められることはありません。
手元にお金が残りますので、引越しも出来ますし、当面の生活も安定させることができます。ローンを払えなくなったときは、できるだけ先手を打って対処するようにしてください。
「借金が返せないときは金融機関に相談する」これはシンプルですが一番確実な方法と言えます。
次章では、おまとめローンと住宅ローンを同じ銀行で借りるメリットとデメリットを紹介していきます。
同じ金融機関でおまとめローンと住宅ローンを使うメリット・デメリット
おまとめローンを利用している金融機関で住宅ローンの審査を受けると、審査が厳しくなるのでしょうか?それとも審査が通りやすくなるのでしょうか?
金融機関はお金を貸すことで商売をしていますので、基本的には同じ金融機関でおまとめローン(カードローン)も住宅ローンも利用するほうが有利です。
例えばみずほ銀行のカードローンの場合、みずほ銀行の住宅ローン利用者は金利が0.5%引き下げられます。
みずほ銀行の住宅ローン(*2)のご利用でみずほ銀行カードローンの基準金利から金利を年0.5%引き下げます。
また、おまとめローンも滞りなく毎月の返済を行っているのであれば、その履歴は審査を受けるときによい印象を与えてくれます。
反対に滞納履歴があるようですと印象が悪くなり、審査には通りにくくなります。
借りたお金をきちんと返せている人には金融機関は優しいのですが、何度も延滞を繰り返すようですと、厳しい目でチェックされます。同じ金融機関で両方のローンを利用するのは一長一短というところです。
優良顧客だという自信がある場合は、同じ金融機関を利用することがおすすめですが、過去に返済などでトラブルを起こした履歴がある場合は、他の金融機関で審査を受けることも考えておきましょう。
ただし、そのトラブルが金融事故として個人信用情報機関に掲載されている場合は、どの金融機関でも審査落ちする可能性が高くなるので気を付けてください。
住宅ローンの審査に落ちたときの対処法
住宅ローンは審査がありますので、もちろん審査に落ちることもあります。難しいのはなぜ審査に落ちたのかがわからないということ。借入希望額が大きすぎたのか、それともおまとめローンが影響したのかなど、推定はできるものの確定することができません。
審査に落ちたときは、まず他社の審査を受けましょう。
ただし手当たり次第審査を受けても審査基準に大きな差がない場合、落ち続けることになります。
審査に落ちたときは条件を少しずつ変えていく必要があります。
金利の高い金融機関で審査を受ける
住宅ローンは低金利であるほど審査が厳しくなる傾向にあります。
最初はとにかく金利の低い金融機関の審査を受けてしまいがちですが、審査落ちするようであれば、金利の高い金融機関の審査にシフトしていく必要があります。
借入希望額を下げる
年収に見合った借入希望額以上で審査を受けている場合は、年収の6倍以下にまで下げるようにしましょう。
おまとめローンで返済中の人は年収の5倍以下にして、なおかつ返済比率が25%以下に収まるように計算して、借入希望額を調整しましょう。計算が難しくて分からない場合は、不動産業者に相談して計算してもらいましょう。
借入希望額を下げた場合は希望する物件を購入することができなくなるかもしれませんが、この場合は購入を一旦諦めるか、別の物件を選ぶようにしてください。
新築物件の場合は、業者に相談して内装などの見直しなどを行うようにしましょう。
まとめ
- おまとめローンがあっても住宅ローンの審査に直接的な影響はない
- おまとめローンは通常の借金とカウントされ、住宅ローンの借入額がその分下がる
- 住宅ローンに借金を組み込んでおまとめするのは禁止されている
- おまとめローンの返済額も考慮した上で無理なく返せる住宅ローンを組むべき
おまとめローンと住宅ローンには直接的な関係はありませんが、金融機関が貸し出すお金には一定の目安があります。
返済比率が高くなりすぎると金融機関はお金を貸してくれませんので、すでにおまとめローンをしている人は、借りることができる金額が少なくなると考えてください。
返済中の借金の額が多すぎる場合は、返済比率が高いということで審査落ちする可能性が高くなります。
審査に通りやすくするために、勤続年数を3年以上にするなどして、借りやすい人になることも重要です。
そして何よりも自分の身の丈にあった金額の住宅購入をするようにしましょう。
基本は年収の6倍以下までですが、借金を返済中という人は年収の6倍も借りることはできません。
最新の機能がいっぱいの新築物件で暮らしたくても、現実的に判断して価格の低い中古物件などに切り替えるようにしましょう。
ときどき住宅ローンを利用して借金の一本化を行っている人がいますが、これは規約違反になり、一括返済を求められる可能性があります。
他の人がやっているからと言って、安易に真似をしてはいけません。住宅ローンは住宅にかかる費用にだけ使うように心がけてください。
おまとめローンの返済で生活がいっぱいいっぱいなら、住宅の購入自体を遅らせるなどの対策も必要です。
毎月いくらまでなら無理なく返済できるか計算し、おまとめローンの返済と住宅ローンの返済を合わせてもその基準を下回るようにお金を借りるのが賢い方法と言えるでしょう。