農協のおまとめローンの特徴解説
『おまとめローン』は、複数のローンを1本化して、金利を下げて利息を減らす返済方法です。そこで、“農協(農業協同組合・JA)”のおまとめローンに注目します。農協は全国におよそ8000店舗以上を誇る民間最大級のグループ組織です。農作物の販売・保険事業・冠婚葬祭など多岐にわたり事業展開する中、金融関連事業の“JAバンク”で各種ローンの取り扱いがあります。
取り扱うローンの種類やスペックは、各地域のJAバンクによっても様々です。そんな中、【JA東京みなみ】にターゲットをしぼって解説します。JA東京みなみが扱うフリーローンには、“JAフリーローン(ジャックス)”と“フリーローン・スマートローン”があります。そのうち、ひとつにまとめることができるローン、「フリーローン・スマートローン」に注目します。どういった内容なのか詳細について解説しましょう。
「フリーローン・スマートローン」のスペック
【商品名】「フリーローン・スマートローン」
【利用用途】使いみち自由
【借り入れ限度額】10万円以上300万円以内(1万円単位)
【金利率】年7.50%~12.50%
【借入可能期間】6か月~7年(6回~84回)
【来店の要不要】必要
「フリーローン・スマートローン」は、おまとめ専用ローンではありませんが、生活資金や事業性資金に加え、“他の金融機関からのおまとめ”にも利用できます。審査回答までの時間は最短60分とスピーディーですが、融資までには正式手続きの来店が必要なので、そのタイミングによって左右します。
金利について
金利の上限は、年12.5%と低めな設定です。消費者金融3社からそれぞれ50万円ずつ借り入れしている方ですと、18%に近い金利の適用が一般的です。それをまとめて150万円の高額融資に借り換えれば、計画次第で利息額をグーンと減らすことが可能です。
農協のおまとめローンはどんな人におすすめ?
農協で借金の一本化をするべき人は、どんな人でしょうか?ここでは、農協のおまとめローンの特徴から、どんな人におすすめなローンであるかを解説します。
おまとめローンをおすすめする理由
多重債務から抜け出すには、おまとめローンに一本化することが最適手段です。では、具体的にどのようなことが改善できるのでしょうか?大きく3つのポイントがあります。【金利の見直し・月々の返済額の見直し・返済管理の見直し】です。
低金利のローンと契約できれば利息額が減ります。利息額が減れば月々の返済負担を軽くすることができます。また、複数の金融機関への返済は手段がさまざまなので、管理が大変です。そこで、支払い期日を月に一度にすることで、返済計画が明確になります。もちろん、「フリーローン・スマートローン」でも同じ改善ができるのでおすすめです。
「フリーローン・スマートローン」をおすすめする理由
「フリーローン・スマートローン」は、言わずと知れた大手金融機関【JAバンク】が取り扱うローンです。管轄エリアやローンの内容はそれぞれの地域によっても異なりますが、母体がしっかりしているので、安心して借金の一本化に取り組むことができます。とくにおまとめ利用の場合、借り入れ金額が多いので返済期間も長期に渡ります。末永く利用するなら安心できる金融機関にしたいとお考えの方におすすめです。
また、「フリーローン・スマートローン」は、追加の借り入れができません。追加の借り入れができないことを利便性に欠けると思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、これ以上の借金を増やしたくない方にとっては、打ってつけの返済方法です。
農協のおまとめローンの利用方法
「フリーローン・スマートローン」申込み手順
「フリーローン・スマートローン」は、【インターネット、店舗窓口】から申し込むことができます。インターネットからの申込みは、住まいが営業管轄エリアにある方が対象です。 営業管轄エリアに勤務先がある方は、申し込み可能ですが店舗窓口のみの申し込みとなります。
インターネットから申し込む場合は、「個人情報利用目的に関する同意」にチェックすると、仮審査の申し込みページに進みます。求められる必要事項を順に埋めていきましょう。審査回答は最短60分です(土日祝日は除く)。この際に金利と希望借り入れ額の融資が可能かの連絡も一緒に回答されます。問題なければ、正式申し込み手続きとなります。最終的に内容の相違などの問題がなければ融資となります。
もし、金利や借り入れ希望額の条件が合わなかった場合、キャンセルすることも可能です。その際、オペレーターを通じて電話でキャンセル理由を告げるのが良いでしょう。そのまま放っておくと個人信用情報機関(CICなど)に、“あいまいなキャンセル”と判断されてしまう情報が残り、その後の審査が不利になるからです。
また、キャンセル後すぐに他のローンに申し込んでも同じ結果になる可能性があります。希望の承諾が得られなかった理由を解決してから新規のローンに申し込みましょう。
申込み書類
・本人確認書類(運転免許書やパスポートなど)
・普通預金通帳
・届け出した印鑑
農協のおまとめローン審査基準
おまとめローンには当然審査基準があります。金融機関によって審査が甘かったり厳しかったりするので、自分が借りたい金融機関の審査基準を確認しておきましょう。
「フリーローン・スマートローン」申込み対象者
申し込み対象者は以下の通りです。
・満20歳以上の方、または完済時の年齢が満76歳未満の個人の方
・JA東京みなみの営業エリアに住居がある、または勤務している方
・安定継続した収入がある方
ちなみに、JA東京みなみの営業エリアは、【日野市・多摩市・稲城市】が対象となります。また、【パート・アルバイト・年金受給者・専業主婦】の方も対象ですが、融資額は通常よりも低くなる可能性があります。
保証会社「(株)クレディセゾン」の審査
「フリーローン・スマートローン」と契約するには、農協だけでなく“(株)クレディセゾン”の審査が必要となります。融資の許可に加え、金利や融資額もこの審査で決まります。担保や連帯保証人は不要です。保証会社が保証人の代行となってくれるからです。また、保証料は金利に含まれています。
クレディセゾンは、自社でもクレジットカード“セゾンカ-ド”を発行しています。しかし、自社のカード審査と、JAバンクの審査は、まったく別物と考えた方が無難です。同じ金融機関の審査でも内容は異なるので、「セゾンカードの審査が甘かった」など、他人の言葉をうのみにしない方がいいでしょう。
金利と審査基準
おまとめローンの選び方の基準として最も重要なのが金利です。今より低い金利のローンでなければ、おまとめローンに借り換える理由が半減してしまいます。金利の低いものを選び出すのは、さほど難しいことではありませんが、審査に通過しなくてははじまりません。当然、金利が低ければ低いほど審査は厳しくなります。
農協のおまとめローンの審査に通過する方法
農協のおまとめローンを利用するためには、なんとしても審査に通過する必要があります。審査基準を知った後は、審査に通過する方法をチェックしましょう。
仮審査の通過で安心するのは早い!
一般的に銀行をはじめJAバンクの審査は、仮審査と本審査(正式申し込み手続き)があります。決して仮審査に通過したからと言って、本審査まで気を抜かないようにしましょう。仮審査は本審査に向けての簡易的なものに過ぎません。仮審査に通過しても、本審査に通過できる方は、全体のおよそ半分程度とも言われています。
ですが、審査に通過しなかった理由は、書類の記入漏れや記入ミス、記入事項の相違など安易な理由のケースも多いようです。また、本審査に必要な正式申し込み手続きでは、来店をしなくてはいけないフリーローンも少なくありません。この際にしっかりと応答できるように、返済計画や完済までの思いを自分の言葉でまとめておくことも重要です。
「(株)クレディセゾン」の審査に通過する方法
仮審査は各金融機関と保証会社が行い、さらに本審査を保証会社が行います。保証会社は、3か月以上の返済遅延などが発生した場合の保証人(返済代行)となってくれます。とくに高額融資のおまとめ利用なら、審査のハードルがより高くなることも当然なことでしょう。
また、クレディセゾンだけでなく、関連会社のローンやクレジットなどの利用履歴があり、過去に何か問題があった場合、“社内ブラック”として記録に残ります。この状態でローンに申し込んでも、審査に通過しないのが濃厚です。もし心当たりがあるなら、いさぎよく他のローンを検討することも重要です。
農協のおまとめローンの審査に通らない理由と対策
申し込みブラックに注意!
審査に通過しない理由のひとつに“申込みブラック”と言われるものがあります。どのような場合に申し込みブラックと判断されてしまうかというと、「1ヶ月以内に連続で4社以上の申込みをしてしまった場合」が危険です。短期間の申し込みが目立つと、借り入れがなかなか承諾されない“返済能力に欠ける人物”と見なされてしまいます。
これは、個人信用情報機関(CICなど)に記録された情報をもとに、各金融機関によって判断されるものなので、申し込みブラックという記載があるわけではありません。
また、申し込んだつもりはなくとも、シミュレーションが申込み履歴に記録されてしまうこともあります。ただし、名前を記入しない簡易的なシミュレーションなら問題ありません。ちなみに、記録された申し込み履歴は、消費者金融系ですと1か月、銀行なら6ヶ月で抹消されます。
嘘の申告に注意!
申込書に記入した内容と、個人信用情報機関や確認書類の情報に食い違いが生じた場合、審査に落ちてしまう可能性があります。記入モレや記入ミスなどの理由の他、審査を有利にしたいため、故意に嘘の申告をしてしまうのは致命的です。
ありのままを記入していれば通過していたかもしれないのに、みすみすチャンスを逃すことになります。嘘の申告をしても、調べればすぐにわかってしまいます。ならば「どうしてわざわざ申告させるの?」と思う方も少なくないでしょう。金融機関によっては、信用できる人間かどうかをこの過程で試していることも想定できます。あなたがお金を貸す立場ならその理由も明確に理解できるはずです。
農協のおまとめローンの返済方法
農協のおまとめローンでお金を借りられたら、気になるのは返済方法です。毎月どのように返済をしていけばいいのかをまとめました。
返済の手順
「フリーローン・スマートローン」の返済方式は、“元利均等返済”です。借り入れ金額と利息を合算したものを、毎月均等に支払っていく返済方法です。ちなみに、毎月の返済額は、5,000円以上が原則です。
また、年2回のボーナス時の増額返済も併用可能です。ただし、返済可能額は融資金額の50%以内が原則です。毎月の返済日は7日・17日・27日のいずれかを選択することが可能です。できれば、給与日後からもっとも近い日に設定しておけば、返済に穴をあけてしまう確率も減るのでおすすめです。
返済回数は、6回以上84回以内で選ぶことができます。月々の返済額を減らし過ぎてしまうと返済回数(返済期間)が増え、利息額も増えてしまいます。シミュレーションなどを利用して、既存の借り入れの利息額よりも多くなってしまわないよう、調整しながら計画するのが賢いでしょう。
繰り上げ返済
「フリーローン・スマートローン」は、元利均等返済やボーナス返済などの約定返済のほか、繰り上げ返済も可能です。返済途中に一部金を追加返済する“一部繰り上げ返済”と、最後にまとめて返済する“全額繰り上げ返済”に対応しています。
それぞれの繰り上げ返済には手数料が5,400円ほどかかるので、こまめな一部繰り上げ返済には向いていません。ある程度まとめてからにしましょう。ただし、同じ30万円を一部繰り上げ返済するのでも、例えば1年後と2年後とでは、その後の利息が大きく違ってきます。なるべく早期返済したほうが圧倒的に利息を減らすことができます。
遅延損害金
返済中に遅延が生じた場合、“遅延損害金”が発生します。遅延した日数に基づき、年14.5%の利息額が加算されます。無事に返済したとしても、一度遅延をしてしまうと、社内ブラックの情報に残ってしまい、再度JAバンクのローンを組もうとしたときに、審査が不利になります。社内ブラックは、個々の金融機関の管理なので、情報が半永久的に残るとも言われています。遅延にはくれぐれも注意しましょう。
農協のおまとめローン、メリット/デメリット
おまとめローンにはそれぞれメリットとデメリットがあります。両方の特徴をよく学んでおかないと、後で後悔する可能性もあります。
ここでは農協のおまとめローンの特徴をまとめています。
「フリーローン・スマートローン」のメリット
メリットを箇条書きで整理してみましょう。
・大手金融機関なので長期に渡る利用も安心
・使いみち自由なのでおまとめ利用も可能
・事業性資金にも利用可能
・パート・アルバイト・年金受給者・専業主婦の方も利用可能
・申し込み対象者が完済時76歳未満の方ならOKと高齢者にも寛容
・仮審査の回答が最短60分とスピーディー
・上限金利が12.5%と低めの設定
・必要書類は本人確認できる書類のみ
・追加の借り入れができないので順調に完済できる
・繰り上げ返済ができるので、早期返済も可能
・担保や連帯保証人が不要
・元利均等返済なので、毎月の返済管理がしやすい
・借り入れ金額や期間を細かく設定できるので利息が節約できる
以上が主なメリットです。
「フリーローン・スマートローン」のデメリット
デメリットは以下の通りです。
・審査が厳しい
・追加融資が受けられない
・融資までに時間がかかる
・営業管轄エリアに在住在勤する方のみ申し込み可能
・正式な申し込み手続きには来店が必要
・繰り上げ返済には手数料5,400円がかかる
以上が主なデメリットです。エリア制限を設けていますが、JAバンクという視点からすれば全国に支店はあるので、自分の対象となるエリアで見合ったローンを見つけることが可能です。
おまとめローンを選ぶ際のポイント
おまとめローンを選ぶコツは色々あります。コツを掴んでしっかり選ぶことで賢くおまとめローンが利用できます。農協でお金を借りる前にしっかり確認をしておきましょう。
家族や会社にバレないためのポイント
フリーローン(おまとめ利用ができるローン)に申し込むと、消費者金融でも銀行でも会社の在籍確認を行うことがほとんどです。中には、審査を有利にするために、実際には勤めていない会社や、すでに退職した会社の情報を記入する人がいるからです。
そんな中、消費者金融の電話確認では、担当者の個人名だけを名乗ることを原則としています。もし、消費者金融が社名を名乗ってしまうと、明らかに借金をしていると疑われてしまうので、その配慮として社名を名乗ることはありません。
それに対し、銀行の場合は銀行名を名乗ることが原則です。銀行は、借金の利用とは限られていないので、社名を名乗らない配慮をとくに原則としていません。ただし、事前に電話などから確実に依頼することで、社名を名乗らないことに応じてくれます。
金利に基づく悪徳業者の見抜き方
悪徳業者を見抜く方法のひとつに、“法定金利以上の請求”があります。ローンの金利には、「利息制限法」という規定があり、以下のような基準が設けられています。
・10万円未満の借り入れなら、最高金利は年20%
・10万円~100万円未満の借り入れなら、最高金利は年18%
・100万円以上の借り入れなら、最高金利は年15%
例えば、50万円の借り入れで18%をこえた金利を請求する貸金業者があれば、明らかに違法なので訴えることができます。
おまとめ利用できるローン
JAバンクの場合、各エリアによっても取り扱うローンや種類がさまざまです。中には、フリーローンでもおまとめに利用できないものもあります。例えば、JA東京みなみの「JAフリーローン(ジャックス)」は、同じフリーローンでも、生活資金として明確な使いみちがないと借り入れできません。申し込みブラックとならないためにも、安易に申し込んでしまうのはやめましょう。
総量規制と農協のおまとめローンの関係
総量規制とは、“年収の1/3以上を個人に貸し付けしてはいけない”という法律です。これは貸金業者あてに発足されたものなので、銀行及びJAバンクなどは規制の対象外です。さらに言えば、JA東京みなみが発行する「フリーローン・スマートローン」も、総量規制の対象外です。
ちなみに、総量規制の「年収」に含まれない収入には、【ギャンブルの収入・宝くじなどの当選金・保険金・投資による収入・退職金・資産(土地・建物・株式など)の譲渡による収入】などがあります。
JAバンクのひとつでもある“JA東京みなみ”の「フリーローン・スマートローン」への借り換えについて徹底解説しました。大規模な組織の特徴でもありますが、問い合わせ方法でのポイントがあります。ローンの詳細を問い合わせする際、総合窓口のフリーダイヤルや各エリアの本店ですと、内容によってはたらい回しとなる場合もありますので、ローンの取り扱いに密着した最寄りの各支店に問い合わせた方がいいでしょう。
今、契約している複数の借り入れを一本化することで、返済生活の改善ができるなら、農協(JAバンク)のフリーローン(おまとめ利用ができるもの)への借り換えをおすすめします。